4話「先生」
入学式ではお決まりの長い校長先生の話から始まった。
勿論私は何も聞いてない、ていうか聞き流している
やっと終わったかと思えば今度は生徒会長からの言葉が始まる
「皆さん、入学おめでとうございます!ふふっ、どうやら皆さんお疲れのようですね。大丈夫です、簡潔に終わらせますから…この学校はとても楽しく、面白い学校です!きっと皆さん飽きませんよ!」
話しているのは入学式が始まる前に一緒にお話した生徒会の西条先輩…!
「せ、生徒会長だったんだ…」
生徒会とは言っていたけどまさか一番上の役職とは…
彼女のお話は校長先生よりも素晴らしかった
言ったら怒られるかな
「少し長くなりましたね、ごめんなさい。だけど、これだけは言わせてください、この学校にいる限り、貴方達は退屈しません、以上です」
つまり、先輩の言うことをまとめると
この学校はとても楽しいから入って良かったね。
え、つまらなくならないか?大丈夫、私が飽きさせないよ。
と言ったものである
流石だ、何だか西条先輩ならできる気がする。
西条先輩は壇上から降りて次は教員紹介となった
(長いなぁ…)
つい欠伸が出そうになるがそれを抑えて入学式を乗り切った。
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「それでは皆さんおはようございます!担任の中島美代です!!」
今、私の視界にいるのは小学生と見間違うくらい童顔の女の人だ。
あの入学式が終わって、教室まで案内されたかと思うと担任の先生が凄く小さかった
あぁ、本当に飽きさせない…
中島と名乗った先生はよく見れば胸の膨らみがあるし、大人と言われれば大人に見えなくもない。
「先生はこう見えて26歳です!身長は143だけど!小さいとか言わないでね!後、担当は体育です!よろしく!」
小さい、小さいよ!!!!
教卓から顔が辛うじて見えてるくらいでほとんど下が見えていない。
それに気付いたのか先生は近くにあった台(多分元々用意されていたもの)を置いてその上に乗った
やっと半分見えた。
ジャージ姿の先生は声も子供みたいだ
可愛いっちゃ可愛いけど、アレで26とは
何だかこう…合法ロリ、だな
「じゃあー…自己紹介しよう!!」
思い付いたように言う先生を見てクラスの皆はきっと子供だな、と思ったに違いない。
何だかんだ先生の言ったとおり自己紹介は始まって、出席番号、名前、入りたいと思ってる部活、中学では何部だったかを言うことになった。
1番から始まり、個性的なクラスの皆の自己紹介を聞いてるうちに私の番はあっという間にやってきた
「じゃあ次!」
先生の声と共に私を席を立ち上がり自己紹介を始めた
「…出席番号28番丸山菜摘です
入りたいと思ってる部活は…えっと」
部活、困った
入りたいと思ってる部活なんて、無いんだけど!!
いや、あった。
西条先輩に誘われていたじゃないか。
「入りたいと思ってる部活は、伝町部です。
中学では新聞部でした、よろしくお願いします」
クラスからの拍手を受け、着席した。
その時の先生の顔は輝いていた
何で…?
一通り自己紹介は終えて、この後は部活勧誘タイムだ。
この学校は部活動に力を入れているのだが、入学式の後とその次の日の2日間、放課後を使って部活勧誘の時間を設けている。
もちろん、部活は強制ではない為、自由である
私はと言うと、その伝町部とやらに誘われているので行かねばならない。
HRも終わって荷物もまとめた。教室を出ようとすると中島先生に声をかけられた
「私?」
「おー、そうそう丸山!部活について聞きたかったんだぁ」
教卓の前で会話するが、凄く小さい。
私は158はあるので見下ろす形になる。
「部活、えっと…伝町部、ですか?」
部活の事で呼び止められたが、私は今日伝町部しか言葉に出してないからきっと伝町部の事なんだろう
「うん、私その部の顧問なんだよ」
んー、衝撃発言だ
だから自己紹介の時に嬉しそうだったのか
「不思議な部だろ?中々入りたい人がいなくて…伝町部にはどうして入ろうと思った」
聞かれても困るが、西条先輩に誘われたと言っておこう。
「西条先輩に誘われて…」
「ほー、花音になぁ…人を見る目だけあるからなぁ…良かったな!伝町部は楽しいぞぉ!これから部室に案内してやるからついてこーい!」
先生はそのままはしゃいで廊下を出たがズッコケた
子供だ。