第五十一鈴 ダンジョンの湯
魔王討伐の為魔王城に向かう響達一行と勇者ハリオは暗黒のダンジョンを進むのであった。
響達は暗黒のダンジョンを進む。
「ねぇ、ハリオ。ハリオってここのダンジョンあんまり来てなかったの?」
響は不意にハリオに尋ねる。
「いや、そんなことはない。このダンジョンがスキップができることに気づくまで試行回数約1000回はここのダンジョンに来ていた」
「ふーん、そうなんだ。それにしてはトラップに対してあんまり把握してないよね?」
「試行回数約1000回、内スキルを使わずに攻略出来たのは約500回。半分だ」
「おかしな話だな。一度攻略出来たらもっと攻略率上がりそうなのにな」
「実はここのダンジョンのある仕掛けの仕業で攻略が面倒になっているんだ」
「仕掛け?」
「まあ、進めばわかるはずだ」
そう言ってハリオは道を進んでいく。
「あれ〜なんかもわもわを感じるよ!」
道を進んでいるとモサ子がぴょんぴょんと飛び上がっていた。
「もわもわ?確かになんか気持ち悪いな…これって湿気か?」
「確かになんかどっかで温泉でもありそうな感じだね」
「響!温泉って何?」
「温泉はね、あったかいお湯に入ってゆったりする場所だよ」
「えー何それ!面白そう!」
「モサ子のその感じだとゆったりは出来なさそうだがな。そもそもこのダンジョンに温泉なんてないだろ?」
のなかが正論をいうとハリオは歩くのをピタッと止める。
「あった」
「は?」
先頭を歩くハリオが指を指す。
「あ、ほんとだ『ダンジョンの湯』って書いてある」
「いや!おかしいだろ!どう考えても罠に違いない!」
「だがな、のなかこの通り温泉のマークが書いてある。これは温泉としか言いようがない」
「なんでダンジョンに温泉があるんだよ!」
「決まってるだろ?回復だ。魔王の支配がまだされていない当時はここらは温泉で有名な地方だったんだ。それも肌によく、体の不調も回復させる万病の薬として親しまれていたこともあったんだぞ」
「いや、俺が言いたいのはここに温泉があるのがおかしいって話だ!」
「わー!温泉楽しみ!」
モサ子は走って温泉と書かれた暖簾をくぐっていく。
「おい!モサ子!待て!」
「のなか、ここは他に道もない。それでなくても地獄の砂粒の砂が気持ち悪いしな。入るしかないだろ?」
「意味がわからない…」
のなかは警戒しながらしぶしぶと後を歩いて行った。
ダンジョンの湯と書かれている場所は暖簾をくぐるとご丁寧に男性、女性に別れていた。
「本格的な温泉だね」
「そうだな。じゃあ、俺たちはこっちで休ませてもらうぞ」
そう言ってハリオとのなかは男性の温泉に入った。
「じゃあモサちゃん一緒に行こう!」
「わーい!楽しみ!」
響とモサ子も女性用の温泉に入って行った。
「うわ!すごい結構広いんだね!」
中には大浴場があった。
天井も気持ち広く声が響くほどであった。
響はバスタオルを巻いて湯に浸かる。
「あー、いいね。ずっと戦ってきたからたまにはこう言うのもいいよね」
「うん、ゆっくり出来て楽しい〜」
モサ子はバシャバシャと泳ぎ回っている。
「モサちゃん元気だね。でもね、温泉はゆっくりするんだよ」
「わかった〜!」
ぷか〜
モサ子は動きを止めてぷかぷかと浮かぶ。
「響!温泉って気持ちいいね!」
「モサちゃんが気に入ってくれて良かったよ。そうだモサちゃん数字って分かる?」
「なにそれ!?」
「教えてあげるね、お風呂でのぼせないように10まで一緒に数えよう」
「わかった!」
響は温泉につかりながらモサ子に数字を教えたのだった。
◇
時を同じくして男性の浴室ではのなかとハリオが温泉に入っていた。
「ぷはー!あーだこーだ言っていたけど、やっぱり温泉はいいな。旅の疲れが取れるぜ!」
「俺の言った通りだろ?のなか。だがな…」
ハリオは途中で話すのを止めた。
「なんでお前はスーツを着て風呂に入っているんだ!?」
「なんでってスーツも休ませてやろうと思ってな」
「いや、逆に錆びつくだろ!?」
「このスーツは水陸両用なんだぜ?」
「それじゃあ風呂に入っている意味がないだろ?」
「そんなことはない。MPSは俺にとって命の次に大事なものだからな。このスーツも休ませてやろうと思っているんだ」
「意味がわからないぞ。湯に浸けてスーツが回復するわけないだろ!!」
「気持ちの問題だな」
「だったらさっさと脱げ!」
ハリオはのなかのスーツを脱がそうとする。
「まてまてハリオ。落ち着け、俺はまだこの温泉がただの休憩スポットではないと思っている」
「…なるほど、それが理由ということか?」
「ああ、この奥の壁に向かっていきなり床が深い場所がある」
「…気づかなかったな。そもそもこの温泉は初めてくる場所だ。のなかの言う通りトラップの可能性も考えておくべきか」
「ハリオ、俺はこの先の水深が深い場所に降りてみる。お前はここで休んでいろ」
「水中でも息が出来るなら心強いな。俺には何もできないな。のなかに甘えさせてもらうか」
ハリオは掴んでいたのなかを離して隅に座って一息つく。
「じゃあ、なんかあれば呼んでくれ!」
ハリオはそう言って沈んでいくのなかを眺めていた。
「ああ、また会おう」
のなかは水中にすす〜と落ちていきグッドポーズを最後に残して消えていく。
水深が広い場所をぬけると広い空間が広がっていた。
「なんだここ?もしかして敵がいるんじゃないのか」
そう言ってのなかは索敵を始める。
「いる!!」
◇
「いーち、にー、さーん」
モサ子は響から教わった数字を復唱していた。
「ねぇ、モサちゃん温泉の底に道があるよ?なんだろうちょっと私行ってみるね」
「わかった!よーん。気をつけてね。ごーお」
数字を数えながらモサ子は響に手を振る。
スーーーハーーー!
響は大きく息を吸って水深の深い場所に潜る。
「何ここ広い空間…まさか敵がいるんじゃ…いた!」
響は水中の中に黒い人影が目に入る。
その瞬間その人影からミサイルが飛んでくる。
ーーーチリン!
譜面の円盤が出現して響はミサイルを弾く。
バン!バン!
ミサイルの衝撃が波を揺らす。
バン!バン!バン!
ミサイルは休む暇なく飛んでくる。
(あ、どうしよう…息が…!?)
響は息ができなくなることに気づいて焦りを感じる。
(どうしよう!逃げないと!)
響は初めての水中戦に不慣れで合った。
「…チャンスだ!」
黒い人影から声が聞こえ、間合いをつめてくる。
「…負けられない!オンステージモード!」
響の譜面の円盤は赤くなり周りに酸素の空間が響を包み込む。
「ふー…すごい息ができる…いくよ!」
響は勢いよく接近してくる人影を弾き始めた。
タン!!
「ガハッ!」
タンタンタタタタンタタタタタタタタタ!!!
連打を決めて黒い人影は壁に打ち付けられる。
「あれ?もしかしてのなか!?」
「ガハッ…」
のなかが飛ばされぶつかった壁が崩れて温泉の湯が流れ始める。
「うわ!!」
響も流されて壊れた壁の外に出される。
そこはダンジョンの通路であった。
「え?もしかして、これもダンジョンの一つだったってこと?」
響は立ち上がり周りを見渡す。
そこには倒れたのなかがいた。
「お互いを戦わせるというトラップだったのかもしれないな。さすが響だぜ…」
のなかはゆっくりと立ち上がる。
「だが、これで先に進めるな!」
壊れた壁からハリオが出てきた。
「ちょっ!ハリオ!」
「お前…服を着ろ!」
ハリオは裸で腰に手を当てている。
「なんだその言いようは、温泉の湯を抜いたのはお前達だろ?」
「たしかにそうだが!」
「響…お前は水中でも問題なく戦えるのだな」
「そうみたい…っていいから早く服着なよハリオ!」
響はそう言ってそっぽを向く。
「しょうがない…」
ハリオはしぶしぶと服を取りにもどった。
「あれ?そういえばモサ子はどこにいるんだ?」
「あ、モサちゃん!まだ上にいるかも!」
響はモサ子を思い出してハッとなる。
「ここにいるよ〜」
モサ子は地面からにゅるにゅると出てきた。
「モサちゃん!きてたんだね!」
「お水が流れたから私も一緒に流れてきたよ」
「よしじゃあ、先を進もうか」
「うん!お風呂楽しかった!また一緒に入ろうね響!」
「そうだねモサちゃん」
そう言って響達一行は先を進むのであった。
「あれ?おい!俺を忘れるな!」
その後ろを置いてかれたハリオが走って追いかけるのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
忘れておりましたが、第五十話目を超えました。まさかここまで続くとは思っていなかったので自分でも驚きです。ここまで読んでいただけてありがとうございます。
現在下書きでありますが第六十六話まで書き進めました。奇行な勇者編は六十二話で完結予定です。ノーツ化スキルで異世界無双を末長く楽しめるようストーリーをたくさん作っていきます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
次回は魔王討伐に向かったルマージ回です。お楽しみください。




