第5話、僕とマキと発熱
昨日の慌ただしい1日が嘘のように静かな休日になる…筈が…
「うぅっ……体が…熱い…」
「修様?どうしたんですか?」
「体が…熱いん…だ」
「ちょっとお熱みますね?」
マキのおでこが僕のおでこにピタリとくっつく、本来ならドッキドキの展開だが僕なはそんな事を考えれる状態ではない
「修様!凄い熱です!48℃もありますよ!」
「そ…れ…普通は…死んで…る…だろ」
「うーん…こんな高熱は珍しいですけど…多分、魔力欠乏熱です」
「なに…それ?」
「修様は、昨日の戦闘で魔力を使い過ぎたみたいです、フレスベルガスは装備者の魔力を食べて刀身を形成しますしトュッティ(青い装飾の銃)のショットも魔力を使いますから修様の魔力が激減してしまったんだと思います…」
「どう…したら…治るの?」
「今、修様の体の中で魔力を作る細胞が急ピッチで作られ魔力を補充しています、多分そのせいでの発熱だと思います…」
「じゃ…その内治るんだね…」
「はい……私のせいですっごめんなさいっ…」
「はは…大丈…夫だよ…」
「修様…」
「…すーすー」
〜マキ視点〜
修様が寝てしまいました、私どうすればいいのやら…
「ハッ!?これはチャンスなのでは?私が修様を看病すれば…ムフフな展開にっ」
「よしっ!」
とりあえず修様に栄養つけなくちゃ!料理をしよー!おー!
「えーっとぉ〜いつものアレで…」
ガサゴソ
「あら?なくなってる…」
どどどどうしよう!!!!アレがないと料理ができない…
「あっそうだ!確か………あった!!」
「じゃーん!嘉奈さんの電話番号ー!」
プルルルル
「はぁ〜いもしもし?」
「あっあのっ!マキですけどっ!」
「あー!マキちゃん!やっと電話してくれたのー」
「あっはい!昨日はちょっと忙しくて…」
「いいのいいの!それで何かあったの?」
「えーっと熱が出てしまった時の食べ物と言いばなんですか?」
「え?熱出したの?」
「あーいやなんでもないんですっ」
「ふ〜んまぁいいや、熱出た時はお粥が一番だよっ」
「おかゆ?」
その後、嘉奈さんにお粥の事を聞きました
「他に何か聞きたい事とかある?」
「えーっと………」
「え?今なんて言ったの?」
そして夕方……
「ん?体が楽になってる」
僕は自分の部屋をでると、マキがソファーで寝ていた、マキは手に畳みかけの洗濯物を握っている
(コイツ…家事やってくれたのか?)
周りを見ると綺麗に片付いている
♪♪〜♪♪♪〜♪
僕は自分の部屋に戻って携帯をとった
「あ、熱治った?」
嘉奈だ
「あーだいぶ良くなった…って何で知ってんの!?」
「片桐君マキちゃんに感謝しなさいよ〜?マキちゃん私に色々聞いてきたんだよ、お粥の作り方とか掃除と洗濯の仕方とか」
「そうだったのか…迷惑かけたな」
「私の事は良いって、どうせ家でDVD見てただけだったから暇だったんだ」
嘉奈はくすくす笑う
「それよりまさかマキちゃんと一緒に住んでたなんてねぇ」
「なっ!?何故それを…」
「だってマキちゃん片桐君の家電からかけてきたんだもん」
あいつ…
「うーんまぁ秘密で頼むわ」
「わかったよぉ」
「うん、それじゃ」
うーん、まだ頭が狂ってんのかもしれない…マキがすっげぇ良い子に思えてきた…
「…腹減ったな」
台所へ向かうと鍋がぽつんとコンロの上にある…鍋の蓋を開けると美味しそうなお粥があった
「これか…」
僕はお粥を温めて食べた
「…あははっしょっぱいわ」
僕はまた眠くなってきたのでベッドに戻った
〜夜〜
(テレビがついてる…?)
「お、起きたか?」
「修様!起きちゃダメですよ!」
「あははっ大丈夫だよ、ほれ」
マキの手をとって僕の額に当てる
「な?」
マキの顔が赤くなる
「アレ?まだ熱あるか?」
「いっいえ…無いですけど…」
「晩飯作ったから食べよう」
「はいっ」
「よし、じゃあとりあえずよだれ拭こうか?」
マキは更に赤くなってよだれを拭いた、
「兵器の癖によだれなんか垂らすんだなハハっ」
「ほっ…ほっといて下さい!」
マキが我に帰ったので僕達は仲良く晩飯をとった
「ふ〜美味しかったですぅ」
「そうか?まぁマキに比べたらなぁ」
「むっ…大体何でこんなに料理ができるんですかぁ?」
「そりゃあずっと1人暮らしだったからなぁ嫌でも上手くなるよ」
「ご家族の方は?」
「母さんはずっと仕事でアメリカにいるんだ」
「ずっと…ですか…」
「え?そうだけど?」
「これからは………」
バサバサバサバサ!!
「いいいいいい!?」
巨大な鳥に手が生えたような化け物が窓の外にいる
「あら〜ガーゴイルですねぇ」
呑気だなっ!?
「敵か!?」
グゥゥオオオオオ!!
ガーゴイルが雄叫びをあげる、あまりの衝撃で部屋が揺れた
「100%エネミーですねぇ〜」
マジかよ!!
「ここでは周辺に被害がでます!移動します!」
マキは僕と同化した
(とりあえずベランダから飛び降りて下さい7階ですので大丈夫です)
大丈夫なわけねぇだろーがあああああああああ!!!!
僕はベランダから飛び降りた、もう死ぬと思ったね
(いきます!)
ぶわっと僕の背中からでっかい羽が生えて急上昇する
「ぐっ…すっげぇスピード…」
(来ますよ!)
僕の部屋の前辺りでホバリンしていたガーゴイルは赤い目を光らせて突撃してくる
「うわっ!」
ギリギリでかわしたがガーゴイルが飛んだ後の真空波で僕の服が所々切り刻まれる
「くっ…」
(大丈夫です、ダメージはほとんどありません、今回はコレを使って下さい、空戦ですので周りを気にする事はありません)
僕の右手は光に包まれトュッティとそっくりな赤い装飾の銃が現れる
(ガルアスは実弾ですのでチャージショット以外は魔力消費はありません)
一応気ぃ使ってくれたのかな?
「いくぞ!!」
バババババババ
ガーゴイルから飛んでくる刃物のような羽をかわしながら僕はガーゴイルの背後に回り込む
バン!バン!バン!バン!
ガルアスを乱射、ガーゴイルの背中からは赤い鮮血が飛び散る
「おらおらおらおらぁああ!!」
激しい銃弾の雨にガーゴイルの翼は穴だらけになり体勢を崩して落ちて行く
(まだですよ)
「わぁーってる!」
マキの言った通りガーゴイルは体勢を立て直し僕をめがけてとんでもないスピードで突撃してくる
「マキっ!ストールくれ!!」
(了解)
ガギィ!ガギィィン!キィン!
僕はストールでガーゴイルの鋭い爪の連撃を受け止めながら相手のスピードに押されてどんどん上昇して行き雲を抜けた
「隙!」
ガーゴイルの連撃が止んだ一瞬の隙をつき両腕を切り裂いた後蹴り飛ばす
「いくぞおおお!!」
僕はストールを投げ捨て再びガルアスを両手で持ちチャージしながら放物線状に落ちて行くガーゴイルに向かって飛ぶ
「病み上がりは勘弁して下さい!!」
至近距離でガルアスをぶっ放す
ゴアアアアアアアッ!
ガルアスからは巨大な火球が発射されガーゴイルを飲み込み爆発する
(敵ガーゴイルのロストを確認)
落下して行くガーゴイルの残骸は光に包まれて消滅していく
この光…なんだろ?
(見事でした)
「俺…強く…なってる?」
雲海の上で佇む僕を真ん丸の月が笑っていた、僕には月がいつもより青く見えた気がした
(浸ってないでストール捜しに行きますよ)
「自動でマキに戻るみたいな便利なシステム無いの?」
(ありません)
「はぁっ」
僕はため息をついて夜の街に降りて行った
「全く…格好よくしまんねぇなぁ〜」
「修様がストールをポイ捨てするからですよぉ〜」
その後2時間かけてストールを捜索したのだった。
余談だがマキの料理の教科書であるアレは冷蔵庫の野菜室で発見された
はいっ!第5話いかがでしたでしょうか?普通にマキちゃんが修真を看病する話にするのも良かったんですが、王道パターンになってしまうのでバトルを入れました、そろそろ作者のせいでキャラクターとか敵とか武器に意味不明な所が出てきたと思うので次回はキャラクター紹介的な事をしたいと思います、お楽しみに!