序章「目覚め」
俺は、寝起きが一番嫌いだ。
なぜかって?
だって、めっちゃ寒いじゃん、そんでもって、だるいじゃん。
だが今は起きるべき時だ。
なぜかって?(二度目)
見りゃわかるだろう、
ここどこだよ。
見渡す限り草と花が生えた広い原っぱ。
そして、俺のすぐ横に巨木。
最後に、マイハ~ンドにタブPCみたいなもの。
わけわからん。
いや、待てよ、ここは仮想世界であり、リアルの俺はVRゲームをしてる。
そう考えれば合点がいく。
でも、何故ゲームをしている、
何故ここで起きた。
何故リアルの記憶が殆どないんだよ。
それに、どうやってログアウトするんだよこのゲーム、クソゲーだろ、壊れちまえ。
何をするためにこのゲームをしているのか、まったくわからん。
さて、何もかもわからないからこそ、このタピ(タブPC)を見るときだ。
んーと、
・このタピに絵を描けばそれが反映されます。
・さささ、自由に自分の世界を想像し創造しましょう!
・いらっしゃいませ!自分の世界へ!
はいはい、なるほどわからん。
いや、ゲームなのはわかった、
が、なにこれ、何するゲームなの、
自分の世界創って何になるの、
てか想像し創造ってダジャレかよふざけてんのかよ、面白れぇじゃねぇか。
それに俺の世界なんでしょ?
なんで俺じゃない人が招いてるんだよ。
ちょっとツッコミすぎたかな。
んまぁ、できることがわかったし、現実に戻る手がかり探してみるか。
● ● ● ● ●
このゲームな、絵を描くことが必須条件だったわけじゃん。
そういえばさ、俺って、絵下手なんだよね。
だからさ、ね。
例えばね、バイクとか描いてみるじゃん?
反映させてみるじゃん?
なんで、木が出てくんだよおおおおおお!!
なんで?なんでなんでなんでなんで??
何故?Why!!
しっかりと「車輪2つ」「マフラー」「乗るところ」「ハンドル?」
全部描いてあるんだよ?
大目に見てもバイクだよ!
これ、誰が見てもバイクっていうはずの絵だよ?
どうすりゃいいんだよ。
おなかすいたよ。
リンゴ描いてみた、そしたらナシが出てきた。
包丁描いてみた、そしたら包丁が出てきた、けど地面に刺さっちゃった。
水描いてみた、そしたら水色の球が出てきたから、川描いた。
包丁洗って、ナシを切った。
食べた。おいしかった。
もう日記になっちゃったよ。
いや、日記描くか。
おや、何気に良い出来具合。
ついでにペンもっと…
あのさ、聞いてくれ、俺な、未来予知に到達しうる知恵を手に入れた気がする。
ペンを描いたじゃん?
このペンたぶん、インクないでしょ。
ほーらみろ、そーらみろ、インクがナッシング。
日記描けないじゃん。
~日記一日目~
とりあえず、鉛筆出して、包丁で削った。
だから書くけるようになった。
落ち着いたから空見たら、明るい癖に太陽ないんだよね。
夜になるのかな。
ならないなら描けばいいか。
おやすみなさい。たぶんまだ昼だけど。