第三十六鈴 澄み渡った空の下
地上を支配していた毒のスキル保有者を倒した響達は天空の王国でDライダーズとケセパサ達に最後の別れを告げる。
優徒による毒のスキルの支配から数日が経った。
地上に漂っていた紫色の雲はなくなり、毒に苦しめられていた毒人達も体の中のウイルスが消え正気を取り始めていた。
「旅人の方々よ。この世界を救ってくれてありがとう。心から感謝する」
天空の王国『テレマエ・ラテ』の宮廷に響、モサ子、のなかは招待された。
「我々の脅威出会ったバジル・バトスの問題含めて解決したその行動を讃えてこの宮廷での無期限の滞在を許可するぞ」
ケセパサの王はそう話した。
「ありがとうございます。王様。しかし、私達には旅の目的がありまして、今回はたまたまこの世界に着いてしまっただけに過ぎないんです」
「そうなのか。お主らの旅立つ時まで好きに滞在するといい」
「ありがとうございます!」
宮廷を出るとDライダーズが待っていた。
「よ!どうだった?お前達もこの世界を救った伝説になったな!」
「王様が元気になってよかったよ」
「結局あの毒って優徒がいなくなったら一緒に消えたんだよね」
「そうだよ!そして今は私が持ってるの!」
「え!?」
モサ子の発言にDライダーズはドン引きした。
「え?そしたら今度の敵はモサ子になるってこと?」
「モサ子が世界を侵略するの」
「私そんなことしないよ!私このスキルの使い方よくわかってないもん!ほらっ!」
ボフッ!
そう言ってモサ子は一瞬霧状になってすぐに戻る。
「こんなことができるぐらい」
「変なスキルだよね。毒もだけど、世界中の人達に繁殖して細胞を集めて強力になる。とても危険なスキルだよ」
「モサ子が食べちゃったけどな」
「えへへへ」
「Dライダーズの皆さんはこれからどうするの?」
「私達はこれからもこの天空の王国を守っていこうと思うよ」
「俺も同じだ。俺のドラゴン、そしてバジル・バトス、2頭ともモサ子に食われちゃったが…」
モサ子は少し気まずそうだった。
「だが、俺には良がいる」
「良ってあの無口な人だよね。ドラゴンの目を持っていて魂がドラゴンと一緒になったって」
「そうだ!俺には人間だった仲間のドラゴンがいる。このキズナは過去のドラゴンに劣らない程に強い!」
「私の旦那とのキズナの方が上だけどね」
「麻耶さんのドラゴンは回復しましたか?」
「うん!もうバッチリ!昨日の夜から元気に空飛んでるから大丈夫でしょ!」
「よかったです!」
「戦いの時結構痛めつけられてたからな。良かったぜ」
「ねぇ、あなた達はもう旅立つの?」
「そうだな。ここの世界が魔法の国からの侵略を受けているか確認をしたかったんだが、その心配はなさそうだ。こうしてるにも魔法の国から侵略を受けている世界があるはずだ。俺たちはそいつらを止めにいく」
「そうか。そしたらここでお別れかな」
「うう、健二一緒に戦ってくれてありがとうね!」
モサ子は涙を流しながら健二に抱きつく。
「俺のドラゴンを食べやがって!バケモノ!でもお前達のおかげでこの世界は救われた。ドラゴン食われたことは許さないが、出会えたことに感謝してる」
「うう、なら健二も食べてあげる」
「いや!絶対にやめてくれ!」
「麻耶さんも一緒に戦ってくれてありがとう」
「響ちゃんそれはこっちのセリフ。モサ子ちゃんがドラゴン食べちゃったのがきっかけでバジル・バトスの討伐手伝ってくれたけど、まさか地上に降りて毒の原因も突き止めてくれるなんて、感謝しきれないよ。ありがとう!」
「麻耶さん、私麻耶さんとドラゴンさんが別れなくて本当に良かったと思うの。幸せにね」
「ありがとう!響ちゃん」
それぞれに別れの挨拶を交わすなか、のなかはケセパサ達が呼んでいるのに気づく。
「お、なんか俺たちのこと呼んでるみたいだぞ」
「ちょっとみてみようか」
ケセパサ達の向かう先は王国が見渡せる広場出会った。
「おおっ!!」
「う〜〜!すごい!!」
そこから見える景色は王国一面を埋める花の景色であった。
「これってもしかして、ケセパサさん達が?」
ケセパサ達はピンク色の花を王国一面に咲かせていた。
「ありがとう!ありがとう!」
「救われた!助けられた!」
「ありがとう!ありがとう!」
ケセパサ達の感謝の声が鳴り響く。
「ちょっと長い寄り道なっちまったが、ここの世界に来れて良かったな」
「そうだね、のなか」
そう言って響達は王国の景色を眺めたのであった。
「じゃあ、そろそろ俺たちは別の世界に向かうか。モサ子、ゲートは出せるか?」
「うん!大丈夫だよ!」
モサ子は自信を持って答える。
「元気でな。響、のなか、モサ子」
「健二さん達も頑張ってね!」
「俺たちも長い旅になりそうだ。また会えるといいな」
「その時は、ドラゴンを食べないでくれよな」
健二の言葉にモサ子は二ヒヒと笑う。
「ねぇそうだ。モサちゃん。ここの世界から出る前に…」
響はモサ子にコソコソと話しかける。
「どうした?響?」
「うんん!なんでもないよ!それよりも空間渡ろう!」
ーーーチリン
モサ子はスキルを使い空間を出現させる。
「じゃな!みんな!」
響、のなか、モサ子は空間の中に入ったのであった。
◇
「ん?なんだここは!?」
のなかが空間を抜けた先で叫びを上げる。
モサ子が出した空間を抜けた先、そこはこの世界の地上にあるドラゴンモールであった。
地上の町の復旧は早く人々も一部では通常の日常が送れるほどであった。
このショッピングモールも今では普通に人が通う場所になっていた。
「えへへ!また遊びに来ちゃった!」
「この世界にまた戻ってこれないと思ったからさ、せっかくだったらちょっと寄っていこうよ」
「お前達!ふざけやがって!…でも今回は大変だったしな。ちょっと息抜きで遊ぶのも悪くはないな」
「やった!!」
固いのなかが折れたことで喜びあう響とモサ子。
「私ね!私!たくさん遊びたい!」
「そうだよ!リズム有頂天みんなでやろうよ!」
「リズムゲームか。確かに響のスキルを体験したのは面白かったな」
「わーい!私のなかと勝負する!」
「私ものなかと勝負したい!」
「モサ子とはいいが、響、お前だけはレベルが違う。絶対嫌だ!」
「そんな〜〜〜!」
響達は楽しく話しながらドラゴンモールに入っていくのであった。
そんな3人を物陰から見つめる一匹のネズミがいた。
「…アン様の力感じるの」
ネズミは呟く。
「…でもだれあの人たち?…尾行するの」
ーーーチリン
ネズミはスキルを発動して少女の姿になった。
「せっかく獣の国で獣化のスキルを取得して空間スキルを発動できるまで力を得たのにこの世界に来てからネズミの姿でずっとゾンビ状態。屈辱だったの」
少女はゆっくりと歩き出す。
「獣のスキル、匂いで相手の場所が分かるのは助かるの。アン様。魔法の国を大きくする為、私ミル・クーキィ世界侵略頑張るの!」
ーーーチリン
ミルはスズメの姿に変身して響達を追うのであった。
獣のスキルを持っているミルはあらゆる動物に変身することができた。
少しずつ、そして少しずつ響達へ近づく。
「どうして、あの小娘からアン様の力を感じるの?理由を探るの」
ミルは再びネズミの姿になってテーブルの下から少しずつモサ子に近づく。
「機会があれば獣のスキルで大きな動物に変身して攻撃するの。なんだったら食べちゃうこともできるの。それまでバレずに近づくの」
ミルは響達に気づかれないように静かに近づく。
ギロッ!
モサ子の瞳がミルを見つめる。
「…!」
ミルは固まる。
今まで感じたことのない圧力。食物連鎖の絶対的な上下関係。ミルはその一瞬で自分が食われる立場であることを理解した。
「ひゃあああああ!!!!!!」
ミルはネズミの姿でその場を離れる。
「モサちゃんどうしたの?」
「ん?今ね小さい動物がいたの」
「なんだ?ネズミか?確かに地上で毒にやられた動物達がいたな。ここにも迷い込んだんだろ」
「そんなことよりリズム有頂天始めるよ!」
響達はゲームコーナでアーケードゲームで遊び始めていた。
ミルは隅っこに隠れて響達を観察していた。
「なんなの!あの生物は!まさかアン様も食べられの!?無理なの!!絶対勝てないの!!」
ミルはモサ子に対しての恐怖感に怯えていた。
「でも、一緒にいた他の人たちなら…」
ミルがそう思って響達を再び見る。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!
そこにはリズムゲームで人間を超えた脅威的な動きを見せる響がいた。
ミルは響の動きに致命傷になる自分がイメージできた。
「あ、これ勝てないの」
ミルはその場で呆然としてリズムゲームで無双する響の姿を見るのであった。
「おい!響!ちょっとは手加減しろよ!」
「勝負はいつだって真っ向勝負!もちろんフルコンで決めるよ!」
響は目を輝かせて思いっきりノーツと向き合う。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!
響が弾くノーツの音
それはまるでこの世界での戦い感じているように見えた。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!
響達がこの世界から旅立つまで約数日かかったと言われいる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
天空の王国編完結になります。最後はショッピングモール(ゲーセン)で遊ぶ響ちゃん達で終わりました。
次回から新しい章、新しい世界になります。お楽しみください。




