2話「高校デビュー2」
それでも親に無理に来てと頼まないのは親の為か、自分の為か。
私には弟もいるが、弟は寮制度の中学の為もう何ヶ月も顔を見ていない。
会いたいと言えば会いたいが、だからと言って入学式に呼ぶわけにも行かないだろう。
まぁ、ぶっちゃけ自分で言うけど私は前向きだ。
何事も明るく考える癖がある、だからここまで乗り切ってこれたのだ。
私は家に近い高校を選んだ為、電車で二駅行くとすぐに高校がある。
これから通う高校は部活が豊富な事で有名な『美南高校』
この高校、実は部活だけではなく生徒達も個性的で有名だ。
内心そんな高校に馴染めるか不安だったが、行ってみなければ分からないのもある。
高校までたどり着けばそこは人が沢山いて賑わっている。新入生も沢山いて何だか新鮮だ
「私も高校デビューかぁ」
一人で感傷に浸ったりもする。
この高校は制服のリボンやネクタイの色によって学年が区別出来るため一目見ただけでこの人は何年生何だ、とわかる。
私は一年生だから赤、二年生は緑、三年生は青といった色に分かれている。
校門前はガヤガヤしているし、人で溢れているため中々中に入れない。
あぁ…新入生への花バッチ付けてるのが見えるのにそこまで行けない
前の人を押してでも行くか…?いやいや、それは迷惑だよな。一人悩んだが結局流れに身を任 せた。
私的にはあの花が入学式での醍醐味だと思っている。くだらないとか言うなよ。
まぁとにかく、押されたり引っ張られたり踏まれたりしつつ、流れに身を任せて暫くしてついに私に花の番が回ってきた!
「はい、入学おめでとう!体育館に行って、パンフレットを受け取ってね」
私に花をつけたのは肩までのショートカットの可愛らしい女の人。
見た感じ二年生のようだ。
にっこり笑った笑顔が素敵だ。
体育館ではビニール袋を受け取り、名簿に名前を書き、壁に貼ってあるクラス表を覗く。
どうやら私は1-3のようだ。
体育館にずらっと並んでいる椅子、先頭にはクラスごとに分かれてる看板が立ててあり、私は三組の席に座る。
何だかそわそわしてるのはきっと見慣れない環境のせいだろう。
「はぁ…疲れた」
疲れたと呟いて私の隣に座ったのは長い髪の毛に少しくせが目立つ美人な女の人、制服のリボンを見る限り二年生だろう
…ん?
何故二年生?
「貴方、二年生が何でここに?って顔してるわね」
その女の人は私の思った事が分かったようだ
顔に書いてあるなんてそんな、どんな顔してたのかな私
「ふふっ、そんなに怖がらなくて大丈夫よ。私は西条花音。生徒会に入ってるんだけど…生徒会の仕事に疲れちゃって、ちょっと座らせてもらってるわ」
西条花音と名乗る彼女は私に微笑んだ
正直惚れた。
「あ、言え、あの…どうぞ心ゆくまでお座りください…」
西条先輩の貫禄のあるオーラに圧倒され、私は何も言う気がなくなった。
「貴方の名前は?」
「丸山菜摘です」
「そう…」
私の名前を言っていなかった、失礼な事をしてしまった、と名前を聞かれた後に少し恥じる。