第四十五鈴 This is all what I have.
タイムリープのスキルを使ってノーツ化スキルの響に挑む勇者ハリオ。何度繰り返しても勝てない響に策が尽き仕掛けもバグもない真っ向勝負で戦いに挑むのであった。
ハリオはタイムリープのスキルを使って意識を響と出会う二週間前にもどした。
「確かここだったな」
ハリオは瓦礫まみれの廃村にいた。
「あのレンガはどこだ?…お、あったあった」
瓦礫の中から光り輝くレンガを拾い上げた。
「不思議な話だ。この朽ちた廃墟にこの世界で一番硬い物質だとは思わないだろう」
ハリオはレンガをポーチにしまって再び歩き始める。
「さあ、今回も響を倒しにいくぞ」
◇
ハリオには作戦なんて一切なかった。
それゆえに今持っているこのレンガの武器を強化できないか武器屋に向かう。
「確か村の武器生成を行なっている店はここだったか」
ハリオは武器屋に入る。
「武器の生成をお願いしたいのだが」
武器屋の店員にハリオは先ほど拾ったレンガを渡す。
「…たかが、レンガじゃないか。こんなので武器を作ったところですぐに壊れるぞ」
「そう思ってずっと使っているんだが、このレンガは魔王の攻撃も弾き飛ばすほどの耐久性、そして敵を一撃で殴り倒せる攻撃力もある」
「…たしかに、外が焼けてボロボロになっているが、よく見ると中からクリスタルの様な光が輝いている。数年前に空から降ってきた隕石ってもしかしてこれのことなのか?」
「隕石?たしかそんな話聞いたことあったが、まさかこれがその隕石か?」
「興味深いな。武器の生成か、試してみよう」
武器屋はハリオから受け取ったレンガを受け取り奥の部屋で作業を始める。
20分後
「…勇者ハリオ、このレンガは全く加工することができない。熱も通らず、叩いても砕けず、この世界のものとは思えない硬さだ」
「…そうか、相当レアなアイテムを手に入れたみたいだな」
ハリオはその時、気がついた。このレンガは響との戦いで一切砕けずに弾かれては地面に落ちるを繰り返していたことに。
「まさか…これが唯一響と互角に戦える武器なのかもしれない」
数日後ハリオは再び響との戦いに挑むのであった。
「響勝負だ!」
「いいよハリオかかっておいで!」
ハリオは響に攻撃を仕掛ける。
振りかぶりレンガで打撃を狙う。
ーーーチリン
響はスキルを発動する。
「…チュートリアルな譜面」
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
響はハリオの攻撃を全て弾き切る。
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
ハリオは自分の攻撃がパターン化されていることに気づく。
「響、俺はもう以前の俺とは違う!」
ハリオは足元に属性魔法を発動した。
ボンッ!!
「譜面が変わった!?」
ハリオの動きは炎の爆発で勢いがさらに増す。
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
しかし響のノーツにはハリオの動きは全て見えている。
「ハリオ、悪いけど何をしても無駄だよ」
タンタン!タン!!
響はリズムよくハリオの攻撃を弾き吹き飛ばす。
「くっ!まだだ!まだいけるぞ!」
ハリオは食いしばりながら再び響に立ち向かう。
タタタタタタタタタタタタ!!!
(何か手がかりを!響を倒す方法を!)
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
ハリオの打撃攻撃はスピードを増すごとに衝撃波も波を打つ様に勢いが増す。
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
しかしその攻撃は全て響に弾かれる。
タンタン!タン!
響は隙を見てハリオを吹き飛ばす。
「がはっ!」
「ハリオもう諦めたら?」
しかしハリオはその瞬間見逃さなかった。
小さな土埃が響の髪に当たる瞬間を。
(響の腕の内側に入れば攻撃のチャンスがある)
ーーーチリン
ハリオはタイムリープのスキルを発動して響との戦いの前に意識を戻す。
「響、勝負だ!」
「あれ?もしかして、これ何回も繰り返してる?」
響の問いを無視してハリオは攻撃を仕掛ける。
タタタタタタタタタタタタ!!!
響はハリオの攻撃を弾き切る。
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
(あれ?なぜだ。さっきは振り切っていた攻撃も振り切る前に弾き飛ばされる)
ハリオは違和感を感じていた。
(なんだ、これは。俺の攻撃が読まれて…)
ハリオは響の余裕な表情をみる。
(俺のタイムリープのスキルは俺以外の人は記憶を維持することはできない。まさか響は潜在意識で俺の攻撃を覚えているのか!?)
ハリオの打撃攻撃は全く歯が立たない。
タンタタタタン!
そしてノーツと共にハリオは弾き飛ばされる。
「俺打撃攻撃に合わせて響のスキルも上がっているというのか!?」
ーーーチリン
ハリオは再び意識を巻き戻す。
タンタタタタタタタタタン!!
いくら攻撃してもハリオの攻撃は弾かれる。
タタタタタタタタタン!!
無理だと感じるこの戦い。
タタタタタタタタタタタタタ!!!
しかし、ハリオはこの戦い続けることに高揚感を感じ始めていた。
(響の腕の内側の間合いに入れば攻撃が当たるはず)
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
「俺はこの戦いでお前に勝って見せる!!」
タタタタタタタタタタタタタタタタ!!!
「諦めなよハリオ」
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!
タイムリープのスキルを手にしてからどんな相手も勝つまで戦い続けていたハリオにとって決して倒せない響は通過点でしかないのだ。必ず勝つ方法があると感じている。
タン!!タタッ!!
しかし響のノーツ化スキルは次元が違う。
タンタンタン!!
ハリオのいかなる攻撃も全て譜面の上の出来事でしかない。
タッタタッ!
響はそのノーツをリズムよく弾くだけである。
タタタタタタタタ…タッ!
が、その時弾く角度がズレていた。
ハリオのこの機会を逃さなかった。
(来た!)
シュン!
ハリオの体は吸い寄せられる様に響の腕の内側に潜り込む。
「この間合いなら俺からの攻撃も弾くことはできないな!響っ!」
ハリオは響の腕の内側に入る。
ブンッ!
ハリオは体制の崩れた響に振りかぶる。
「すごいじゃんハリオ」
響はニッと笑顔を見せて、ハリオの頭をガシッと掴んだ。
ーーーチリン
「オンステージモード!」
響はハリオの頭にノーツを出現させる。
ダンッ!!!!
響はハリオに頭突きをした。
「ぐぁあっ…」
ノーツと共に弾かれる威力。ハリオは気絶した。
「ノーツは手足以外でも弾けるよ」
響はそう言って倒れるハリオをみる。
バタン…
ハリオはそのまま地面に倒れ込むであった。
「もちろんフルコンよね!」
響とハリオの戦いは終わったのであった。
「響!!たすけてー!!」
落とし穴からモサ子の声が聞こえる。
「モサちゃん!今助けるね!」
響は近くの落とし穴の蓋を開けると、モサ子は空間スキルを発動して地上にヒョイっと飛び出してくる。
「あ!ハリオだ!ハリオが倒れてるよ!もしかして響が倒したの?」
「うん!もちろんフルコンで決めたよ!」
響はそいって拳を突き出す。
「ふぅ、倒れながら見てたが、すげえ戦いだったな」
「あ、のなかもいたんだ!もしかしてハリオに負けたの?」
モサ子はのなかを馬鹿にするように言う。
「それはお前も同じだろモサ子!」
逆上するのなかを響が止める。
「だが、最強の勇者の噂がなんとなくわかった。タイムリープのスキル、何度も戦いを繰り返して一撃で倒せるタイミング、弱点、トラップ、全てを使って倒してきた。記憶のない俺たちからしたらそれは最強にしか見えないってわけだ」
「そうなんだ」
響はポカンとした返事をする。
「その反応からすると、タイムリープのスキルはノーツ化スキルの相手ではなかったみたいだな」
「いや、でもハリオは強かった…と思うよ。チュートリアルの譜面だったけど」
「なんだよそれ。強いのか弱いのかわからねぇな。とりあえず、ハリオを村に運ぶか」
「そうだね、早くしないとモサちゃんが食べちゃいそうだし」
響の言葉でのなかはハッとハリオの方を向くとモサ子がモササウルスの姿で地面からにょきっと出ていた。
「こら!モサ子!この世界の勇者を食べるんじゃない!」
響達一行は勇者ハリオとの手合わせに勝った。
その後、倒れたハリオを村に連れて帰ったのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
タイムリープのスキルはチート中のチートです。何度でも繰り返して挑戦できるハリオにとって戦いはビデオゲームと同じ感覚になっていたのかもしれませんね。
ノーツ化スキルは未来予測の派生系であるのでハリオがどんなに攻撃を変えても全て譜面上に攻撃が載っているので響には痛くも痒くもありません。
次回やっとこの魔王に支配された世界の時間が進みます。お楽しみください。




