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第七話『司令』

「お前、知ってるか? 反政府軍の悪霊の話」

「なんだ、それ。都市伝説か?」

「そうじゃねぇよ。反政府軍に悪霊と呼ばれる存在が居て、俺ら政府軍を殺し回ってるんだとよ」

「なるほどな。で、なんで『悪霊』なんだ?」

「それが政府軍が気づかない内に、奴らの懐に入り込み悪霊のような顔で次々と兵士を殺して、終いには皆殺しにしているようだ」

「そりゃ恐ろしいな。どんな武器を使ってるんだ?」

「ナイフ一本……」

「……本気で言ってるのか? それ」

「本気だ。しかもほぼ単独で敵中に向かい、全滅させてるようだ」

「おっかねぇなぁ。その悪霊に出くわさないことを祈るばかりだ」

「噂じゃ反政府軍は人間兵器を使ってるらしいが、まさかこの悪霊じゃないかと噂されているみたいだ」

「人間兵器……。ナチスの呪われし研究の産物のあれか?」

「あぁ、強化手術を受けることにより、人の持つ能力を限界まで引き出す究極の兵器」

「ま、何にせよ、気をつけないとな。その悪霊とやらには」

「あぁ」


              ※


「大統領、失礼します」

 ノックとともに秘書の声が聞こえた。

「入りたまえ」

 ドアからスーツをキッチリと着こなした秘書が出てくる。

「例の政府軍の話ですが……」

「またその悪霊のことか?」

 大統領は溜息をつきながら言う。

「えぇ、相変わらずその悪霊の捕獲はおろか、身元すら掴めない状態で……。ですが、政府軍の兵士の一人がその悪霊と思しき人物の写真を収める事に成功しました」

 これを、と秘書は一枚の写真を大統領の前の机に置いた。

 奥に写っていたのは、突撃銃をあらぬ方向へ向けている兵士。そして手前に写っているモノは、ナイフを片手に持ち、今にもその兵士に飛びつかんとしているフードを被った人物だった。この悪霊は後ろを向いているせいもあり、顔がこの写真では識別できない。しかし、体格からおそらく二十代前後の成人男性かと窺えた。

「その写真を収めた兵士は?」

 大統領は葉巻に火をつけながら聞く。

「……殺されていたそうです」

 秘書は言いにくそうに言葉を紡いだ。

「ふむ……」

 大統領は葉巻の煙を吐きながら沈黙する。

 ややあって、沈黙を破ったのは秘書の方だった。

「それと大統領。人間兵器と呼ばれるこの悪霊ですが、アメリカ政府が大統領と接触を試みたいそうです」

「なぜだ」

「表向きは『人間兵器の調査』と銘打ってはいますが……、きっとアメリカ政府もこの悪霊に興味はあるんでしょうね」

 大統領は再び沈黙した。

 両者との間にしばし静寂の時間が流れた。

 そして、

「よかろう。政府軍もその悪霊に手を焼いているようだからな。CIA長官に繋げ」


              ※


「おい、聞いたか? あの話」

「今度はなんだよ。悪霊の話なら聞き飽きたぜ」

「ちげぇよ。アメリカから使者が来てその悪霊を調査するらしいぞ」

「マジかよ。CIAなのか? そいつは」

「ああ、極秘捜査チームに所属している腕利きの捜査官らしいんだ」

「すげぇな。CIA対東欧の悪霊、か」

「そんなに大それたものじゃねぇよ。だって、なんでも力で解決してきたアメリカ様だぜ? 悪霊が死ぬ瞬間が見れそうだな」

「勝敗は決まっているのか……。面白くねぇ」

「まあ、どっちにしろこれでビクビクする生活もオシマイなわけだ」

「そうだな」

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