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第二十九鈴 毒の脅威

地上を覆う毒の原因を調べる為、響、のなか、モサ子の3人は毒の発生源であるショッピングモールの電圧機3ヶ所のレバーを同時に下ろす作戦を行うのであった。

モサ子は電圧レバーの前で毒人達からの攻撃を走って避けていた。


「のなか〜!まだ〜!!」


モサ子は我慢の限界でトランシーバーでのなかに声をかける


『悪い、モサ子!大丈夫か?もう少し耐えてくれ!』


のなかから返答くる。


「わかった!けど、私、今気づいた!この人達毒持ってるから噛みつけないし私逃げるしかないみたい!」


モサ子は自分の攻撃パターンと自身の丸呑みのスキルを改めて考えた結果逃げるしかないことに気づいた。


『モサちゃん大丈夫?のなか私はレバーの場所についたよ』


『響か!了解した!モサ子、響!もう少し待ってくれ!すぐに連絡する!』


そう言ってのなかからの連絡が途切れる。


「私にできること…ほかに…」


モサ子は天空で空を飛ぶ戦いを思い出した。


「そうだ!私空間スキル使えるんだ!」


モサ子を覆うように毒人は大きく手を広げてモサ子を捕まえようとする。そんなモサ子はハッと気づいたように空間スキルを使い空中に飛び出す。


「えへへ!私天空でずっと飛んでいたんだよ!すごいでしょ?」


モサ子は空中からぴょんぴょんと空間の中を出たり入ったりを繰り返す。

毒人達はその動きについていけず周りをぐるぐると見渡す。


「ここで、モササウルスなっちゃったら建物壊れちゃうから気をつけないと」


モサ子はぴょんぴょんと空間から空間に飛び移り毒人達の攻撃を避けていく。


「よっと、他に何か攻撃できないかな?」


モサ子はその場で考えていた。


「そうだ!確かティラダさんは岩の下に空間を作ってそれを相手に落としていたっけ」


モサ子は近くにあったテーブルの下に空間を作りもう一つの空間を迫ってくる毒人の上に空間を作る。


ドゴーンッ!


真上から落ちてくるテーブルに毒人は潰される。


「よし!これで私も戦えるね!」


『すまない!二人とも!だいぶ待たせた!今レバーを見つけた!』


トランシーバーからのなかの声が聞こえる。


「のなか!待ってたよ!」


モサ子が元気よく答える。


『とても申し訳ないが、簡単にレバーを下せない状況なんだ。悪いが俺の合図でおろしてもらってもいいか?』


『わかったよ!のなか!』


「うん!私も大丈夫だよ!」


モサ子は空間を準備してレバーの近くに移動した。


『3、2、1、よし!いまだ!!』


モサ子は背伸びをしてレバーを握って下そうとした。

しかし、その後ろから毒人がモサ子の手を掴みその手にかぶりついてきた。


『ガシャン』


『ガシャン』


トランシーバー先でのなかと響のレバーが降りる音が聞こえた。


「うわーーー!」


モサ子はあまりの痛さで叫んだ!

その勢いで毒人はモサ子から離れる。


『どうした!?モサ子!?』


のなかはトランシーバーに叫ぶ。


「う…噛まれた…ごめんレバー下ろせなかった」


『ガゴンッ』


モサ子の声に応えるかのようにレバーが元の位置に戻る音がした。


『…失敗したか』


モサ子は呼吸が苦しくなるのを感じた。


「う…なんか。とても苦しい…」


『モサちゃん!!大丈夫!?』


モサ子は過呼吸になりその場でしゃがみ込む。


「はぁ、はぁ…呼吸が…」


『のなか!いったんモサ子ちゃんのところに行こう!』


『そうだな!モサ子今からそっちに行く!』


「まって!」


モサ子は二人を引き止める。


「私まだいけるから、大丈夫だから…のなかもう一度チャンスを頂戴」





『私まだいけるから、大丈夫だから…のなかもう一度チャンスを頂戴』


トランシーバー越しに聞こえるモサ子の声はかすれた声で弱っていた。


『のなか!電気なんてつけても確かな情報なんてわからない!モサちゃんのところに行こう!』


響の叫び声が聞こえる。

のなかは迷っていた。この下の回に監視カメラのモニター室があったのはのなかしか知らない。ここで逃げてもまたこのここで同じようにレバーを引くことはできない。


「わかった。モサ子。もう一回行くぞ!」


『のなか!!』


響の叫ぶ声が聞こえる。

しかしのなかの目の前にいる大柄の毒人にも集中しなければならない。


「響。申し訳ない。でも今しかチャンスはないんだ」


『…わかった。レバーを下ろしたらすぐにモサちゃんのところにいくから」


『ありがとう…響』


のなかはスーツを脱ぎ背中のスペアのスーツと交換する。


ガチャン!


「MPSマーク19爽凛そうりん道を切り開く!」


のなかはスラスター付きのボードに乗り大柄の男に向かって突き進む。


「うおおおお!!」


大柄の男の顔面にボードが近づき、大柄の男はそのボードを避けるように体をそらした。

大柄の男はボードの上にのなかがいないことに気づく。


「ゾンビはお呼びじゃないんだよ!」


のなかは天井を蹴って地面の男の頭を殴りつける。


ゴスッ!


大きな打撃音がなり、大柄の男は地面に倒れ込む。


「みんな!待たせた!レバーを降ろすぞ!!」


『わかった!』


『いつでも…いいよ』


のなかはそう言って電圧機に走って向かう。


「3、2、1、いまだ!」


ガチャン!


トランシーバー越しに聞こえる2つのレバーが落ちる音、その途端周りの電気が復旧し始めた。


「よしっ!成功だ!電気が復旧した!」


『…よかった…ね』


トランシーバー越しにモサ子の力ない声が聞こえる。その声はもう少しで眠りにつきそうな声であった。





ショッピングモールの電気が復旧したが、響はそれ以上にモサ子の状態が心配だった。


『…よかった…ね』


トランシーバー越しの弱りきったモサ子の声に響はモサ子の下に走り出した。


「あ…あ…」


しかし響の周りには毒人が囲むように集まってくる。


ーーーチリン


「道を開けて、あなた達に構ってる暇はないの」


響はオンステージモードの譜面を微動だに振るわせ一瞬のうちに毒人達の中に飛び込む。


ダダダダダダダダダダダダッ!!!


閃光のような動きに毒人達は波を打つように吹き込んでいく。


「『ツメの森』ついた、モサちゃんどこ…」


響はモサ子のいる建物にたどり着いた。

3階のフードコートよりも下の階であることはわかっていた為響は2階を一周して1階に降りる。


ダダダダダダダダダダダダッ!!!


毒人達はたくさん湧いてくる。その数を圧倒するように響はノーツを叩き毒人達を吹き飛ばす。近くに電圧機のマークが見えた!


「モサちゃん!」


響はその部屋に入って中を確認する。

そこにはレバーに引っかかってぶら下がっているモサ子が見えた。

モサ子は空間スキルを使って自身をレバー上から飛び降りてレバーを下ろしたのがわかる。

周りにも毒人が立っていた。


タタタタタンッ!


響は周りの毒人を弾きモサ子に駆け寄る!


「モサちゃん!」


「ひ、響?」


響はモサ子の右腕に噛まれている跡を確認する。その傷から肌が紫色に浸食している。


「モサちゃん、大丈夫?」


「ひびき…なんか、い、息が、くるしくて…」


「モサちゃん!わかった。安静にしてて!」


弱りきったモサ子を前に響は何も出来ないでいた。


「モサ子!大丈夫か!?」


のなかも部屋に駆けつけてくれた。


「響!来てたのか!」


「のなか!モサ子ちゃんが!苦しそうで!」


「わかった!だか、ここは危険だ。次回も遮られている。いったんここの場所を離れてフードコートに向かうぞ!」


3人はフードコートの個室に移動した。





フードコートの窓際の個室の部屋に3人は集まる。


「モサちゃんしっかりして!」


モサ子は呼吸を荒く、高熱をだしている。


「どうしよう…のなか…何か…助けられる方法ないかな?」


「俺も、こればかりは何もできない…毒を抑えられる薬でもあればいいんだが…」


のなかはそう呟いてモサ子の手を握る。


「…薬?」


響はこのショッピングモールの外に病院があったのを思い出して外を見る。


「…あの病院に行ければ、モサちゃん助けられるかな?」


「…いいか響。何かしら毒の侵攻を抑えられる薬はあるかもしれないが希望は薄い。そもそもこの世界はすでに毒に負けたのと同じだ」


「…わたし、ちょっと病院いってくるよ」


「ちょっ、まて!響!落ち着け!病院に解決の手がかりがあるかなんてわからないんだぞ!」


「でも、私、モサ子ちゃんを助けたい!」


「…しかし、今ここを離れるのは危険すぎる」


ダンッ!


響は机を強く叩きつける。


「ごめん、のなか。私モサ子ちゃんをここで見殺しになんてできないよ。私も助けられるかわからないけど、方法があるかわからないけど、けどここでじっとなんてできない」


「…響」


響の真剣な表情にのなかは答える。


「…分かった。だが、響お前一人では行かせない。行くなら俺も一緒だ」


「のなか…ありがとう」


響とのなかは窓から見える病院にモサ子を連れていくことにいた。

のなかはモサ子をバックパックのスペアのスーツを包み込み背負った。


「これなら安心だ。モサ子ちょっとの間、我慢してくれよ」


「わ…分かった」


モサ子は弱々しく返事をする。


「モサちゃんすぐに助けて上げるからね」


「響…ありがとう…」


響達はフードコートの個室をでる。


「のなか、作戦はある?」


「ここのフードコートに外のテラス席にでる場所がある。そこからこのボードを使ってひとっ飛びでいくなんてどうだ?響お前はこのフードをかぶっていけ。ここの雨は毒が入って肌が焼けるからな」


「分かった。ありがとのなか」


響はフードを被りテラス席にいく扉に向かう。


ガチャッ


ドアノブを回すとともに響の鈴が鳴り響く。


ーーーーチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンッ!!!


「…え?」


違和感があった。雨でも見える距離にあった病院が見えなくなっていた。


「…響!ドアを閉めろ!」


外の天気が雨から霧に変わっていた。周りの視界が遮られた。

響がドアノブに触れて開いたわずかな隙間から霧状の毒が大量に流れ込んでくる。


「ーーーはぁ!」


響は突然のことに反応できず息をする。


「あ…い、痛い」


響は喉に激痛を感じた。まるで鋭いナイフが何本も肺の内側から突き刺さるような激痛。

呼吸を意識して行うとその激痛が何度も何度も押し寄せる。


「ひ!響!大丈夫か!」


のなかはドアを閉める。


「…はっ」


響は自身のスキルが発動しているのに気づく。

自身の手を見ると自分の手の内側に大量のノーツが密集しているのが見えた。

細胞の一つ一つよりも小さなノーツがぶつぶつと体中に存在する。

響のノーツは自身の体に害のあるのに反応する。


「…あ」


響は息が苦しくなりその場に倒れる。


「響!しっかりしろ!響!」


のなかは響を抱えて叫ぶのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

毒の脅威がついに響達に襲い掛かります。

響にとって初めての危機です。

次回もどうぞお楽しみください。

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