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第16話、この兜だけはかぶりたくないな

翌日


ドタバタと騒がしい音に、いつもの如く、ソファーで寝ていた修真は目を覚ます。


「あー、水着どうしようママ!あたし持ってないよぉ!」


「私もですぅ、超特急で買いに行きましょうか?」


マキとミュランダが、何やら話している。

時刻は、まだ八時。


「朝っぱらからうるせーなぁ〜何やってんの?」


いつも家にいるときは、修真から奪い取ったTシャツに、修真から強奪したジーンズという服装の彼女

達だが、今日は何故かおめかししている

マキは、黒いインナーのうえから白い服を着て膝くらいまでのジーンズ。

ミュランダは、この前買い与えた黒いスカートにピンクのブラウスを着ている。

彼女らは、どこからか持って来たであろう、旅行鞄に服やら、生活用品やらを詰め込んでいる。

残念ながら、前回のちょっとしたラブの雰囲気は、1ピクセルも感じられない。


「あ、おはようございます修様〜。これから魔界行くんですよぉ〜」


「行くんだよ〜」


楽しそうに、笑顔で寄って来る二人。


「あっそう、いってらっしゃい」


修真のやる気の無い返事に、ミュランダは、半目になって言う。


「何言ってるのパパ?早く準備しなよ」


(ああ、成る程)


これは、いつもの人の意見を無視した突拍子も無い展開である事を理解し、大きなため息をつく。


「やだよ、絶対行かない」


ゴールデンウィークも中盤に差し掛かっているが、修真は、これといった用事も無く家でだらけていた。

もちろんマキ達、兵器集団も。


「良いじゃないですかぁ〜ポチちゃんに鍛えてもらうって言ったのは、修様ですよぉ?」


確かに言った。


「いや、そうだけど…」


昨日の事を思い出し、修真は、後悔と恥ずかしさに同時に襲われる。


「だからって魔界に行く必要ねーだろ」


しかし、割と速く平常心を取り戻す。

鍛えてもらうとは言ったが、魔界に行く等と言った覚えは無いのである。


「この世界で鍛えたら大変な事になりますよぉ?とりあえず街の一つや二つは消えるでしょーねぇ〜」


隣にいるミュランダがうんうんと頷く。


「え〜!でもさぁ〜」


そう言いかけると、寝室の扉が開き、金属音と共に人影が出てくる。

三人とも、一時会話を中断し、その方を見て言葉を無くした。

寝室から出てきたのは、西洋風のよろいを身に纏い、おまけに顔が全て隠れてしまうタイプの兜をかぶっている何か。

そして、それは鎧をガチャガチャ鳴らしながらリビングまで歩いてくる。


「パパ!ヨロイがさまよってるよッ!」


「バッカ!おまえ、どこでそんな危険ワード覚えてくんだよ!」


「え?ポチちゃんですよね?そうですよね?」


朝のマンションの一室に現れた西洋鎧にパニックに陥る三人。

目の前に迫って来た鎧は、修真達の前で突然しゃがみ正座をする。


「拙者、修真様を鍛える為に―」


「トル○コのかたきィィィッ!!」


その瞬間、ミュランダが鎧の頭を蹴り飛ばす。

激しい金属音と共に、玄関まで勢い良く転がっていく兜。

その場には、兜の無い鎧だけが残っている。


「ちょっとぉぉぉお!なにしてんの!?どう考えても今から正体を教えてくれる所だったじゃん!!」


「あいつのせいで、私のトル○コが死んだんだよ!?私の三時間返してよ!はが○のつるぎ返してよ!」


ミュランダは、涙目で修真の脚にすがりつく。


「しらね―よ!問題発言ばっかりしやがって!おまえなんか真っ赤に怒った、おお○だまにボコボコにされてろ!」


「あれは、ホントにびっくりした!!」


などと、すれすれな会話をしている二人とは別に、マキは鎧の中を覗き込む。


「これ…からっぽですよぉ!!」


「「え?」」


マキがつんと鎧を押すと、正座していた鎧はその場で崩れ落ちる。

予想外のホラーな展開に、三人は顔を青ざめる。


「マジ…っすか…」


「わ、私ポチちゃん起こしてきますねッ!!」


鎧の脇を恐る恐る通り寝室に駆け込む、いち早く謎の自宅でさまよう鎧の後始末から逃れるマキ。


「わ、私も…」


と歩き出そうとしていたミュランダのえりを掴む。


「お前が壊したんだから、お前が片付けなさい」


「そんなぁ…」


「大丈夫、おそらく粗大ゴミで間違いない」


ミュランダにむかってぐっと親指を立てた。

がっくりと肩を落とし自分で蹴り飛ばした兜を拾いに行く。

それと同時に、今や完璧に女子部屋と化した寝室からマキと、寝ぼけ眼のポチが出てくる


「おう、ポチおはよう。ってなんだその奇抜なスタイルは、その美貌で、おっさんを体現しているのか?」


眼鏡がずり落ち、髪が半分だけ頭の後ろでまとめられ、急に大きくなった体にサイズの合っていないきっつきつのパジャマの上に、下は下着だけ、おまけに靴下を片方だけ穿いている。


「あ〜昨日徹夜したから…」


そう言いうと、あくびをしながらマグカップにインスタントコーヒーの粉を入れ、ポットからお湯を注ぐ。


「せめて、下なんか穿けよ。ってか徹夜って?」


濃い目に入れたコーヒーをすすりながら、椅子に腰掛ける。


「ええ、マスターを鍛える為に、専用の道具を作ってたの」


マキは鼻歌を歌いながら、グラスにココアを二杯入れ、それをお盆に乗せ持ってくる。


「へぇ、どんな?」


修真は、ポチの前に座る。

そこにマキは、入れたばかりの湯気の立つココアを修真の前に置き、その横の椅子に腰掛ける。


「お、ありがと」


「できる嫁の私には、このぐらい朝飯前ですよぉ〜」


誇らしげにマキは、胸を張る。


「はいはい、黙っててね。んでどんな道具なの?」


修真は、そのセリフを軽くスルーし、話題を戻す。

そのさらっとした態度に、マキはココアにマヨネーズでも入れてやればよかった。と後悔しながら恨めしそうに修真を見る。


「えっと、眠かったから良く覚えてないんだけど、鎧っぽいデザインの―」


「「ぶっ!!」」


ポチの一言に、二人は同時に飲みかけていたココアを盛大に吹き出す。

それはもう噴水の如く。

その普通とは言えない二人の様子に、ポチは目を丸くする。


「ど、どうしたの二人共」


「いや、俺は関係無いから!」


「私もです!」


ポチは、何か様子のおかしい二人をまじまじと見つめ、部屋を見回す。

二人は焦った。部屋の隅には、崩れた鎧の残骸がまだ残っている。


「何か変よ?二人とも」


「そ、そんなことないですよね!修様ッ?」


「え?あ、うん!ホントそう!」


怪しさ爆発の二人を半目でみるポチ。

急にその視線が部屋の隅に移ろうとする。


「せいやああああああッ!!」


大声と共にマキは勢い良く、鎧に突撃する。

当然部屋の隅に突っ込んだ形になるので、壁との衝突は避けられなかった。


「ど、どうしたのママ!すっごい鈍い音がしたけど!?」


丁度マキの体でポチの方からは鎧が見えない。


「いや〜なんでもないですよぉ〜部屋の角に突っ込んだらセルビア・モンテネグロに行ける気がしただけですから!」


(どんな言い訳だよ…)


しかも、そう言って振り向いたマキの顔はとびっきりの笑顔だったが、頭から血がどくどくと流れ出ていた為、不気味さが倍増していた。


「そ、そうなんだ…」


完璧に、狂ったようなマキの行動にドン引きしているポチ。

そのポチの様子を確認し、修真に向かってウィンクしながら親指を立てている。

しかし、今回ばかりは意味のある暴走だったので。


(ナイスファイト)


と、親指を立て返した。

しかし、次の瞬間。マキの下にある鎧の残骸から、恐らくは腕の部分であろう一部がポチの足元に向かって転がりだす。


「どおおおおおおいッ!!」


今度は、修真がそれにむかってスライディングを決める。

テーブルをひっくり返し、流しの下の収納スペースに突っ込む。

その、様子をただ呆然と見ているポチ。


「ど、どうしたの、マスターまで…」


「いや、スライディングしたら、世界中の虫が死滅するんじゃないかと思って」


(どんな言い訳ですか…)


ふと、マキの方を見ると、手を狐の形にして自分の事をみている。


(いや、意味がわかん)


と、首をかしげる

マキは一瞬、「はぁ?」と不満全開の顔をし、右手の狐の前に、左手で犬を真似る。

次の瞬間、左手の犬が右手の狐に襲いかかる。

と、ひとしきり遊ぶと、何かに期待するような目で修真を見ているマキ。


(分かるかああああああああッ!!)


「なんか、絶対変よ。何を隠してるの二人とも」


ポチの言葉に沈黙する二人、その額に汗が滲む。


「きゃあああああああッ!!」


突然、その沈黙を破る悲鳴。

その玄関から聞こえた悲鳴に駆けつけるとる三人。

玄関では、ミュランダが手で自分の顔を覆い、しくしく泣いていた。

しかし、その手が覆っているのはミュランダの可愛らしい顔とは似ても似つかない無骨な兜。


「「「……ぎゃはははははははははッ!!」」」


駆けつけた三人は、爆笑。


「とってぇぇぇぇ!コレとってぇぇぇぇぇ!!」


体は少女、頭は兜というバランスの悪い組み合わせ、更にはその兜から、ミュランダの悲痛な叫びが漏れている。

三人は、ミュランダには悪いと思ったが、しばらく笑い転げた。


五分後


「ちょっとかぶってみたくなってかぶってみたの、そしたら脱げなくなっちゃって…」


「そ…そう…」


三人は、しばらく笑い続けたが、あまりにもミュランダが可哀想になったので、事の顛末てんまつをミュランダから聞いていた。勿論笑いを堪えながら。


「いや…でも、似合ってるわよミュランダ…ぷっ」


「あ!お姉ちゃん今笑ったでしょ!?もう!コレ作ったのお姉ちゃんでしょ!?」


兜頭の少女が、じだんだを踏みながら怒っている。

本来なら、申し訳ないと思う所だが、ミュランダの滑稽な姿は面白すぎた。


「お、お前…流行の最先端だな…モデルもびっくりの着こなしだよ…」


「そ、そうですね…UVカットは、抜群ですよね…」


と、再び笑い転げる。


「悪ノリしてないで、早くとってよコレ!!」


「わかったわかった」


と、ポチが兜に手をかけ持ち上げるが、ミュランダの体も浮く。


「UFOキャッチャー?」


「あ、首が変!ちぎれるかも!?」


ポチは、浮いた足をじたばたさせているミュランダを床に降ろす。

どうやら、相当がっちりはまっているようだった。


「あ、私足持ちますねぇ〜」


ポチが兜を持ち上げ、宙に浮いたミュランダの足をマキが掴んでいる。


「おいおい、お前らあんまり酷い事するなよ」


せーの、と同時に両側から引っ張り合う。


「いたたたたた!!背が伸びるよ!首がちぎれるよッ!!」


「ッ全然とれないわ!この兜!」


「全力で引っ張りましょう!」


ミュランダよりも兜を取る事に本気になっている二人。

手足をばたつかせながら、必死の抵抗を見せるミュランダ。


「おい!死ぬって!ミュランダ死ぬって!」


「だいじょーぶです!天使はこのくらいじゃ死にません!」


「きゃああああ死ぬぅぅうう!!」


「ウソつけぇぇぇえ!!」


修真は、本腰を入れてミュランダを引っ張っている二人から、ミュランダを救出する。


「リ、リアルに死ぬかと思ったよ…」


兜の隙間から、ミュランダの荒い吐息が漏れている。

修真が見る限り、本当に命が危なかったらしい。


「あ〜あ、あとちょっとだったのにぃ〜」


「何?私が死ぬまであとちょっとって意味?」


「違うわよミュランダ、兜と首が体から離れるまで、あと少しって意味よ」


「それ死んでるじゃん!!」


こうも四人の会話が成り立っている所に、修真は作者のレベルアップを感じずにはいられず、驚愕が表情まであらわになっていた。しかし、それはまた別の話。

いつまでも兜をしたままのミュランダが哀れになり、外す方法を考える修真。


「やっぱ、油か?ほら、指輪が取れなくなった時ってサラダ油でなんとかするじゃん?でも、それはあんまりだよなぁ、ねぇマキさん?」


先程のスライディングで破砕された流し台の下の収納スペースから、サラダ油のボトルを取り出そうとしていたマキの動きがピクリと止まる。


「で、ですよねぇ〜」


苦笑いしながらマキは、後ろ手にボトルを隠しながら元の場所に戻す。


「やっぱり、力ずくかしら?」


「絶対ヤダッ!!」


そう言って、修真の後ろに素早く隠れるミュランダ。


「もういいじゃん、それつけたまま魔界いこうよミュランダ」


「可愛らしい娘が兜頭のままでいいのッ!?」


「じゃ、家でゲームでもしてなさい」


「そんな!?パパの鬼ッ!めがね野郎!!」


「眼鏡なんてかけてねぇよ!!こちとら視力は2.0じゃ!!」


なんだかんだで話が進まないのは、片桐家の最大の特徴である。


「じゃ、壊してしまいましょ〜」


いつの間にか、マキの手にストールが握られている。


「お前は、それで一体なにするつもりだ」


「なんてゆーか、こう、パカっといけばいいなぁ〜って」


「はい、お前バカー」


マキ的には、恐らく兜の部分だけ斬れると思っているのだろうが、ストールの恐るべき切れ味を考慮の内に入れると、ミュランダの頭もパカっといくだろう。


「私に任せて、マスター」


そう言った、ポチの手にはブライゼルが。


「はい、お前はもっとバカー。つーか、お前らにはミュランダの身を案ずる気持ちは無いのか?」


「「えっ?」」


その言葉に、二人は同時にきょとんとする。


「うわぁぁぁぁあ、私なんていらない子なんだぁぁぁぁあ!!」


そんな二人の様子を見たミュランダは、その場に崩れ落ち号泣。


「あーあ、泣かした。朝っぱらから、ミュランダ泣かした」


「あー、ミュラちゃんごめんね。なんてゆうか、悪ノリが過ぎました」


「私も」


申し訳無さそうに、二人は泣いているミュランダに謝る。

マキは、ミュランダの肩にそっと手を置き、優しく微笑む。


「ママ…」


「大丈夫、痛くはしませんから」


「お前は、鬼か!」


ゴン、とマキの頭に拳骨げんこつを下す。


「いったぁ〜い!なんですかぁ!家庭内暴力ですかぁ!?」


「どっちが、家庭内暴力だ!!しかも、いつまでこのくだり続けるつもりだ!今回ここまでで終わったらどーすんだよ!!まだ魔界も行ってね―よ!」


「大丈夫よマスター。作者は、どこで終わればいいか分かってないわ。いつも終わるタイミングがおかしいもの」


「何も大丈夫じゃねーよ!この先、不安でしょうがないわ!!」


「あの〜すいません」


「うるせぇぇぇぇえッ!!」


と、言ってから、何かおかしい事に気付く修真。

今、自分が聞いた声は片桐家の人物の声ではない。

恐る恐る振り向く修真。

四人しかいないはずのリビングに、何故か、悲しい程中途半端に禿げ上がったバーコード頭に、眼鏡をかけた地味なスーツ姿の中年男が立っている。


「誰!?」


「あの〜私、あなた様に魔界を頼まれた者です」


その男は、深々と頭を下げる。

修真は、記憶を思い返す。

魔界から戻る時に、目に付いた男性に魔界の事を頼むと言った。

だが、暗がりでよく見えなかったが、修真が頼んだ男性は、頭は禿げていなかったし、眼鏡もかけていなかった。


「うっそ!?あん時の人?顔が違うじゃん!」


「頭も禿げてませんでしたよぉ?」


「こんなに老けてなかったよね?」


「私は、目を覚ましたばかりだったから良く覚えてないけど、こんなに係長っぽくなかった気がするわ」


と、好き放題言う。


「すいません、あなた様の魔界の人々を治めるストレスでこんな風になってしまいまして…」


その言葉がぐさりと修真の胸に突き刺さる。

安易に自分の仕事を他人に押し付けたばっかりに、知らない間に目の前の男性をここまで可哀想な感じにしてしまったのである。

しかし、そんなことよりストレスでこうまでなるものかと、その方が修真の中では大きかった。

ストレスの恐ろしさを知った17歳の春。


「ホントすいませんでした」


修真は、色んな意味で謝罪した。


「いえ、いいんですよ。魔王様に仰せつかった誇りある仕事ですから…何故、魔王でもない私が魔界を仕切っているのかと虐げられ、毎日、無理難題を押し付けられる素晴らしい仕事ですよ」


と、眼鏡を外し、目頭を押さえる中年男。

更に、その言葉が修真の心に突き刺さる。


「マジですいませんでした。なんでもするんで許してください」


あまりの惨さに、反射的に土下座をする。

そんな、修真の姿にポチは苛立つ。


「ちょっとマスター、部下に頭下げるなんて、プライド無いの?」


「お前、人をこんなんにしてしまった罪は、償わなきゃならんだろうが」


修真の言葉に、「あっそ」と釈然としない様子で黙るポチ。

そんな状況を尻目に、兜をかぶったままのミュランダがとことこと中年男に近づく。


「ねぇ、おじさん、なんで人間界にいるの?」


自分に、声をかけた少女を見てギョッとする中年男。

額に滲んだ汗を、上着のポケットから取り出したこれまた地味なハンカチで拭いながら、兜頭の少女らしき人物を凝視する。


「お、おや…中々ずば抜けたファッションセンスの持ち主のお嬢さんですね…おや?この兜、呪術がかかっているようですが…」


その言葉にマキは、はっとする。


「あ、そっかぁ!だから取れなかったんですね!ミュラちゃん、壊呪魔法かいじゅまほうですよ!」


「わかった!」


元気良く返事をして、ミュランダは、おもむろに目を閉じる。

すると、ミュランダの周りに、黒い魔法陣が浮かび上がる。


(あ、魔法か)


修真がそう思った頃には、ミュランダは詠唱をはじめていた。


「我の身に纏われし酷意こくいじゅよ、我の更なる呪でその意をたがえん、禁呪デルゾースッ!」


瞬間、兜にひびが入り砕け散り、ミュランダの差し出した両手に砕け散った破片が集まり、兜を構築する。

が、先程のシンプルなデザインとは違い、黄色い文字のような羅列が刻まれたかっこいい感じの兜に変貌を遂げている。


「「「「おお〜」」」」


と、ミュランダの鮮やかな魔法に、片桐家の三人と、中年男が賞賛の拍手を送る。

そんな四人に対して、スカートの端を軽く持ち上げお辞儀をするミュランダ。


「何いまの魔法?兜が前よりかっこよくなってんじゃん」


「えっとね、あの兜にかかってた外せないっていう呪いを一回粉々にして、新しい呪いを混ぜて上書きしたの。すごいでしょ?」


「すごいですねぇ〜。ミュラちゃん、なんの呪いを上書きしたんですかぁ?」


「つけた瞬間に、両足がとんでもない水虫に冒される呪いだよ。つけた瞬間に、足の裏が気持ち悪い水泡だらけになって、狂いそうになるほどの痒みにおそわれまーす。おまけに一度つけると、この兜は外れませんのでご注意をッ」


えっへんと胸を張るミュランダ。

しかし、一同顔面蒼白。


「ミュランダあなた、恐ろしい兵器を作り上げたわね…身震いが止まらないわ」


恐ろしい程の力を持つポチでさえ、肩を抱きぶるぶる震えている。


「なんて陰湿な呪いなんだ…話聞いただけで鳥肌が立つな」


「最悪の兵器として、未来永劫みらいえいごう語り継がれてもおかしくありませんねぇ…」


「いつぞやの天使のお嬢さんが、こんなに危険因子を秘めた存在だったとは…」


恐ろしい兵器を三分クッ○ングも驚愕のスピードで作り上げてしまった、暗黒陰湿最凶魔法少女(あんこくいんしつさいきょうまほうしょうじょ)から、それぞれ距離をとる。


「ちょ、ちょっと、みんな引き過ぎだよ?あ、そうだ、おじさんは何で人間界に来たのっていう話だったよね?」


「あ、それは、次回に続きます」


「えええええええええええっ!?」

はい、とゆう訳で16話だったんですが、いかがでしたでしょうか?


ここで作者は、ある事に気付いたんですが、ほったらかしでもこの物語は、地味に読者が増えてくんですよね。

もしかしたらリピーター的な、「早く続き書いてくんないかな?」的な人がいるのではと…いや、まさかね…


もし、そんな人が本当にいれば適当に感想で「いるよ」って書いて下さい。

かなりの確率で更新スピードが上がるかもしれません。


そうでなくとも、常に見切り発車の物語に、ご意見ご要望のある方は、好き勝手に感想書いて頂いても全然オッケーです(笑)

っていうか、「なんか反応が欲しいっ!」ってのが本音なんですが(笑)


そういう訳で、また次回も読んで頂けると光栄です。

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