朱莉が気付いた自分の気持ち
2012年5月21日。
【朱莉side】
昨日、友樹とデートをした。そしてそこで、友樹とキスをしてしまった。まだ、優太が死んでから1ヶ月も経ってないのに。
私って最低だ。優太が死んでから1ヶ月も経ってなくて、優太への未練もたち切れてないのに。
これから、友樹とどう接したらいいの?
「朱莉、何かあったの?」
「へ?」
「さっきからぼーっとしてる。ほら、朱莉って何かあるとぼーっとしてるし。ほら、私に話してくれれば少しは楽になるよ?」
私は彩花に言われて迷った。ここは教室だし、キスしたなんて言えない。でも、1人で抱え込んでても何も変わんないし。
「あのね、昨日友樹とキスしたの」
「えぇ!キッ、キスしたぁ?」
私はなるべく小さい声で言ったのに彩花が大きな声で言った。
「彩花声でかい!」
「あっごめん。えっでも、優太君のことはもう吹っ切ったってこと?未練はないの?」
「わかんない」
「友樹君が好きなの?」
「わかんない」
私はただ「わかんない」と答えた。
本当のことだった。自分のことなのにわからなかった。
「わかんないかぁ。あっ友樹君」
「え?」
「嘘で~す。なんで反応したの?」
「だって、気まずいじゃん。昨日のことがあって」
「そっか。うん、まぁ頑張れ」
彩花はそれだけ言うと自分の席に戻ってしまった。
なんだったのか本当にわからない。彩花はたまにそういうところがある。読めないんだよな。
「おはよう、朱莉」
「あっ、とっ友樹。おっおはよう」
「どうかした?なんか変だよ」
「だって…」
私はそこまで言って詰まった。自分でも顔が赤くなるのが分かった。
なんで友樹は普通でいられるんだろう。
そんなことを考えていると頭をポンポンと優しく叩かれた。
「ごめんな、あんな事して」
私はプルプルと首を振った。
「もう、しないから」
友樹はそれだけ言うと自分の席に行ってしまった。
私の気持ちがわからない。自分のことなのにわからない。
「彩花~。どうしたらいいの~?」
私は昼休み、すぐに彩花の席に行ってそう言った。
「自分で考えなさい!」
「私、友樹のこと好きなのかな?」
「私にはそう見えるよ。…でも、早く答えを出してあげないと友樹君が可哀想だよ」
私は可哀想と言うよりは失礼だと思う。だから、早く自分の答えを出せなきゃ立ったのは分かってる。
「朱莉ってさ、友樹君のこと好きだけど、認めたくないんじゃない?」
「私って友樹のこと好きなのかなぁ?」
「朱莉は優太君のこと好きだなぁって思う時はどんな時だった?」
優太はいつでも優しかった。私にも友達にも知らない人でも。私はそんな優太が好きだった。特に、キスされる時、優太が私のこと好きだってわかって安心したし、大好きだった。
「ん~。キスされたときかなぁ」
「どんな気持ちだった?」
「キュンってした」
キュンってするけど、胸が痛くて、でも嬉しくって。キスってよくわからないんだよなぁ。
「友樹君とした時は?」
「………」
友樹とした時…。優太とした時よりドキドキした。
優太よりもちょっと強引だけど、優しくって、甘くって。自分でも、離そうと言う考えがなかった。自分でも顔が赤くなるのがわかったくらいだった。
「優太君と友樹君、どっちの方がドキドキした?」
断然友樹だった。友樹とした時の方がドキドキした。恥ずかしかったけど、嬉しかった面もある。
「友樹君なら、朱莉は友樹君のことが好きなんだよ。好きじゃない人にキスされたら普通、突き飛ばすもん」
確かにそうだ。私はあの時、友樹を突き飛ばさなかった。いいや、突き飛ばせんなかったんだ。
強引なキスだったけど、気持ちよかった。あの時、一瞬だけど、ずっとしていたいと思ってしまった。
「朱莉は友樹君のことが好きなんだよ」
彩花がもう1回言った。
うん、私は友樹のことが好きなんだ。好きになってしまったんだ。もしかしたら、昔から好きだったのかもしれない。でも、友樹が引っ越してからはその気持ちが萎んだのかもしれない。
私は友樹のことが好きなんだ。