第三十八鈴 奇行な勇者
魔王に支配された世界に辿り着いた響達一行は村のギルドにて冒険者の資格を取るために最低でも3つのクエストを受けるように告げられる。
魔王に支配された国に来てから次の日響達は再びキルドに尋ねた。
「メムさんおはようございます」
「おはようございます。本日のクエストはこちらになります」
「相変わらず、用意が早いな。お!モンスターの討伐クエストがあるじゃねぇか!響これにしてみないか?」
「確かにここの世界のゴブリンを倒したけど一匹だけだったしね」
のなかは嬉しそうにクエストを読む。
クエストにはゴブリン約100体の討伐と書かれていた。
「実はこのクエストですが、ゴブリン100体の討伐になります。最近村の近くにまた多く出現するようになってしまいまして」
「え?それってもしかして私たちが倒したゴブリンのせいかな?」
「い、いや気のせいだろ。と、とりあえずどうだ?このクエスト受けてみようぜ」
「現在こちらのクエストは勇者ハリオ様も向かっております。現地での共同討伐という形なりますがよろしいでしょうか?」
「勇者ハリオ…噂の最強の男か。どうする響?」
「受けよう!勇者も気になるしね」
「分かりました。ゴブリンは気性が荒く大変危険です。目的地につきましたらすぐに勇者ハリオ様と合流してください」
「安心しろメムさん、俺たちもなかなかに強いぞ」
「いえ、あなた方はまだ冒険者の資格のない一般人です。必ず、勇者ハリオ様との合流を優先してください」
メムは辛辣な声で言うのであった。
「ところで勇者ハリオはクエストにどれくらいの前に出たんだ?」
「約3時間前です」
「早いな!とんでもねぇやる気のある勇者なんだな」
「強さとその行動力は尊敬しますが、真面目に戦ってくれるかが、心配なんですよ」
「…え?どういうことですか?」
「実際にあってみればわかるかもしれません」
そう言ってメムはクエストの受諾を行ない響達一行はギルドの外に出た。
「この世界だと冒険者のレベルっていうのが大事なんだね」
「まぁ、異世界から来た俺たちからしたらあんまり関係ないけどな。」
「そんなことないよ!のなか!初期エリアでの地道なレベルアップそして迎えるラスボスとのRPGゲームの王道だよ!」
「おう、響、なんか楽しそうだな」
「あ!見て!なんか変なことしてる人いるよ!」
「モサちゃんどうしたの…!?」
そこには白いマントをつけた男が井戸に入ったり出たりを繰り返している後ろ姿が見えた。
「え、なんだありゃ」
「もしかして魔力による影響なのかも…」
「ちょっと声かけてくるね!」
駆け出したモサ子の手を響が強く握る。
「モサちゃん。私達はクエスト中だよ。それに勇者ハリオと合流しないといけない。今はそっとしておこうよ」
「そ、そうだぜ!モサ子。あまり触れておかないでおいた方がいいこともある」
「え!そうなんだ!!面白そうだと思ったのになー」
井戸を上り下りしている男を後ろに3人は村を出たのであった。
◇
響達は村を出て目的のゴブリン大量発生の場所に向かった。
「やっぱりこの道私達がこの世界に来た時の道だ。もしかして私達が倒したゴブリンのせいで集まっちゃったのかな」
「だとしても、襲ってきたやつが悪い。俺たちは最善を尽くしたまでだ」
「そうだよね」
「あ、見て!あの道の先ゴブリンがいるよ!」
モサ子の指さす方に一匹のゴブリンが歩いていた。
「見つけた。でも1体だけだね。ん?奥から3体いるね」
遠くの場所は丘になっており丘の先からさらにたくさんのゴブリンが出現する。
「クエスト通りの大量発生だね」
「でも勇者ハリオはどこだ?」
「いないみたい。もしかしたらゴブリンにやられちゃったとか?」
「勇者とはいえ、この謎の頭痛の病に苦しめられる可能性もあるしな」
「じゃあ、私達でゴブリンを討伐しよ!」
「うん!」
響達はゴブリン達に向かっていった。
ゴブリン達は響達に気付き一目散に向かってくる。
「正面突破で決めるよ!オンステージモード!」
ーーーチリン
響の瞳が赤く光足元に赤い譜面の円盤が浮かび上がる。響の服は光に包まれてアイドル衣装に変身する。
タンッ!
ゴブリンの振りかぶる棍棒に重なるノーツを響は弾き飛ばす。
タタタンッ!!
体制が崩れたゴブリンの体にノーツが浮かび上がり響はリズムよく弾き切る。
タタタタタタンッ!!!
次々と前から迫ってくるゴブリンを響はリズムよく弾き飛ばす。
「俺たちだって負けてられねぇ!」
のなかは自身の着ているスーツにエネルギーを込めた。
「MPSマーク19爽凛大群を蹴散らすぞ!」
のなかは背中のスラスターがついたボートに飛び乗りサーフィンの様にゴブリンの群に飛び込んだ。
「ぎゃあああああ!!」
ゴブリンを3体ほど引きずるように地面に擦り付けそこからのなかは飛び上がり地上に着地する。
「ぐおお!!」
ゴブリン達はのなかの着地と共に周りを囲む。
「接近戦と行こうじゃないか!」
のなかはゴブリン達を殴り倒していく。
その周りで先ほどのスラスター付きのボードが周りを周回しのなかのサポートをする。
ドゴーン!!!
大きな物音が響、のなかの後ろから聞こえる。
「いただきまーーーす!!」
ゴブリンの群れから約18メートルの大きさのモササウルスが下から口を開き出現する。
「ぎゃあああ!!!」
ゴブリン達はモササウルスのいきなりの出現と共に上空に飛ばされ、そのままモササウルスの口の中に入っていく。
「まだまだ食べるよ〜」
モサ子はそのまま上空に飛び上がり下に落ちると共に地面に空間スキルを発動して地面にいるゴブリン達も丸呑みしていく。
「モサちゃん!いい感じ!のなか!私は周辺のゴブリン達を囲い込むように倒してく!中心に集まったところお願いしてもいい?」
「任せろ響!」
響はゴブリンの群れの外周を円を描くように弾き飛ばしていく。
タタタタタタタン!!!
「ぎゃあ!!」
ゴブリン達は波打つように上空に吹き飛ばされる。
「さあ!集まってこい!ゴブリンども!ってうお!」
「のなか!そこ通るよ!」
モサ子はのなかの隣から出てきてゴブリン達を食べていく。
「目立ちたがり屋め!」
モサ子の通る下でのなかはゴブリン達を一体一体倒していく。
タタタタタタタタタタタタタタタン!!!
「これで最後かな!」
響は最後のゴブリンを弾き飛ばす!
「ぎゃあああああ!!」
「もちろんフルコンよね!」
パクッ!
上空に吹き飛ばされるゴブリンはモサ子の口の中に入っていった。
「あー!たくさんたべた!」
モサ子は人間の姿になる。
「よくゴブリンなんて食べられるな。」
「モサちゃんお腹壊さないでね」
「大丈夫!毒のスキルも持っているから危険なウイルスもへっちゃらなんだよ!」
「もうなんでもありなんだなお前」
響達の周辺のゴブリン達は一掃された。
「そしたらこれでクエストはクリアかな?」
「充分倒したんじゃないか?」
その3人の後ろから聞きなれない音が聞こえる。
ギギュルルルッ!!!
「なっ!なんだ!」
ーーーチリン
タンッ!!!
響は突然後ろから出現した謎の人物からの回し蹴りをノーツで弾いた。
「敵?」
謎の人物は上空で回転して方向を変え着地地点にいるのなかに向かって蹴りを入れた。
「ぐあっ!」
「のなか!大丈夫!?」
謎の人物はのなかの顔面を蹴ったその弾みでモサ子に向かって腕に持つ茶色い物体で殴りつけてくる。
「うわ!」
「モサちゃん!」
ーーーチリン
モサ子は殴られたと同時に毒のスキルを使って霧状になった。
男はモサ子への攻撃が空振りしてそのまま地面に着地する。
「ゴブリン討伐にこの位置を的確に合わせて降りたつもりが…見かけない冒険者だな」
男はゆっくりと立ち上がりこちらに振り向く。
蹴りを入れられて倒れていたのなかが改めてその男を確認する。
「な!おまっ!!」
「俺はハリオ、勇者をやっているものだ」
響達の前現れたハリオと名乗る男は白いマントを着ていたがその下は裸であった。
「ぎゃあーー!!!!変態だーー!!!!」
のなかの叫び声が空に響きわたるのであった。
◇
ハリオと名乗る男はのなかと響に怒られながら、服を着た。
「なんなんだ!お前は!」
「言ってるだろう。ハリオ。勇者ハリオだ」
「俺が言ってるのはどうして裸だったかってことだ!」
「ああ、それはな。俺の装備を限界まで下げて雑魚敵とギリギリのバトルを行おうと思っていてな」
「なんなんだ!こいつ…ホントに変態なのか…」
呆れた声でのなかは疲れ切っていた。
「ハリオのそのマントもしかして村で見かけた井戸に出たり入ったりしてた人?」
「ああ!そうだ!それは俺だ!」
「一体何をしてたの?」
「この世界の空気中の魔力を使ってな。簡単な瞬間移動を試していたんだ」
「瞬間移動?もしかして空間スキルとか?」
「空間スキル?なんだそれは?俺は井戸に入る時の周りの魔力の処理速度が遅くなりその時に振り向いた方向に瞬時に移動ができる裏技を使っていたんだ」
「…え?なにそれバク技?」
「なんだその言葉は?俺はこれを裏魔法と呼んでいる」
「…どう聞いてもゲームのバク技にしか聞こえないんだけどな」
響も呆れた声をあげる。
「ねぇ!ねぇ!あなたが最強の勇者なんだよね!どんだけ強いの!?教えて教えて!」
モサ子はハリオに興味を持っていた。
「そうだ。俺は最強の勇者だ」
話し始めるハリオの後ろから一体の大型のゴブリンが現れる。
「ハリオ!後ろ!後ろ!」
「こいつはゴブリンの大型個体か!?」
大型のゴブリンはハリオに向かって爪を立てた腕を振り落とす。
「俺はこの世界に飽きている」
ハリオは響達を見ながらゴブリンの攻撃を横に傾き避ける。
「この戦いにも飽きている」
ハリオはため息をつきはじめる。
ゴブリンはもう一つの手でハリオに攻撃をする。
びゅん!
風を切る音がする。
「ぐあぁ…」
大型ゴブリンの頭が突然爆発するように弾け飛ぶ。
「君たちはこの世界のものではないんだろ?」
「な、一体なにが起きた!?」
「一撃…一撃で大型ゴブリンを倒しちゃった」
響とのなかはハリオの言葉よりも目の前で起きたことが信じられず固まってしまった。
「俺はずっと刺激のあるバトルを求めて戦い続けてきた…そしてついに見つけた」
ハリオは瞬きをして響達をみる。
「俺と手合わせをしてくれないか?」
ハリオは響達に戦いを申し込んだのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
『奇行な勇者』ゲームでよくあるバグ技をたくさん試す勇者でございます。
バグ技って「え?こんなのもできるの?」って見ててワクワクしますよね。
真っ向勝負好きな響ちゃんはバグ行為が嫌いです。
次回もお楽しみください。




