君に出会えた奇跡
1ヶ月も待たせてすいません!
2012年7月23日。
【朱莉side】
友樹と付き合ってから約1ヶ月経った。
長かったようでとても短かった。友樹と過ごす日々はとっても楽しいくて、いつも別れる際はすごく悲しい。
「朱莉」
私は大好きな人の声がして振り返った。すると…
「んっ」
大好きな人が急にキスをしてきた。
「ちょっと友樹、ここ教室」
「だから?」
「はぁ…」
私は思いっきりため息をついた。
ここ最近、ホントこれに悩まされている。友樹はどこでも構わずイチャついてくる。嬉しくないって言ったら嘘になるけど、場所はわきまえてほしい。
「そうだ。今日いつもの公園行かない?」
「うん?いいよ」
「あっそう言えば恵美ちゃん先生が呼んでたよ。職員室だって」
「そうなの?ありがとう。行って来る」
私はそう言い残すと恵美ちゃん(担任)の所へ向かった。
「失礼します」
「あら丁度来たわね」
恵美ちゃんは私のことを待ってたようで入るとすぐのところにいた。
「何か用ですか?」
「ちょっとこっちに来てくれる?」
そう言って恵美ちゃんは私を職員室の隣にある生徒指導室に案内された。私、なんかしたかな?
「優太のことなんだけど」
「はい?」
優太の話題が出て少しびっくりした。もう優太が死んでしまってから2ヶ月以上経っているから。それに、ここは生徒指導室だし。
「優太は病気だったそうなの」
「え?」
そんなこと優太からも優太のお母さんからも聞いたことない。
「優太のお母さんからあなたに話すようお願いされていたの。自分が話すと泣いてしまうからって。それで、優太の命はもうあまりなかったそうなの。それであの日、優太はあなたに病気のことを離そうとしていたみたいなの。でも、不慮の事故であなたにそのことを話せなかった。それでね、優太はあなたに遺書を残していたの」
恵美ちゃんはポケットから白い封筒を取り出して私に渡した。
「優太の机を整理してたら出て来たんですって。次は私の授業だからでなくていいわ。ゆっくり読んであげて」
恵美ちゃんはそれだけ言うと教室から出て行ってしまった。
私は泣きそうになりながらも震える手で封筒を開けた。すると、優太の整った字が綴られていた。
『朱莉へ
朱莉、今までありがとう。
僕は朱莉の彼氏になれて本当に良かった。
朱莉に出会えて本当に良かった。
朱莉と出会えたのは、意地悪な神様が
僕に残してくれた1番最後の奇跡だと思う。
僕は朱莉に病気のことを話せたかな?
もし、話せてなかったとしたらごめん。
僕は本当に朱莉のことが好きなんだ。
朱莉は僕が死んで悲しんでくれたかな?
僕はこれから朱莉には幸せになってほしい。
僕のせいで朱莉にはつらい思いをさせて
しまったと思うから。
だから僕のことは気にせず前に進んでほしい。
新しい彼氏を作ってその人と幸せになってほしい。
その人が朱莉を幸せにしてくれなかったら、
僕がその人のことを呪うよ。
今まで迷惑をかけてごめん。
今まで好きでいてくれてありがとう。
もっと伝えたいことはいっぱいあるよ。
こんな手紙じゃ全然伝わらないな。
でも、最後にこれだけは言わせて。
僕は朱莉のことが好きです。
今まで好きでいさせてくれてありがとう。
本当に幸せだった。
朱莉もちゃんと幸せになってね。
優太より』
手紙にはそう綴られていた。
涙が溢れてきて、止まらなくて、もうどうしたらいいのかわかんない。
優太がここまで私のことを思ってくれていたなんて知らなかった。
優太は神様のことを意地悪だと思ったんだね。
確かにそうかもしれない。だって、こんなにも優しい優太のことを病気にした上、事故で死なせるんだから。
でもね、優太。神様は優しい時もあるんだよ。
優太が死んで悲しみのどん底だった時、友樹が現れた。私は友樹がいなきゃ立ち直れなかった。
友樹を私の所によこしたのは神様の気まぐれだったかもしれないけど、私はそれに救われた。
優太、大好きだったよ。今まで私を好きでいてくれて、好きでいさせてくれてありがとう。
私、ちゃんと幸せになるよ。友樹と一緒に。
友樹もやさしいからきっと私のこと、幸せにしてくれると思うんだ。それに、友樹が私のことを幸せにしてくれなかったら優太が呪ってくれるんでしょ?
優太、私絶対に幸せになるね。
優太、今までありがとう。