第四十鈴 無傷の勇者
魔王に支配された世界で響達一行は最強の勇者ハリオと出会う。ハリオは勝負に飢えており始めて会う響達に戦いを挑むのであった。
ハリオが響と手合わせをすることになる1週間前。
ーーーチリン
ハリオは街中を歩いていたが、鈴の音色と共にハッと気づく。
「1週間前に戻ったか。今回も丸呑みにされかけたな。モサ子というバケモノいったいどんだけ能力を持っているんだ…」
ハリオはタイムリープの能力を使い意識を響達と出会う1週間前に巻き戻していた。
「お、いいところに。」
ハリオは建物の隅っこに置いてあったシャベルを手に取った。
「おい。そこの冒険者。大金をやるから俺の手伝いをしてくれないか?」
ハリオはすれ違った冒険者に声をかける。
「勇者…ハリオ…!!」
「…!?お前はルマージか!いいところにいた。俺の手伝いしてくれないか?」
「ふざけるな!魔王による魔力のせいで村の人々が謎の病にかかっているんだ!!俺は自身のレベルをあげて、一刻も早く魔王を討伐する!!」
「そうか…。それは残念だ。」
ルマージの答えにしょんぼりするハリオ。
「魔王はこの世界でのメインディッシュだ。俺も最高のポンディションで倒したいからな。もしお前に先を越されてしまったらそれは残念だ。」
「やはりお前は俺を馬鹿にしているな!!絶対にお前よりも先に魔王を討伐してみせる!!」
ルマージはそう言って歩いて行った。
「お、またまた体力に自信ありそうな人発見!」
ハリオは近くを通っていた村の男に声をかけた。
「すまない。10000エールやるからいまから俺がいう場所で穴を掘ってくれないか?」
ハリオは村の男に頼み込んだ。
◇
5日がたちモサ子に使う落とし穴が形になってきた。
「勇者ハリオ!これで十分か?」
「ちょっとまて確認する。」
ハリオは穴の中に入り空を見上げる。
「このくらいの視界なら。やつの空間スキルを封じることができるはずだ。」
ハリオは落とし穴からロープを渡って出てくる。
「ありがとうお礼の10000エールだ。」
ハリオは村の男に報酬を渡した。
「モサ子の丸呑み攻撃さえ回避できればあとは着地地点に罠を仕掛けて無力化できる。」
ワクワクした表情でハリオは響達との出会いを待つのであった。
◇
時は進みハリオは響達に手合わせを申し込み、計画通りモサ子の無力化に成功した。
しかしその表情は曇っていた。
「…こんなものなのか。」
ハリオはモサ子攻略の落とし穴を何度も作り失敗と成功が繰り返される中、成功が試行回数の9割を超えモサ子との戦いがつまらなく感じていた。
「…ハリオ、その鈴、あなたも異能力者だね?」
響がハリオに問いかける。
「そうだ。」
ハリオゆっくりと響達の方を振り向く。
「タイムリープ、それが俺の能力だ。」
「タイムリープのスキルだと!?」
「…のなか、タイムリープって何?未来とか過去に行けるやつ?」
「それはタイムトラベル。俺の昔のメールアドレス。いや、そうじゃ無い。タイムリープは意識を過去の自分に移すことができる能力だ。」
「どういうこと?」
「やつは何度もこの戦いを繰り返しているってわけだ。」
「察しがいいな。その通りだ。俺はこの戦いを何度も繰り返してきた。そして勝ち筋を全てわかっているんだ」
「チート能力者じゃなねぇか。」
「だからのなか、君との戦いもすでに決着はついている。」
「…なんだと?」
「君のこの後の100通りの攻撃パターンはもう経験済みだ。」
「そしたらさ。もう尚更手合わせなんていらないんじゃない?」
響は提案した。
「でも、この話をするとのなかは戦いたくなるんだよね?」
ハリオはのなかをみる。
そこには雑魚扱いをされて怒っているのなかがいた。
「俺だってスーツ化スキルの保有者だ。相手がチート野郎だからって逃げたりしない。どっちのスキルが上か勝負だ!」
のなかはハリオに勝負を受けた。
「どこからでもかかってきなよ。」
ハリオは余裕の表情でのなかをみる。
「MPSマーク19爽凛旋風の動きってやつを教えてやる!」
のなかはスラスター付きのボートに乗りハリオに突撃する。
スッ
ハリオはのなかに目を背け攻撃をよける。
「間合いを取って一気に決めるぞ!」
のなかはハリオに向かってスピンをしながら突撃する。
スッ
ハリオは石ころを拾うようにしゃがみの中の攻撃を避ける。
「避けてばかりじゃないか!攻撃は来ないのか?」
のなかがハリオを煽った瞬間のなかの顔面に先ほどハリオが拾った石ころが飛んできていた。
「ぐあっー!!!」
のなかは回転するように後ろに飛ばされていく。
「のなか!気をつけて!」
「くっ!たかがメインカメラがやられただけだ…」
のなかは震えながら起き上がる。
「のなかのもう一つのスーツも合わせてねらったつもりだけど、運良く避けた…いや、一度に二つ倒すことはできないのか…?」
「へっそうか。スペアのスーツの存在もう知っているのか。」
のなかは煙をあげながらスーツを脱ぎ出す。
「それなら、手加減の必要はなさそうだな。MPSマーク43 換毛機チートな勇者を蹴散らすぞ!」
のなかは新しいスーツに着替えてスーツにエネルギーをチャージする。
「マシュマロイド!ハリオに一斉攻撃だ!」
のなかのスーツから無数のドローンが出現しハリオの周りを一斉に囲む。
ビーーーーッ!!!!
無数のドローンそれぞれからハリオに向かってビームが繰り出される。
「試行回数5回もいかないぞ」
ーーーチリン
ハリオは呆れた顔をしてビームを当然のごとく避けていく。
「油断してると痛い目みるぜ!」
のなかは自身のスーツに付いているビーム砲をハリオに向けて構えていた。
「くらいやがれ!超破王弾!」
エネルギーが込められたビームはおおきな束になりハリオを包み込むサイズで向かってくる。
「無駄な攻撃だよ。」
ハリオはビームに向かってレンガを向ける。
ピーーーンッ!
ハリオはビームをなぞるようにレンガを円形に回してビームを反射させる。
「な、なに!?」
反射されたビームはのなかに一直線に向かってくる。
「ぐああああ!!!!」
「のなか!!!」
のなかは吹き飛ばされ倒れたのであった。
ハリオの周りに飛んでいたドローンもその場に落ちる。
「のなか!!」
のなかが飛ばされた方をみて響が叫ぶ。
「そうか…次で最後か…」
ハリオはしょんぼりした表情で響を見る。
「…モサちゃんものなかもこんな簡単にやられて…ハリオやっぱり強いね。」
「君は一体どんなスキル保有者なんだ?」
「えっと…説明が難しいんだけど、相手の攻撃がリズムゲームみたいに見えるっていうか…」
「…まぁいい。戦いを始めようか!」
ハリオは手に持っていたレンガを響に回転するように投げる。
ーーーチリン
響にリズムが聞こえてくる。
そのリズムによってレンガが近づいてくる。
タンッ!!!
ドゴーンッ!!
響によって弾かれたレンガが近くの地面をえぐるように地面に落ち地響きがなる。
「弾いた!?俺の渾身の一撃を!?初めて攻撃した時もそうだった…攻撃を予知しているのか!?」
ハリオは響の未知数な能力に動揺と高揚感を感じ始めている。
「相手の攻撃を弾く…ノーツ化スキル。それが私の能力!」
響は譜面の円盤と目を輝き始めハリオとの戦いが始まった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ハリオとのバトルがこの章のクライマックスであります。一人一人のバトルごとで区切る形になりますのでご了承ください。それにしてはのなかの戦いが短すぎました。噛ませ犬としても頼りないですね。今後の活躍に期待しましょう。
次回はノーツ化スキルとタイムリープのスキルのバトルです。お楽しみください。




