時計店の親爺の話をしよう。
沖縄行きフェリーの出航まで、あと2時間を残していた。しぶる弟から借り出した原付バイクに、テントと着替えを詰め込んだバッグを積んでの一人旅。いざ乗船と思いきや、腕時計の留め金が壊れた。左手首にだらしなくぶら下がったこの時計は、祖父が中学への進級祝いに買ってくれたもの。急いで原付のわき腹を蹴ってエンジンを掛け、市街地へと戻った。あった。扉には「時計店」と漢字で張り出されているので、目的の店で間違いないだろう……ある時計店の親爺さんとの思い出をつづります。
1.ひやりとした金属の感触の向こう側に、小さな宇宙があった。
2016/12/07 07:09
2.老職人の声は拍子抜けするほど明るく、ごく自然に親爺さんと改められた。
2016/12/08 07:52
(改)
3.真っ白でいて誰もいない海水浴場を独り占めして遊泳した報いなのか。
2016/12/09 05:51
4.相変わらずむせ返るような大阪の潮の香りに、むしろ、らしさと懐かしさを覚えた。
2016/12/10 08:28
5.自信たっぷりに言い切った姿に、妙な感動すら覚えた。
2016/12/11 06:52
(改)
6.書かなければならない。それを、知ったのならば。
2016/12/13 08:27