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第20話、しまった、最終話にするべきだった

私があらすじ言うんですか〜?わかりましたよ〜やりますよぉ〜。

えーっとですねぇ、ついに婚約した修様と私は、ついに結婚式を挙げることになりました。

けれども修様は、悪の魔女エルナの魔の手…いやいや、ヒレによって、大事な大事な結婚式に遅刻してしまうのです。

焦る私!

戸惑う修様!

さて、無事結婚式は挙げられるのでしょうか?

果たして誓いのキスは!?

「マキ…。俺、お前の事が好きだ!もう我慢できない!」

「…しゅ、修様!?あ〜!そんな!?駄目ですよ!こんな所でぇ!あぁぁぁぁれぇぇぇぇぇ」

っていうのが、前回までのあらすじですよぉ〜。

――byマキ

やっぱりお前じゃダメだ。すっこんでろ。

――by修真


 青く澄んだ空。きらきらと輝く海。サンゴ礁の中に、ぽつりと浮かんだ緑豊かな島。まるで南国リゾート地。

 心を和ませる自然の美しい風景を眼下に、翼を広げふわりと空に浮かべば心地のよい爆風が――

 なんて、最初のさわやかなイメージを一瞬にして一蹴してしまう魔界の空。

 普段こそゆったりと白い雲を泳がせ、どこまでも続いていく綺麗な空なのだが、今は真逆。戦闘が繰り広げられているのだ。


 潮塞護衛作戦を実行中の片桐家一同は、個別に分かれて迫り来るミサイルを迎撃していた。

 もう網の目のように滅茶苦茶に飛んでくるミサイル。一体どこから出てくるのかと思うほど、その物量は圧倒的に多かった。直線的に飛んでくるミサイルを避けるのは簡単な事だが、巨大な潮塞ではそうもいかない。そこで、修真達の出番である。

 どかーんと爆音と火花が散る中を、潮騒が悠然と進んで行く。その豪快かつ無骨な船体には、修真達の働きもあって、まだ傷一つ無い。


『ブリッジにミサイル接近中!撃墜して下さい!』


 船体の外部スピーカーから、律の指示が飛ぶ。モニターには、横一列に並んだ三基のミサイルがジェットを噴射しながら接近している様が映し出されている。

 危機的状況を鮮明に映し出すモニターの映像の中に、一人の青年が割って入った。その背部には、煌く光を散らす、機械のような羽。


「させるかよ!」


 そう叫ぶと、青年は手にしていた黒色の剣をその一つに狙いを定めて投擲とうてきする。直後、矢のような速さで飛んだ剣がミサイルに突き刺さり、爆散。剣は爆風に煽られ、天高く舞い上がる。

 どこからか、若々しい女の子の声が、青年にげきを飛ばす。 


(修様、残り2発ですよ!休んでる暇なんてありません!)


 その声に叩かれ、青年はきりっと表情を険しくする。そして、迫り来る残り二つのミサイルを、熱く燃えるような瞳で一瞥いちべつし、


「わーっとるわ!」


 くるくると落ちてきた黒色の刀身を持つ剣を、ぱしんとタイミング良く回収した。


「わっちちッ!」


 爆発に包まれ高熱を帯びた魔剣ストールをお手玉し、火傷した手に息をふーふー吹きかける。

 そんな修真の中から、マキの呆れた声が漏れる。


(当たり前ですよ。バカみたいにストールを投げるから…)


 修真は、居るのに見えないマキを、『バカって言うな。バカって言う方がバカだ』と睨みつけ、 


「いっくぜぇぇぇ!!」


 光を散らしながら飛ぶ。

 数秒後、青い空に、二つの爆音が生じた。

 何故だか、小説っぽく書けている気がするのである。


 所変わって、潮騒の前方。魔力障壁の庇護ひごの力にあやかれるぎりぎりのラインで、ポチは白髪を靡かせ飛んでいた。

 その頭上では、潮塞の魔力障壁に弾かれたレーザーが、バチバチと閃光を散らし四散する。

 ポチは、移り行く戦場の光景をどこか哀愁に満ちた目で見やり、気だるそうに呟く。


「あっちを見てもこっちを見てもミサイルミサイル…いい加減見飽きたわ」


 そんな彼女の背部からは、修真とは違った特徴的な生物のものに近い翼が二対生えている。肩甲骨辺りから、カラスのような羽。腰からは、コウモリのような羽が。青い空に、異様な存在感を知らしめるそれの色は、漆黒。


「にしても、書けもしないのに空中要塞とか、戦艦とか出すから自滅するのよ」


 と、今までの雰囲気をぶち壊すような一言を吐き捨てる。

 彼女の手には、その細い体には似合わない程の巨大な刃を持った、神槍ブライゼルが。物騒な槍を携えて空を舞うその風貌ふうぼうは、最早死神さえも彷彿とさせる。

 そして、彼女の眼前にも、ミサイルが現れる。


「ま、一気に片付けるのは無理だけど――」

 

 ポチは、眼前に迫るミサイル群を見据え、手にしたブライゼルに魔力を注いだ。青い刃から、オーラが燃え上がる。

 ブライゼルをくるくると器用に手の中で回し、やにわに翼を羽ばたかせると、漆黒の羽根をその場に残して飛行速度を上げる。


「少しづつね」


 キッと眉を険しくさせたかと思うと、オーラの刃が燃え上がるブライゼルの先端を、真っ直ぐミサイル群に向ける。すると、刃の先から魔力で形成された小さな光の球が幾つも浮かび上がった。


「カーニバルディストラクション!!」


 鋭い掛け声と同時に、弾かれたように猛スピードで光球が飛び立ち、青白い軌跡を残しながミサイル目掛けて飛んでいく。

 ポチは、頃合を見計り、


「――愚者よ、閃光と共に散りなさい」


 指を、ぱちんと鳴らした。

 ポチの言葉が引き金となり、ブライゼルから放たれた光が次々と青白い爆発を巻き起こし、空を埋め尽くす。周囲を圧倒的な火力に包まれたミサイルは、あっという間に破裂。更には誘爆によってドカドカドカーンと盛大な爆炎に包まれた。

 ポチはそれを背中で見届け爽やかに微笑む。


「さっすが私!ってところね」


 自画自賛しても、なんら問題の無い強さ。むしろ、この人がボスだった方がそれっぽい。

 そんなポチの視界に、青い羽根がひらりと舞い降りる。


「ん?」


 それに従って見上げれば、燦々と片桐魔界を照らし出す太陽の影から、人影らしきものが落下してくる。金の髪、小さな背丈、その人影がミュランダであることはすぐに分かった。


「――お姉ちゃーん!」


 そう言いながら、ポチの目の前で青い翼を広げて急停止。片桐家一の暴れん坊の登場である。その副産物として、見えてはいけない物が。

 ポチは、まだ幼いミュランダのはしたない行動に、目も当てられない。あ〜、と顔を手で覆いながら、なんと言うべきか言葉を探す。


「…ミュランダ、パンツ丸見え」


 言われて気付いたミュランダは、すぐさまスカートの端を押さえる。


「お、お姉ちゃんのスケベ!パンチラ将軍!」


「待たんかコラァ!なんで私がパンチラ将軍なのよ!せめて大魔王とかにしなさい!」


「お姉ちゃんなんて将軍で十分だもん!お姉ちゃんばっかり目立っててさぁ、ズルい!私も目立ちたいよ!」


 さすが、暴れん坊である。

 しかし、ふくれっ面のミュランダに対し、ポチはふふんと、余裕のある笑みを浮かべる。


「頑張りなさいミュランダ。所詮は妹、それがあなたの限界よ」


「――んなッ!?」


 がーん。

 恐らくそんな文字が、姉の発言に驚愕し、愕然とするミュランダの頭上に現れている。ぼくまきは、年功序列の縦社会なのだ。

 そして、姉に対する、がむしゃらな不満が込み上げる。


「…お姉ちゃんのぉ…お姉ちゃんのぉ…」


 怒りのあまり、迎撃をすっかり忘れているミュランダ。その背後から、ミサイルが接近する。

 しかし、あくまでも気付かない。

 迫り来るミサイル。


「お姉ちゃんの豚汁野郎ッ!!」


 だが、ミュランダは、振り返りそのミサイルを小さな体で受け止めると、体を九十度回転させ、ポチに向かって怒りのままに、無理矢理投げ飛ばした。

 ぐるんぐるん回転しながら、ミュランダの投げたミサイルが、ポチに飛んでいく。

 しかし、ポチには、ミサイルが降ろうが、バターが降ろうが、そんな事はどうでも良かった。

 他に、どうしても聞き捨てならない事があったのだ。


「ぶ…たじ…え?」 


 ポチは、ちょっと背が高く、スレンダー。それでいて、出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいるという、とても女性らしい体型なのである。別に、汗っかきな訳でもない。

――なのに、豚汁。


「だ…誰が…豚汁ですってぇぇぇぇ!?」


 不条理な暴言に激怒したポチは、ミュランダを経由して飛んできたミサイルを裏拳で、ガンと弾き飛ばす。と同時に、漆黒の翼をばさりと広げ、一気にミュランダへと接近。目にも止まらぬ速さで、ミュランダの両頬をつねりあげる。


「私の何処が豚汁なの!?言ってみなさい!答えによっては暴力も辞さないわ!」


「いふぁいいふぁいいふぁい(痛い痛い痛い)」


 既に暴力を振っているようにも見えるが、これはエンジェル姉妹のダークなスキンシップの一つに過ぎない。

 一方、ポチの裏拳で弾かれたミサイルは、推進力を失い、ひゅるひゅると落下していく。その先には、真面目に作戦行動中の修真。


「いふぁいふぁい、ふぉっへがひきれるぅぅぅ(痛い痛い、ほっぺがちぎれる)」


「誤魔化すんじゃありませんッ!!」


 やはり、運悪くミサイルは、真面目に迎撃に当たっていた修真の後頭部に激突した。たちどころにミサイル大爆発。


「さぁ、言いなさい!お姉ちゃん怒らないから!」


「ふぉ〜ほほっへふひゃん(もう怒ってるじゃん)」


 爆炎が罪の無い修真を包み込む。まさしくとばっちりである。それでも、炎の中から不死鳥のように蘇る修真。怒りのフェニックスパワー全開。体力と攻撃力、更に、かかとのガサガサが三割増しである。

 修真は、娘(?)の暴虐に怒りを覚え、打ち震える。


「うおおおお!まああああ!えぇぇぇええ!らあああああ!!」


 地獄の雄叫びという表現がぴったりの怒号が、戦場の空に響き渡った。

 それは、喧嘩の真っ最中でもある、天使の姉妹の耳にもすぐさま届く。


「え?」


「ふぇ?」


 素っ頓狂な声をあげたバイオレンス姉妹の瞳には、機械のような翼から光を撒き散らし、稲妻もびっくりな速度で接近する修真が映っていた。その服は、所々破け、すすだらけ。

 修真は、雄叫びを上げる。


「燃え上がれッ!俺のフェニィィィィックスッ!!」


「げッ」 「ひッ」


 咄嗟の判断で逃げようとするミュランダとポチ。

 しかし、修真は、その背後に般若はんにゃの表情で陣取り、二人の頭を鷲掴みにした。

 顔面蒼白で、恐る恐る振り返る天使二名。その怯えた瞳に映ったのは、猛り狂う修真。


「違うんだよパパ!お姉ちゃんが――」


「ミュランダよ!ミュランダが――」


 その瞬間、天誅が下った。


「ダブルヘッドブレイクぅぅぅぅ!」


――説明しよう。ダブルヘッドブレイクとは、頭と頭をごっつんこさせる、と〜っても痛い技なのだ。良い子は、絶対に真似しちゃダメだぞ。


「ぎゃぴ!」


「めろん!」


 天使二名の悲鳴が、戦場の空に響く。


「おい、悲鳴がメロンってどういう事だ。あれか、食べたいのか?贅沢言うな」


「いたたたた…。脳みそが飛び出してしまったわ」


 と、ポチは、額をさすりながら言った。あくまでも彼女の誇張表現であり、実際は脳みそは飛び出ていない。もしそんなことが起きたならば、ジャンルがホラーになってしまう。

 そして、ミュランダは、


「あぁぁ。めろんめろんめろん…」


 案外気に入っていた。

 二人の首根っこを掴んだ修真は、呆れ声で言う。どこかしら、娘を叱る父のような。


「全くよぉ、こんな所で初の姉妹喧嘩するなっての。ミサイルが飛んでくるってどんな喧嘩だっつーの」


 しゅんと肩を落とすミュランダと、ポチ。

 その一部始終を、修真の中から見ていたマキがなんとなく甘ったるい声で、喋りかける。

 どこか、恋人におねだりをする、乙女のように見える(実際は、物理的に見えない)。


(修様ぁ〜?私たちも、夫婦喧嘩したいですぅ〜)


「ごめん、今忙しいから。マキちゃんは、豆腐と喧嘩しててね」


 とびっきりの爽やかスマイルでさらっとマキのラブラブ攻撃をかわした修真。その手のあしらいには慣れているのだ。

 そんな四人の背後から、潮騒のスピーカーで、更に大きくなった律の声が響く。


『皆さん真面目にやってください、話が進まないじゃないですか!撃ち落しますよ!』


 その後に、ウイーンと潮塞の砲台が修真達の方に向き、その砲口がきらりと不気味に輝く。


「ごめんなさーい!…ほらみろ、お前らのせいで怒られたじゃねーか。命の危機だわ」


「真面目にやらなかったのはミュランダよ。私のせいじゃないわ」


 と、ポチはふてくされながら言う。

 そんなポチに異議を唱えるべく、声を荒げるミュランダ。


「めろん!」


「わかった。栗なら買ってやるから我慢しろ」


「まろん!」


「よし。いい子だ」


『さっさと働いてください!』


 そして、三人は再び作戦に戻り、潮塞が撃ち落とせなかったミサイルを撃墜していく。

 巻き起こる爆発の中を、戦艦潮騒が傲然と、獅子奮迅の勢いで突き進んでいく。強力魔力障壁がある為か、思ったよりスムーズに、旗艦ワダツミに接近していく。


(大分近くなりました!あと少しですよ!)


 マキの声に、一同はワダツミを見る。言った通り、かなり近づいていた。そして、それぞれが、『もうちょっと』『がんばろう』と希望を芽生させた。

 その時だった。


「あ…れ?」


 ミサイルを撃墜し、次の標的を捜す修真の動きが止まる。ただ、止まったのは修真だけではなかった。

 ミュランダも、ポチも止まった。

 時を同じくして、あれだけ猛威をふるっていた旗艦ワダツミの攻撃が停止していた。ミサイルもレーザーも、全く撃ってこない。ただ静かに、強大な鋼鉄の塊が空に佇んでいる。

 戦場の空に、無気味な静けさが漂う。

 顔を険しくさせる修真。


「止まった…ぞ?」


 そんな修真に、ミュランダが飛びついて言う。


「きっとあれ、バグっちゃったんだよ。運悪くカセットの所を蹴ったんだね!」


「マジでか。冒険の書とか消えるぞ」


 そこに、事態の不気味さを感じ取ったポチも戻ってくる。


「これ…どういうこと?カセットの所を――」


「やかましいわ!」


 聞こえるのは、潮塞のエンジン音と、風の音だけ。


「おい、マキ。どう思う?」


(……)


 しかし、返事が無い。


「マキ?おい、どうした!?返事しろよ!」


 まさか、あの機械が止まった事に、マキが関係しているのでは。もしかして、マキも停止してしまったのか――そんな風に推察する修真。

 だとすれば、相当危険な事態が――


(ん〜、なんだろ?ワニじゃなくって〜…あ、ワンダフルですね!)


「クロスワードやってんじゃねぇぇええ!!何?そんな機能ついてんの!?つーか、普通このタイミングでやる!?俺の心配返せよ!」


 当のマキは、あっけらかんとした様子で、ぼそりと呟く。


(霜降り和牛の焼肉セット狙ってるんですけどねぇ〜)


「こっちの事は俺に任せろぉおおおッ!」


 財政難過ぎて、最近大好きな肉を食べていないのである。

 そんなやり取りの中、ワダツミが位置する方向から大地どころか、空をも震わせる轟音が轟き、何やら慌ただしく動きはじめる。

 がしゃ〜ん。

 がこ〜ん。

 うい〜ん、がしゃん。

 三人それぞれが、咄嗟に振り向いて事態の把握に努める。修真は、目の前に広がった光景が信じられず、声を荒げた。


「……なッ!なんだこりゃああああ!!」


「…あ…あう」


 ミュランダに至っては、言葉が思い浮かばず、口をパクパクさせている。その表情は、嬉しくて、興奮しているようにも見える。

 ポチはポチで、がっくりと肩を落とし嘆いた。


「あ〜あ、生命保険でも入っとくべきだったかしら」


 事態が面倒くさい方向に傾いてしまったのだ。ポチ的表現を用いるならば、アヘン戦争がどうのこうの。そのへんは難しいので割愛。

 とにもかくにも、三人の瞳に映ったびっくり要塞こと旗艦ワダツミは、その姿を変えようとしていた。亀のように見えた装甲は、中心からぱっかりと割れ、まるで開花するかのように大きく広がる。そして、その中には――


「ロボット様だぁぁぁぁ!!」


 と、ミュランダが興奮のままに声を張り上げる。

 開いた装甲。そこには、人型のロボット様が鎮座していました。亀のような装甲の一部は、背後へと回り、翼のような推進装置へと変貌し、もう一部はワダツミから離脱、飛沫と共に海中へと消えた。

 そこに残されたのは流線型の滑らかな印象の機体。修真から見ても、凄くかっこ良い。とても強そう。


「パパ、あれのプラモ欲しい!買ってぇぇぇぇえ!」


 興奮のあまりきゃあきゃあ喚きながら、がくがくと修真の肩を揺さぶる。

 錯乱状態陥った上に、揺さぶられる修真の口からは、


「ロボ…ロボロロボ…」


 魂らしき物が出ている。


『皆さん、何やってるんですか!?ワダツミが居住ブロックを切り捨てた戦闘形態になったんですよ!?もっと気を引き締めてください!』


「知るかぁぁぁあ!あんな強そうなロボット様に勝てる訳ないだろ!もう終わりだぁぁぁぁあ!!」


 諦めたくなるほど強そうなロボット。第一、生身(?)の人間が巨大ロボットに太刀打ちできる訳が無い。


(修様!この世界が終わる前に、私に愛していると言って下さい!修様の愛で満たして下さい!)


「うるせぇぇぇえ!!」


 そんな修真の憤怒を他所に、ミュランダはロボット様の登場に大興奮。そのときめきは、銀河を駆け抜ける勢いだ。


「うっわ〜!ちょ〜かっこいい――!!」


「そうかしら?変形しただけじゃない」


「お姉ちゃんなんにも分かってない!」


 状況が錯綜する中、潮塞のブリッジでは、律がどこか不気味な微笑を浮かべていた。

 ふふふ。うふふふふふ。

 と、どこかイってしまったような、異常な笑いが律の口から漏れる。彼女の歓喜に震える指の先には、『変形用』と書かれた、黄色いボタンが。

 

『はぁはぁ、こ、これを押せば…へへへ変形…』


 メカニック班班長の肩書きを持つ律的には、というより機械オタクとして個人的に、に機械が変形するのには、一般人では理解できないロマンがあるのだ。

 そして、ぽちっとボタンを押す。


『変形には変形じゃぁぁぁぁあ!!文字がヤバイので説明はしまへん!』


「エルナさぁぁぁん!この人クビにしてぇぇぇ!」


 そんな叫びも虚しく、エルナは潮塞動力炉に居た。

 薄暗く少し狭い部屋にぽつりと佇むエルナ。幾本もの配線が動力炉から伸び、エルナの体に巻き付く。

 大きく息を吸い、胸に手を当てる。


「あ〜夏休み〜終われば儚いインマイドリ〜ム、暑中見舞いなんて1ミクロも返さないわ〜♪」


 エルナは、セイレーンの美しい歌声で、旋律を奏で続ける。

 因みに、Aメロである。


「彼氏もできず、旅行もしてない〜、むしろ彼氏なんていらないわ〜♪基本的に家で扇風機〜何故ならクーラーが壊れたから〜♪」


 歌い狂うエルナ。

 その体からは、青い光が溢れている。あと、哀愁も溢れている。


「友達は、海とか行って黒こげブラックキャサリン〜♪私は、死体のように純白ホワイトナンシ〜♪誰だそいつ〜♪」


 エルナの歌声が力となり、動力炉へと吸い込まれていく。この潮塞は、セイレーンの歌で動いているのだ。

 そして、エルナのスーパーソングは、クライマックスを迎える。


「それでも思い出はあるのよ〜たった二つだけど鮮烈な記憶〜♪コンビニで、アブラゼミに襲われて泣きそうになった〜♪妹から、まさかの架空請求300円〜♪身に覚えがないわインマイトレジャ〜♪妹デンジャー♪♪」


 そして、歌声が止まった。

 瞬間、動力炉全体がマリンブルーに輝き出す。


「よしッ、変形ですわ!チェーンジフォーム!」


 ガコーンと、機械が動く音が響き渡る。

 潮塞の無骨なフォルムが、徐々に変貌を遂げていく。ワダツミとは違い、角張った無骨なフォルム。その様子を例えるなら、ご飯から白米へ。

 はっきりとわかるのは、潮塞の主翼が、折り畳まれたという辺り。


「なんにも変わってねぇじゃねーか。何が変形だ」


『は、変わりましたやん?全体的に』


 さすがのミュランダも、これにはいたくご立腹。


「あっちの方が、数倍かっこ良いよ」


 ポチも、冷ややかに言い放つ。


「限りなく無駄な機能ね」


 各々の反応に、律は一人ブリッジで、すごく悪い顔をした。


『ハッ、これだから都会人はイヤなんや。なんでもかんでも見た目ばっかり。要は、中身なんですよ!機械も、人も!』


「あ、中身が変わったんだー」


 というミュランダに対して、


『いいえ。一個も変わってませんけど』


 律は答える。


「もう壊しちゃおうぜ。いらねーよ、この戦艦」


「そうね。やたら描写使うし」


『あんたら、それでも主人公とその他諸々ですか!?』


「はい!主人公わたしー!」


「は?私がその他諸々ってことかしら?」


(ポチちゃんもミュラちゃんも途中参加です。主人公は私ことマキですよ)


「お前、ヒロインでしょーが」


 ぐぬぬと、不真面目な様子の主人公一同に、拳を握り締める律。そして、怒りにひきつった表情のまま、目の前の赤いボタンを押す。

 チュドーン。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁッ」


 潮騒まさかの発砲。

 しかし、天使の姉妹は無傷だった。咄嗟に修真を盾にして、その爆発から身を守ったのだ。

 ポチは、額の汗を拭いながら言う。


「危なかったわ。勇者の盾が無かったら死んでたわね…」


 そして、ミュランダも。


「最強の盾だね。防御力5,000くらい」


 そんな完璧なコンビネーションを披露した二人の前で、黒焦げになった修真。ぷすぷすと煙を上げ、髪の毛もアフロになってしまっている。


「あ、勇者の盾って俺か。やってらんねーな」


 仲間割れをしている中、変形を終えたワダツミが、ついに始動を始め、辺りにアルテミナの声が轟く。


『わっははははー!貴様等終わりじゃー!』


 でっかいロボット様に変形を遂げたワダツミの腕部、その手の五本の指が潮塞に向けられる。

 その指先に、淡い光が集束し、


『ファンタスティックフィンガーレーザーインジャスティスめろん!!』


「あんたもメロン食いてぇのかぁぁぁあ!!」


 瞬間、今までとは比べ物にならない程の、超ど級レーザーがほとばしり、物凄いスピードで、一瞬の内に潮塞魔力障壁まで到達する。


『うっきゃぁぁあああッ!面舵面舵ー!!』


 レーザーの射線から外れようと、潮塞は方向を変えるが、間に合わない。

 強大な威力のレーザーは、瞬く間に魔力障壁を突き破り、船体の後部を掠める。なんとか直撃を外したものの、それだけで、分厚い装甲が焼き切られていく。


「潮塞が!?」「うあッヤバそう!!」(そ、そんな!?)「当たっちまったのか!?」


 直後、修真達の背後に位置する潮騒から、爆発が起きた。


『きゃああああああッ!!』


 ぐらぐらと、潮塞のブリッジが揺れ、律の悲痛な悲鳴が響く。


「りっちゃん!」


 友人の身を案じ、声を荒げるポチ。だが、ポチの声も虚しく、もうもうと黒い煙の尾を引きながら、次第に高度を落としていく戦艦潮塞。

 混乱に陥った潮塞。それでも、律は副艦長として冷静な判断を下す。色々なパネルをカタカタと押す、神業的なブラインドタッチ。


『くッ!非常用エンジン切り替え!損壊部位の離脱!』


 煙を上げる部分が潮塞から切り離され、大きな飛沫をあげて海に墜落。後部の推進装置から再び煌く光が噴出され、大海に沈むかと思われた潮塞は、なんとか持ち直す。


『こうなったら、デンジャラスモードに入るしか…』


「デンジャラス?ちょっと待て!危な――」


『スイッチオン!』


「人の話聞けぇぇぇぇえ!!」


 そして、潮塞がデンジャラスモードに入る。

 どが〜ん、ばしゃ〜ん。

 と、重圧な装甲が剥がれ落ち、海へと落下していく。全てが終わる頃には、アクアレイに推進装置が 無理矢理にくっつけられたという具合の、なんとも弱々しいフォルムに。


「装甲が無くなって丸裸ね」


「文字通りデンジャラス、ってバカだろ」


「たぶん防御力とか3だよ」


 と、すさんだ様子の片桐家一同。そこに希望の声が。


『皆さん、アクアレイのチャージ終わりましたわ!』


「エルナさん、その人クビ!クビにして!」


(修様、落ち着いて)


 エルナの真剣な声が、潮塞の外部スピーカーから漏れる。


『いいですか、アクアレイが撃てるのは一度、それ以上は私が持ちません。なのでチャンスは一回きり、皆さん参りますわよ!!』


「おうよ!」「うん!」「ええ!」(はい!)


 そして反撃の狼煙のろしが上がる。

 素早くなった潮塞に続き、片桐家一同が高速で飛ぶ。ロボット様に変貌したワダツミから吐き出される大量のミサイルを撃ち落し、潮塞の為に道を切り開く。


「いくわよッ!」


「うおらあああ!」


「雷撃ぃッ!」


 爆炎を突き破り、潮塞が驀進ばくしん

 ワダツミの動力炉では、修真達の怒涛の進軍にアルテミナが激昂する。


『おのれ魔王どもめ!!ちょこまかと動き回りよってぇぇぇ!』


 ワダツミの指から極太レーザーが照射され、閃光を散らしながら片桐家一同と潮塞に迫る。だが、ミュランダが踊り出た。


「カモンレッツゲートトゥギャザーナウ!」


 ミュランダの短縮版詠唱により発生したゲート。その中にレーザーが吸い込まれていく。


「ウェエエエエエエエイ!!」


 因みに、ゲートの悲鳴が聞こえたのは気のせいである。


(ミュラちゃんナイスです!)


『なにおおおおう!?もう一発じゃ!消し飛べぇぇぇえ!!』


 しかし、今度は修真とポチが阿吽の呼吸で飛ぶ。


「ポチ行くぞ!」


「了解よ!」


 再びレーザーが――と思った時には、ワダツミの腕部が爆発を起こしていた。


『何だと!?』


 ポチと修真によって、その指先が全て切り落されたのだ。


「私達に同じ手は通用しないわ!」


 更に、ポチの痛烈なオーラの刃の一撃が、ワダツミの胸部に叩き込まれる。鋼鉄の体にばっさりと切り傷が生じ、


『ぐぁぁぁぁあ!』


 盛大な爆発。アルテミナは髪を振り乱し、朦朧とする意識の中で潮塞を叩き落すべく、ワダツミの腕を振り上げる。

 しかし、ワダツミのモニターには、機械の羽から煌く光を撒き散らす青年が。


『――なッ!?』


「よし!フレスベルガス、食え食え食え!もっと食えぇぇぇぇえ!」


 大量の魔力を修真から取り込んだ魔妖刀フレスベルガスが、紫の光に包まれ巨大化していく。

 

(臨界値突破!いけますよ!)


 そして、ワダツミの片腕に向けて巨大なフレスベルガスの刃を思いっきり振り下ろす。


「どぅおりゃああああ!」


 刹那、今まで以上の爆発がワダツミから巻き起こり、バランスを失う。傾いたワダツミの目の前、そこにはアクアレイに光を集束させる潮塞。


『エルナぁぁぁあ!邪魔をするなぁああああ!』


 潮塞のブリッジで、その叫びを聞いたエルナは、沈鬱な表情に変わる。


「アルテミナ様…私…」


 その様子に、危険な雰囲気を感じ取る律。


「艦長!?ここまで来て、躊躇ためらうんですか!?」


 しかし、追い討ちを掛けるように、アルテミナが叫ぶ。


『私を裏切るつもりかぁぁぁあ!!この魔界を乗っ取って、平穏な生活を手に入れるのだろう!?』


 その言葉にエルナは、はっと我に帰る。

――こんなの間違ってる。


「アルテミナ様!こんなやり方、私は好きではありませんわ!誰かを傷つけて手に入れる平穏なんてイヤです!」


 アルテミナは、笑う。不気味なほど朗らかに笑う。そして、狂気に歪んだ表情に変貌した。


『エルナ、それがお前の進む道か……ならば言葉はもう必要無い!私の邪魔をするなぁぁぁあ!』


 ワダツミに残された最後の腕に、指に光が集まり潮塞に向けられる。本気で、潮塞を破壊しようとする最後の一撃。

 それを目の当たりにしたエルナは悲しそうに呟く。


「そうですか…それがアルテミナ様の進む道なんですね…」


 律が声を荒げる。


「艦長!このコースだと避けられませんッ!」


 瞬間、エルナの表情に決意と覚悟が生まれた。もう躊躇ちゅうちょなどは微塵も感じられない。


「アクアレイ用意!目標旗艦ワダツミ!」


『エルナああああああ!!』



――アクアレイ、発射。



眩い閃光が、魔界の空を、全てを埋め尽くした。




 日も落ちた夕暮れの海。森も、海もオレンジ色に染まっている。

 静かに波が揺れる浜辺には、ワダツミから離脱した居住ブロックがぽつりと佇んでいた。

 その周りに、水に住む魔の者達が。皆それぞれ、体のどこかにヒレを持っていたり鱗が生えていたりと、水棲生物的な容姿をしていた。しかも、全て女性。数にして、二百人から三百人。

 わいわいがやがやと、それぞれが談笑している。その中心にいるのは、ミュランダ。


「みっなさ〜ん。聞いて下さ〜い♪」


 少女の言葉に、続けていた談笑を各々が打ち切り、耳を傾ける。


「今日からここが皆さんの魔界で〜す!基本的に、禁則などはありませんけど、ここの魔界に元々住んでいた人達とは仲良くしてくださいね〜。それが唯一の決まりごとで〜す!」


 その裁量に、所々から信じられないという声が上がる。基本的に魔界の移住には、不利な条件や、難しい問題などが突きつけれるケースが多く見られる傾向があるのだ。それゆえ、この魔界のフリーダムな決定が信じられない。


「嘘じゃないですよ〜。この魔界の魔王…ううん。パパは誰にでも優しいんだもん!」


 ワダツミの住民は無邪気に笑う少女を見て、信じた訳ではないが希望を芽生えさせる。

 そんな折、係長率いる原住民の一団が森の方から現れた。係長はその一団から一歩出ると、ミュランダに深々と頭を下げる。


「ミュランダさん難民のお世話、お疲れ様です」


「へっへーん。こーみえて、私もお仕事できるでしょ〜」


 にっこりと無邪気に笑うミュランダに、係長はええと笑顔で頷く。ミュランダは急に不安げな表情になり係長に尋ねる。


「それで、エルナさんと律さんは大丈夫なの?」


「ええ。今、ポチさんが手当てをしています。大した怪我ではないようですので、すぐにこちらに来るそうですよ」


 ミュランダは、安堵の溜息を漏らす。

 そして、係長は難民達の前に出ると、これまた礼儀深く頭を下げた。混乱していた難民も、軽く会釈して返す。


「え〜、今この方が言われた通りです。私達の魔王は、あなた方を不利な条件で縛るつもりは一切ありません」


「信じられない…」「そんなバカな…」「何か裏があるんじゃ…」


 不安そうな難民に、係長は優しく穏やかに喋る。


「信じられませんか?はは、私達も最初はそうでした。でもですね、ここの魔王は、私達が知っている魔王とは違うんですよ。基本的に優しいんです」


 難民の一団から、豪華な剣のような物を携えた身分の高そうな女性が、係長と同じように一歩前へ出る。


「信じて…よいのか?」


 係長は、頷く。


「本当だな?」


 何度も確認する難民代表。それだけ信じられない事なのだ。

 そこに、どこか美しいピアノの旋律を彷彿とさせる声が、静かに伝わった。


「その方々は、嘘をつくような人達ではありませんわ」


 ポチに肩を貸されながらも、えっちらおっちら歩いてくるエルナと律が現れる。


「エルナ様!お怪我は!?」


「心配要りませんわ」


 不安を煽らないよう凛とした態度で接するエルナ。ミュランダが素っ頓狂な声を上げる。


「エルナさんって、高貴な身分の人だったの!?」


「あなた、気付かなかったの?あんな戦艦任されてたんだから、当たり前でしょ」


 ポチの的確な指摘に、ぐうのねも出ないミュランダ。

 エルナは、民を落ち着かせると、きょろきょろと辺りを見回す。


「あ、あの、修真さんは何処に行かれたのでしょう?あの爆発の中から私とりっちゃんを救って頂いた事、お礼を申し上げたいのですけれど…」


 そう言ってから、あの時の事を思い出す。

 ワダツミのレーザーによって大破した潮塞。燃え上がるブリッジ、倒れた律。乱れたモニターに映し出される、爆発するワダツミ。そこに、颯爽と、ブリッジの壁を突き破って現れた修真。

 そんなエルナに、ポチがとミュランダがぶっきらぼうに答える。


「「今、お出かけちゅ〜」」


「お出かけ?」


 うんと元気よく返したミュランダは、ね〜とポチに笑う。

 エルナはそうですかと言って、民に向き直る。


「皆の者、今回私達は大きな過ちを犯してしまう所でした」


 誰もが口を閉じ、しーんと静けさが漂う。


「事の発端は、アルテミナ様です。けれど、アルテミナ様の罪は、私達の罪。今後はここで生活していく事で、この魔界の方々に罪滅ぼしをしたい…と私は考えています」


 ここで、堪らず難民の一人が声を上げる。


「あのッ――アルテミナ様は!?」


 それを切り口に、静かだった難民が騒々しく騒ぎ始める。自分達の魔王がそれだけ大事なのだ。

 けれど、エルナは沈痛な面持ちで答える。


「魔王は、私が殺しました。暴走したアルテミナ様は、もう誰にも止められなかった。そうするしかなかったんです…」


 その時、ミュランダが『あー!』っと声を上げ、砂浜を走り始める。ポチもその後に続く。

 話の腰を折られたエルナは怪訝そうに振り返る。そして、その瞳が大きく見開かれた。


「え…うそ――」


 動けないでいるエルナに係長が生真面目に、お辞儀をしながら言った。


「魔王片桐がお見えです」


 一同が、夕暮れの浜辺を歩いてくる修真をその目に認める。夕暮れの日差しの中、人影は二つ、寄り添うように、ゆっくりと歩いてくる。


「あ、修様〜♪到着しましたよ〜!おーい!みーんなー!」


 と、修真の腕にぎゅっと抱きついたマキが大きく手を振る。それに対し、どこか恥ずかしそうな修真の声が響き渡る。


「だぁぁぁあ!くっくなっての!この人が落ちるだろ!」


 エルナの瞳から、つーっと涙が落ちる。悲しみではない、嬉しさから溢れた涙。

 そんなエルナの目の前まで歩いてきた修真は、朗らかに言う。


「はーい到着。すいませんエルナさん、捜すのに時間掛かっちゃって」


 修真の背には、アルテミナの姿が――

 ぼろぼろと、大粒の涙がエルナの瞳からあふれ出す。


「ぬおっ!死んでないよこの人!生きてるから!まだ生きてるから!」


 女の涙にうろたえる修真。マキは笑顔でエルナの肩を叩く。


「そうですよ〜。メス魚は、薄情者ですね〜」


 みんな笑顔だった。マキも、ミュランダも、ポチも、係長も魔界の人々も。

 分かっていたのだ。この魔王は、誰かが悲しむような選択はしないと。そして、魔王は期待を裏切らない。それが、誇らしい。自分の事のように。

 エルナは泣きながら、嬉しさのあまり修真の胸に飛び込む。


「修真さああああああん!」


 ぼよん。


「――なッ!?この柔らかい感触は!?」 


 噴き出す鼻血。


「このメス魚!!ちょっと目を放した隙に!」


 響く銃声。


「よかったねお姉ちゃん。みんな嬉しそう」


「そうね。マスターには感服するわ」


「修真さんありがどうぅぅぅ、ありがとうございまずぅぅぅぅ」


「ははっ、そんなに泣かないで下さいよ」


「ほらほら、嬉しいときは笑顔ですよぉ〜」


 誰もが笑顔になった瞬間。



 こうして、二度目の魔界の話は幕を閉じたのであった。




余談


「どぅッへぇ〜づがれだ〜。あ、俺塩ラーメン(600円)で」


あいよ!


「あはは、修様、おっさんみたいですよ?私はとんこつ(600円)でお願いしま〜す」


へい!


「パパ、おっさーん。私は味噌(650円)で!」


味噌一丁!


「私はデラックスラーメン(1500円)」


デラックス入りやした〜!


「ちょっとまてぇぇぇぇえ!すいません!今のキャンセルで!醤油で!こいつ醤油派なんで!」


デラックスキャンセルでデラックス入りやした〜!


「俺の話を聞けぇぇぇええ!」


片桐家の食費は留まる所を知らない。

はい。という訳でね、20話でございやした。

いかがでしたでしょうか?面白く出来てたら幸いです。

まー、あれですね。本当はこの話は二回くらいでさっくり終わるつもりだったんですけどね、書いてる内にぐだぐだして参りまして…

はい。どうでもいいですね。

次回はアレです。ほのぼのです。もしくはラブコメです。ほのぼのだったらとことんほのぼのします。ラブコメだととことんイチャイチャします(笑)

あ、二十回突破記念もアリですね。


という訳で、読んで頂いてありがとうございました。

次回もよろしくおねがいしまっす。


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