第四鈴 MPSのなかの人
MPSメインのバトルシーンです。
響ちゃんは今回観戦側になります。
「よし、これで準備完了だな。」
響が製造の国に来てから半日が経った。
のなかは水色のMPSを身にまといドローンでコンテナをゲートまでの道のりに設置し一息ついていた。
魔法使い達は一時的に体制を立て直しているようで奇襲の後はゲート周りも静まりかえっていた。
「のなかっち。あんまり頑張りすぎちゃダメじゃよ」
「姫、ご心配ありがとうございます。でも今回の攻撃で勝負を決めさせていただきます」
「一つ質問いいですか?」
二人の間に響が割って入ってきた。
「のなかのスーツってたくさんあるんだよね。他の人達も着て一緒に戦うのってダメなの?」
「俺のスーツはスーツ化スキルを保有している俺専用なんだ。他の人達も着ることができるが、俺並みに扱うことはできないだろ」
「へー。だから他の防衛兵は遠距離での射撃ばっかり行っているんだ」
「ひびきっち。のなかっちのスーツはのなかっちの意地があるんじゃよ。こだわりがあるのはしょうがない。この国の人たちはみんな理解しているんじゃ」
のなかはさりす姫の方を向いた。
「今回は負けない。あの魔法使い達を縦横無尽に倒してきた響の動きを参考にスーツを考えてきた。MPSマーク19爽凛浮遊するサーフボードに乗り空中を高速で駆け巡ることができる。これで魔法使いの空中戦に対抗して優位に戦えることができる」
「信じておるぞのなかっち、では出撃準備を始めるのじゃ」
「はい!姫!必ずあの魔女を撃ち倒してきます」
のなかは建物の中に入っていく。
「えっと、私はここで待っていればいいんですよね」
「そうじゃ、ひびきっち。そなたは敵の第二陣に備えるのじゃ。それまでは私と一緒にのなかっちの活躍を見守っているのじゃ」
日が沈み始める。出撃ハッチの扉がゆっくりと開ける夕焼け空にMPSの影がさす。
「のなか、MPSマーク19爽凛出撃する!」
のなかは力強く飛び空中で足をボードつけた。ボードについていたバーニアが火を上げ一気にスピードが上がる。風を切る速さでのなかは街から外れた工場地帯のゲートに向かって飛ぶ。
「夕焼けのこの時間ゲート側から見ると太陽の日がさして俺の動きが見えにくくなるはずだ」
ゲート側から人影が見える。魔法使いたちだ。
「さっさと自分の国に帰りやがれ!」
魔法使い達は首から繋がった羽の生えたホウキの浮遊力を使いのなかに向かって飛び交っていく。
その数は約50人ほどの人数であった。
炎、水、雷、あらゆる魔法がのなかに向かって飛んでいく。
ボードに乗る姿勢をさらに低くしてのなかは加速する。
「これなら俺でも戦える!」
のなかは空中を回転し飛んでくる魔法を避けながら魔法使い達に突撃していく。
「くらえ、爽凛ラリアット!」
ダン!ダダダダン!
のなかの攻撃を受けた魔法使い達がどんどんとぶつかり合い下に落下していく。
「爽凛スライド!」
ボードを回転させて魔法使い達にぶつかっていく。
◇
街の建物から響とさりすが見ていた。
「全て打撃技なんですね。あれも私の動きを参考にしているってことですか?」
「ひびきっちの高速で動く攻撃に嫉妬したんじゃと思うぞ」
◇
魔法使い達を半分ほど倒したのを確認しのなかはゲート近くに降りたった。
「正直、こんな高速で飛ぶなんてMPSマーク6飛弾以来だ。スピードにスーツがついていかないのはしょうがないな」
MPSの関節部から煙が出ていた。ボードもエネルギーを失いカランと地面に落ちる。
チャンスと見た魔法使い達は一気に突撃してくる。
その瞬間、MPSから煙が出てきて周りが煙に覆われた。
「スペアを忘れてもらっちゃ困るんだよ」
煙の中でスーツが地面に落ちる音が聞こえる。
のなかはバックパックにあったスペアのスーツを装備していた。
「うろたえるな!集中攻撃だ!」
魔法使い達は煙に向かって魔法を繰り出す。
その煙の中から緑色の腕が見える。
ーーードゴツ!
とたん魔法使いの顔面にパンチが繰り出され魔法使いは飛ばされていく。
「MPSマーク20波動装着完了!」
そこには緑色のスーツがいた。両腕には波動を出す武器を装備している。
のなかを囲む魔法使い。のなかは波動を放ち次々と魔法使い達を吹き飛ばしていく。
魔法使い達の攻撃はMPSに当たるが、MPSはその攻撃に動じず前へ歩みを止めない。
「くらえ特大魔法、ファイヤーエンブレム!」
巨大な炎がMPSに襲いかかる
「負けてたまるか!くらえ波動玉!!」
MPSは右足を深くさげ体制を固定させ両腕から特大の波動攻撃を繰り出した。
しかし炎の威力は強かった。MPSは炎に飲まれ後ろのコンテナに飛ばされていく。
魔法使い達は喜びあっていた。
「この世界の異能力者は俺たちでも倒せるぜ!これであともう一人の異能力者を倒せばこの世界は我々のものになるぞ!」
のなかの飛ばされたコンテナから物音がした。
◇
「えっと、さりす姫、のなか負けちゃったんじゃ・・・」
建物から見ていた響はつぶやいた。
「そろそろ私たちも向かおうかの」
さりすは車に歩き始めた。
「でもねまだだよ、ひびきっち。のなかっちはほんとに諦めの悪い噛ませ犬なんじゃ」
さりすはニッと響に笑顔を向けた。
◇
のなかが飛ばされたコンテナが弾け飛ぶ。
「なんだ?何が起こっているんだ!」
コンテナの中から2倍の大きさの黒と青色をしたMPSがいた。
「MPSマーク9巨像装着完了!地表を踏み潰す!!」
巨大なMPSは残っている魔法使いに向かいタックルを仕掛ける。
その大きな腕の振り落とす動きはさっきのMPSと違い動きが読めず、どんどんと残っている魔法使い達を吹き飛ばしおていく。
「特大魔法、サンダーエンブレム!」
大きな雷の魔法がMPSに向かって飛んでくる。
しかし巨大なMPSの装甲は分厚く魔法は全く効かない。
MPSはゆっくりと魔法使いに近づいてくる。
「特大巨像パンチ!」
フルスイングを決めたパンチが魔法使いに当たり魔法使いは遠くへ吹き飛んでいった。
「これで進行する魔法使いどもは一層したか」
「私の魔法使い達を好き勝手殴りつけるなんて許せない」
魔法の国の指導者アン・カーキィがゲートの先から姿を現した。
とたんのなかの足元に光がさし空間が出てきた。
一瞬の浮遊感にすぐに察知したのなかはスーツの脱ぎ捨てバックパックにあったスペアのスーツへ装着をした。
MPS巨像は大きなスーツの為落下までの時間に余裕があった。
「この技、空間落下は最強なのよ。どんな相手も一瞬にして倒せるのよ。あら?」
アンの発動した地面の空間の端から手が見える。
その手を軸にして勢いをつけて空間からMPSが飛び出してきた。
「MPSマーク14猿亭装着完了!同じ手は二度と引っかからないぜ!性格の悪い魔女さんよ!」
のなかは茶色い腕の長いMPSを装着し空間から間一髪で落ちずに済んだ。
「運のいいやつ」
アンは自分の周りに空間を出しそこから瓦礫を飛ばしてくる。
しかしのなかはMPSの長い腕を使い周りの建物を軸にスイングしてアンに近寄ってくる
「今度こそお前を倒す!アン・カーキィ!」
MPSの長い腕の先に鋭い爪がのびアンの額に傷を負わす。
「くっそ!ふざけた異能力者め!!」
アンがのなかの方を見た先にMPSの姿はなかった。
グサッ!
MPSの長い腕から伸びる爪がアンの腹に刺さる。
「がはっ!」
アンは血を吹き出しその場で倒れこむ。
「アン様!!!」
のなかの背後から強烈な一撃が襲いかかる。のなかは片方の腕を地面に突き刺し方向を瞬時に変えたが間に合わなくそのまま一撃をくらい飛ばされていく。
「アン様!!死なないでください!!私せっかくアン様と同じレベルに達したと言うのに!!」
のなかに強力な一撃を与えたのは空間スキル習得者6人のうちの1人チー・スミスだった。
「チー、私としたことが油断してしまいましたわ。他の者の弟子達も戻ってきていないのであれば、魔法の国は不利になる。あなただけでも逃げなさい」
「いやですわ!!私せっかくスキル保有者を倒して鈴を手に入れてアン様と同じく空間スキルを大人数の魔力を使わずに発動できるようになったのに。やっとアン様に追いついたのに!!お別れなんて!!」
アンは力なくチーに指示を出した。
「魔法の国とのゲートを閉じなさい。そしてあの怪物の世界とのゲートを開くのよ。あの異能力は私でも歯が立たなかった。この世界を破壊するにはちょうどいいわ」
「わかりましたわ!」
チーが力を使い魔法の国と製造の国を繋ぐ大きなゲートは閉じた。
「アン様のお言葉通りあの怪物のゲートを開きます!」
星空が綺麗に見える夜空に再び光がさし空間が出現した。
噛ませ犬であるMPSの中の人を目立たせる予定はありませんでした。しかし響ちゃんのバトルシーンが入るとさらに長くなると思いここで終わっております。
空間、ゲート、ここの言葉の統一がなっていなく気になっております。見つけ次第修正していきますのでよろしく願いします。