第三十七鈴 魔王に支配された国
リズムゲームのノーツを出現させて戦うノーツ化スキル保有者の響、様々なバトルスーツを着て戦うスーツ化スキル保有者の のなか、相手を丸呑みする丸呑みのスキル保有者のモサ子の3人は異世界の侵略を行う6人の空間スキル取得の魔法使いを止める為異世界を超えて旅をしていた。天空の王国の脅威を解決した響達は新たな世界に降り立つのであった。
広大な大地に緑が彩る。風が吹き、葉が舞い踊るように森へ、洞窟へ運ばれていく。
地面に落ちた葉っぱの奥にはこの自然豊かな世界とは違うまがまがしい魔王の城が建っていた。
ギュルル!
世界観に合わない強い光りが突然出現し、広い草原の上に異世界を繋ぐゲートが開かれる。
「プハッ!!」
光の中から大きなモササウルスが飛び出してくる。
モササウルスは地上に落ちると同時に着地した箇所から煙になりそこから3人の人影が見える。
「響!ついたよ!次の国!」
「ありがとうモサちゃん。ここは魔法の国かな?」
「雰囲気は似てるが、違うみたいだ。空間スキルの魔女が持っているデータとは一致し無さそうだな」
「そうなんだ」
「だが、魔法の国の奴らの侵略は始まっててもおかしくはない。ちょっとこの世界を見ていこうぜ」
「そうだね、のなか」
「うん!美味しいものたくさん食べたいな!」
「食べることばっかりだなお前」
ノーツ化スキル保有者の響、スーツ化スキル保有者の のなか、丸呑みのスキル保有者のモサ子の3人は世界を渡ることができる空間スキルを覚えた6人の魔法使いによる異世界侵略を止める為、世界を渡って旅している。
3人がたどり着いた新しい世界そこは一見緑が豊かな世界であった。
「おい、まて、なんか物音が聞こえるぞ」
のなかの背後から目が3つあるゴブリンが現れた。
ーーーチリン
「私に任せて」
タンッ!
響はゴブリンの振りかぶる武器に重なっているノーツを指一本で弾き飛ばす。
「うぎゃ!」
ゴブリンはマヌケな声をあげて体勢が崩れる。
「俺に任せろ!」
のなかはゴブリンの顔面を殴る。
「ぐぁーー!」
ゴブリンは倒れるのであった。
「ゴブリンか。面白い世界だな」
「このくらいだったら私達でも倒せそうだね!」
モサ子は安心を見せるのであった。
「ねぇ、あそこに村が見えるよ?行ってみない?」
「そうだな。異世界侵略を行う魔法使い達がいるかもしれないし手がかりでも聞きにいくか」
「うん!」
3人は近くにあった村に向かうのであった。
◇
木造の建物が並ぶ村に着くとそこは人っこ一人いない静まりかえっていた。
「あれ…昼間なのに…すっごい静かだね」
「まさかさっきのゴブリン達に襲われたってんじゃないだろうな」
のなかは警戒しながら村の周りを見渡す。
「何者だお前達は!」
突然武器を持った村人が響達に声をかける。
「えっと…私達悪い魔法使い達を止める為に旅してるものでして…」
「旅?冒険者か?」
「はい?」
「もし動ける冒険者がいるのであれば助かる。実は魔王の出現と同時に謎の病が流行ってしまっていてな。人手が足らないんだ」
「え?どういうことですか?」
「頭痛がずっと続いていてな、人間でもタフな冒険者は大丈夫そうなんだが、我々一般人には耐えられないんだ」
「それってなんかもしかして魔法の仕業ですか?」
「それが分からないんだ。魔王の出現から起きた為、我々は魔王の魔力による攻撃と考えている」
「前の世界の毒のスキルと同じ匂いがするな。その魔王にはどこに行けば会えるんだ?」
「…丘の奥に見える魔王城だ。しかしそこまでに『地獄の砂流』『暗黒のダンジョン』を通らなければならない。君たち冒険者レベルはいくつだ?」
「え?冒険者レベル?なんだそれ?」
「冒険者の登録を行なっていないのか!?よく他の村で平気だったな!いや魔王の魔力に人間達がやられている状況だからか仕方ないのか。この村のギルドで冒険者の登録をしていくといい」
そう言って村の男は響達を村のギルドに案内をした。
村の外には人はいない。ある建物のしまりかけの扉の中から寝ながら苦しむ人々の顔が見える。
この世界の人々は謎の頭痛による症状に寄って日常生活も送れないほど弱っていた。
「ねぇ、響、みんな苦しそう響は大丈夫?」
「私は大丈夫だよ。モサちゃんこの病の毒性って感じる?」
「ちょっと見てみるね!」
そう言ってモサ子は煙状になりあたりをふよふよと回り戻ってきた。
「周りの空気と一緒に回ってみたけど、ここの村に危険な毒性の成分はないみたいだよ」
「ありがとうモサちゃん、扉越しに見えたけどここの世界の人達も苦しんでるみたい。のなかやっぱり魔力が原因かな」
「そうだな、モサ子の毒のスキルを持っても感知がないのであれば、魔法による力…あるいはこの世界の異能力者の仕業が高いな」
「魔王の出現とともにって言ってたね。その魔王が異能力者なんじゃないかな」
「聞いてる話だとその可能性がある。何より魔王がこの世界を侵略にきた魔法使いの可能性もあるからな」
「世界侵略…この世界に来たとき倒したゴブリンとか魔物を召喚して人々を襲っているのかも」
ぐるるるとモサ子のお腹がなる。
「あ、お腹へったな〜」
「モサちゃん、前の世界みたいにみんな元気にできたらきっと美味しい料理とかご馳走してくれるんじゃない?」
「わーい!私この世界頑張って救うね!」
そう言ってモサ子と響も後ろをついて歩くのであった。
「お前達、あの建物がギルドだ」
村の男はホテルのような作りの建物の一階に案内した。
建物の中に入るとピンク色髪のエルフが迎えいれたのだった。
「ギルドにようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「まるで俺達がよく来るみたいな言い方だな」
「この世界の冒険者は必ずギルドに来ているものでして」
「わるいな。メムちゃん。この人達に冒険者の資格の説明をしてくれないか?」
村の男はギルドの受付のメムに冒険者について頼み入れた。
「かしこまりました。冒険者の認定には最低3つのクエストのクリア条件が必要になります。みなさまのクエストクリア状況を教えていただけますか?」
「クエスト?…え、なにその設定」
「クエストをまだ受けていらっしゃないんですか?」
「え、あ、はい。私達、えっと、ほんと遠い世界から来たものでして」
「そうですか。では改めまして、冒険者の認定には最低でも3つのクエストクリアが条件になります。冒険者の認定を受けますと、村のギルドのクエストが受けられるようになりレベルによって報酬が受け取れます。旅の方のほとんどは冒険者の登録を済ましてから旅に出ているので貴方はとてもレアケースです」
「魔王のところにできるだけ早く向かいたいけど、クエスト受けるのどうしよ。冒険者の登録する?」
「あの魔王城っていうのが気になるしな。正直登録もしないでも行けそうだが、報酬がもらえるっていうのは嬉しいじゃないか?俺は登録するぜ」
「報酬って美味しい食べ物たくさん食べれるかな?私も冒険者やりたい!」
「わかった。じゃあ冒険者の登録行おっか」
響達はギルドで冒険者の認定を受ける為3つのクエストを受けることにした。
◇
響達が初めに受けたクエストは村の近くの山奥のスイミンダケというキノコの栽培であった。
「受けられるクエストが簡単なもので助かったぜ」
「私はちょっと物足りないな」
「危険なクエスト受けるより全然マシだろ」
モサ子は少し不満そうであった。
「じゃあ、次からはちょっと難しいクエストでも受けてみる?」
「やった!響ありがとう!」
「そう言って敵を食べたいのが目的じゃないのか?」
「違うもん!のなかのいじわる!」
そういいながら、のなかはクエストであったキノコを採取する。
「スイミンダケ、頭痛で睡眠も取れず苦しむ村人達を少しでも休める為の薬の材料…直接的な解決にはならないけど、この世界の人達のためなら頑張らなきゃ」
「頭痛の原因が分からないのが1番の問題じゃ」
響達の後ろから老人のエルフが話しかけてきた。
「人間達を苦しめる魔力は不明なのじゃ。このキノコからできる薬は一時的な安らぎを与える物でしかない」
「あ、あなたは?」
「村はずれの変わり者のエルフじゃ、このキノコの依頼は私の娘が考えたものじゃな。わしは人を助けるための薬の調合をずっと研究しているんじゃが、今回ばかりはお手上げなんじゃ」
「人々を苦しめる魔法そんなに難関なんですね」
「そうじゃな。勇者ハリオに討伐を依頼してから約一ヶ月。早く討伐してほしいのじゃが、あのバカはどこを歩いているのやら」
「勇者ハリオ?誰ですか?その人」
「しらないのか?ある日冒険者として現れた最強の勇者じゃ」
「最強の勇者?」
「あぁ、モンスター討伐クエストを全て一撃で倒す優れた人間じゃ。しかし最近は真面目にクエストも受けずそこら中を走り回って遊んでる、一部からは『奇行な勇者』と言われているんじゃ」
「変なやつなのはなんとなく分かったな。ほんとにそいつ強いのか?」
「ああ強い。冒険者になったその日にこの村の周辺のゴブリン達を一瞬で討伐してしまった。おかげで人々が動けない状況でもゴブリン達は村を襲ってきたりしない」
「すげぇな。一体どんな奴なんだ」
「もし、お主達も勇者ハリオに出会ったら頼んでくれないか?魔王の討伐を一刻も早く行なってほしいと」
「わかりました。勇者さん見つけたら説得してみます」
「まぁ、俺達が魔王を討伐しちまうかもしれねぇがな!」
「魔王って美味しいのかな?」
「お前達も随分変わっているな。ほれ、依頼のキノコは十分集まったじゃろ。娘のところに持って行ってやれ」
そういってエルフのお婆さんは響達にキノコを渡してその場をさったのであった。
◇
村のギルドに戻るとギルドの受付のエルフと緑色のマントを着た冒険者が喧嘩をしていた。
「勇者ハリオは魔王を倒す気がない!俺が暗黒のダンジョンをクリアして魔王城への道を切り開く!」
「ダメですよ!ルマージ様!ルマージ様のレベルでは暗黒のダンジョンのレベルに足りておりません。今の状態でしたら死んでしまいます!勇者ハリオ様を説得しからにしましょう!!」
「メム!街の人達は苦しんでいる。俺もここ数日頭痛に悩まされている。ハリオを待ってる暇はねぇんだ!」
ギルド受付のメムは無理なダンジョンに挑もうとする冒険者を止めていた。
「うわ、なんかもめてるね」
「どうした?なんかあったのか?」
「え!のなか声かけちゃったよ」
「当然だろ、俺たちの報酬をさっさと貰いたいしな!」
「新入りの冒険者か?一人はまともに装備をしているが低レベルだな。お前達には関係ない」
「なんだと?お前聞く話によれば自分のレベルに達してないダンジョンに行こうとしてるみたいじゃないか!」
「そうなんです。ルマージ様のレベルでは暗黒のダンジョンは危険です。自身のレベルを上げてから挑んでくだい!」
ギルド受付のメムも説得をする。
「わかった!じゃあこんなのはどうだ?」
のなかはそんなメムをみてひとつ提案をする。
「俺たちとパーティを組むってのはどうだ?俺たちも今クエストを受けている最中なんだが、一緒に向かえば安心じゃないか?」
「いえ、あなたはそもそも冒険者でもないのですからそういう行動は控えてください」
メムは辛辣な声でのなかに声をかける。
「レベルが低いと思ったらそもそもお前冒険者じゃねぇのかよ。でしゃばりやがって。メム、俺は暗黒のダンジョンに向かう。勇者ハリオは当てにならない。クエストの受託はいらない。かえってきた時受けてもらうぜ」
ルマージはギルドを去って行った。
「ルマージ様…」
ギルド受付のメムはしょんぼりした顔をした。
「…あ、恥ずかしいところを見せてしまいました。大変失礼しました。クエストの報告にいらっしゃったのですね」
「あ、はい!依頼通りスイミンダケを取ってきました!」
「ありがとうございます。あ、この量、もしかして私のおばあちゃんと会いました?」
「確かにキノコ取ってるときにエルフのお婆さんに話しかけられたな」
「えへへ。それ私のおばあちゃんです。私がこのキノコを必要だってわかってたんだろうな」
メムは頭をペコッと下げる。
「これは私とこの村の医者の先生の依頼でした。みなさまのおかげで村の人達に休息を与えることができそうです。ありがとうございました」
メムは受付の後ろから袋を渡す。
「こちら報酬の1000エールになります」
「この世界の硬貨か?これでどれだけ食えるのかな」
「のなかもらったばかりで失礼だよ」
「ざっと3人前のご馳走はお召し上がれます」
「おお!すごいな!」
「わーいご飯食べたいね!」
「こちらこそありがとうございます。クエストはまだございますので冒険者になる為引き続きクエストクリアを目指して頑張ってくださいね」
「はい!がんばります!」
響は張り切った顔で返事をする。
「なんだ響、嬉しそうだな」
「うん!こういうコツコツとレベルが上がってくのすごい好きなんだよね!なんか頑張ったなって感じがして!」
「まだキノコしか取ってないけどな」
「のなかせっかくいい雰囲気だったのに!」
ぐるるるるとモサ子のお腹がなる。
「あ〜またお腹鳴っちゃった」
「モサちゃんもらった報酬でご飯食べようか!」
「ほんと!わーい!たくさん食べたい!」
「モサ子もこの調子だからな。今日はこの辺で休んでおくか」
「うん!」
その日響たち一行はギルドの建物の宿に泊まったのであった。
◇
ギュルル!
その夜、村の外れに異世界を繋ぐゲートが再び出現する。
「私の獣のスキルの動物の勘があれば、異世界に移動しても追跡できるの」
時を同じくして響達を追って空間スキル取得者の魔法使いミル・クーキィがこの世界に降り立った。
「襲う機会を狙っていたら、あいつらいつの間にかいなくなっていたの。…私がアン様の力を持ってるあの化け物達を倒すの!」
ミルはこの世界の魔王の魔力に反応する。
「強い魔力…スキル保有者の私には劣るけど、手下にするにはちょうどいいの」
ーーーチリン
そう言ってミルはチーターの姿に変身して魔王城に向かうのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
新章になります。元々異世界ものと言ったらということで考えていた世界でした。
複雑な設定、表現等ございますのでお気軽にご指摘ください。
次回もお楽しみください。




