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桜の木の下でまた会おう  作者: 逢坂すずね
第一章 恋の行方
4/10

友樹の想い 上

2012年5月15日。


【朱莉side】

友樹(ともき)の告白から5日経った。

あれから友樹君とは普通の友達として接している。

まだ、私の答えは出ていない。

優太(ゆうた)、どうしたらいいのかなぁ」

昨日、優太のお墓参りに行って来た。その時、優太に友樹君のことも話した。優太はどう思ってるかな?彩花と同じように「前に進めって」言うかな?優太ならそう言いそう。

朱莉(あかり)、どうかした?」

「え?」

振り向くと友樹君が首を傾げていた。

「ううん。ちょっとボーッとしてただけだから」

「ならいいけど。あっ大事なこと忘れてた」

「ん?」

「今度の日曜、デートしない?」

「へ?」

ビックリした。デートだなんて。私、告白の返事もしてないのに。

「あぁデートと言うか遊びに行くって感じでいてくれればいいんだけど」

いいかもしれない。友樹君とお出掛けなんてはじめてだし。

「うん!行く!どこに行くの?」

「あっ決めてなかった」

「え?私、誘ったのに?」

「肝心な事忘れてた。ほら、朱莉誘うので精一杯だったから」

「変なの〜」

私たちはそんなくだらない事で笑った。優太の事があってからあんまり笑ってなかったから友樹君には感謝しなきゃ。

「で、朱莉はどこ行きたい?」

どこがいいかなぁ。

映画、動物園、博物館。どれも捨て難いな。まぁ、どれにしろ、街まで行かなきゃだけど。

「う〜ん。どこがいいかなぁ」

「水族館とかどうかな?」

「水族館いいね!水族館行こっ!」

「了解!」

友樹君はそう言ってビシッと敬礼した。

「ふふっ。日曜日、よろしくね」

「こちらこそ」



2012年5月20日。


【友樹side】

今日は朱莉とのデートの日。

午後の1時に待ち合わせだけど、楽しみ過ぎて20分も早く来てしまった。もちろん朱莉はまだ来てない。

俺はベンチに腰掛けて本を読む。でも、1ページも進まない。今は楽しみなんだけど、緊張していて、とにかく本なんか読んでらんない。

俺はふと腕時計を見た。待ち合わせの時間、5分前だ。そろそろ来るだろう。

「友樹君」

俺は呼ばれて顔を上げた。

「ごめんね。待たせちゃったかな?」

俺は一瞬誰かわからなかった。

ピンクのブラウスに白のカーディガンを羽織って、白のスカートを穿いている。

「友樹君?」

俺は朱莉に呼ばれてハッとした。

「あぁ。俺も今来たとこだから」

「じゃあよかった。待たせちゃったかと思った」

「じゃあ、そろそろ行くか」

「うん!」

待ち合わせ場所から水族館までは大体3分くらいで着く。

その間、俺たちはどうでもいいことを言って笑い合う。

「そう言えばさ」

「ん?」

「友樹君じゃなくて友樹でいいんだけど」

小学校の頃も朱莉は俺のことを『友樹君』って呼んでたけど、好きな子にはせめて名前で呼んで欲しい。

「…友樹?」

「そうそう」

「じゃあ、これからはそうする」

「ありがとう」


少し歩くとやっと水族館に着いた。

魚たちの絵が施設の壁に描かれている。

「すご~い。早く行こ」

「そうだな」

俺たちはチケットを買って水族館の中に入った。

色んな魚がいてすごく楽しかった。

色んな魚の中で最も朱莉のテンションが上がったのがクマノミだった。

「友樹、見て!クマノミだよ、クマノミ!可愛い~」

ニモって確かクマノミなんだよな。小さい頃よく見てたから懐かしい。

「ねぇ、クマノミ可愛くない?」

「そうだな」

「でしょ?もう、大好き。可愛い」

『大好き』と言う言葉を聞いて俺の脈はなぜか速くなった。自分が言われたわけじゃないのに。

やっぱり俺は朱莉が好きなんだ。今でも朱莉のことが好きなんだ。


俺たちはクマノミを十分楽しんだ後、水族館を出た。

まだ明るい空を俺たちは二人並んで歩く。

「私ね、水族館ってはじめて来たんだ」

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