第二十四鈴 異世界からの贈り物
地上の毒発生の元凶と噂される大型ドラゴン バジル・バトスとの戦闘で響は雷撃の柱に閉じ込められ、のなかは地上に落下していくのであった。
大型ドラゴンとの戦いの中のなかは雷の柱の外に飛ばされてしまった。
「あとは頼むぞみんな」
そう言い残し、地上に落下し続ける。
響は雷の柱の中で閉じ込められ、Dライダーズは柱の中でバジル・バトスと戦っている。
「スーツが変更出来なかったら俺はほんとに無力なんだな」
落下の速度がさらに上がる。
のなかのスーツ越しに空気摩擦が感じられ、のなかは落下の恐怖に鳥肌が立っていた。
「落下場所によっては助かる可能性はあるのか」
のなかは体ごと地表に向けて下を見る。
落下する場所が海であれば命だけでも助かると願い目を開く。
「完全に地上じゃねえか」
絶望を隠せず落胆する。
「今のMPSマーク28光源は光ることしかできない」
試しに光ってみせた。
「響たちも助けに来れない状況、そして共に戦っていたケセパサ達も地上に落ちた。助けてくれるやつは誰もいない」
空気摩擦が激しくなる。のなかの体が重くなる。
「ここで俺も終わりか」
のなかは最後に異世界の脅威を守れなかったさりす姫に申し訳なく感じる。
「さりす姫、申し訳ございません」
のなかがそう呟いた時スーツの信号が反応した。
ピピピピピ!!
「な、なんだこれは」
ピピピピピ!!
のなかは急いでその信号の発信源を確認した。
「やっぱり別のMPSがこの世界にもあるってことか?戦いの前に確認していた反応は正しかったのか」
バシュッ!!!!
バジル・バトスがいた浮遊する瓦礫の中からバーニアをつけたコンテナが出力される。
「やっぱり!あれはMPSのスーツコンテナ!」
のなかに希望が見えた。
「なんのスーツが入っているかわからない。だがあのスーツにかけるしかない!」
コンテナはバーニアの推進力でのなかの近くまで飛んできて中からスーツをのなかに向かって放つ。
「空中での装着は初めてだが、俺ならできる」
のなかはMPSの安全バーを開きMPSを脱ぎ捨てた。
「MPSマーク28光源長い間ありがとな!」
のなかはコンテナから放たれたスーツに手をとり空中で装着を始める。
「風が!!!!うおおおおお!!!」
地表まであと100m。のなかは両足を装着した。
「くそ!腕が!」
スーツを放ったコンテナは先に地上に落ちて爆発する。
地表まであと70m。のなかはスーツに装着されたサーフボードの出力を上げる。
「MPSマーク19爽凛天空を駆け巡る!」
空気の摩擦に耐えながらのなかはスーツの装着に成功した。
サーフボードから放たれる出力は地表ギリギリでバランスを保ちのなかは上空に舞い上がる。
「待ってろ!みんな!」
空を飛ぶのなかに音声メッセージが聞こえた。
『のなかっち聞こえるか?私、さりすじゃ。』
「さ、さりす姫!?」
スーツの中にさりす姫の音声メッセージが内蔵されていた。
『のなかっち、響ちゃん、二人が魔法の国へ旅立ってから約1週間。なんの音沙汰もないのは寂しのじゃ。な・の・で!アン・カーキィを拘束したMPSのデータを使って空間スキルの研究を始めたのじゃ』
「なんだと!?」
『問題なのはエネルギーじゃ、スキルを発動する為のエネルギーが全く足らなくてな。そこで私達の世界を襲いにきた捕虜の魔法使いさん達から根こそぎ搾り取ってなんとか異世界のゲートを開いているのじゃ』
「姫、結構Sっ気だったような」
『しかしサイズも小さければ、時間も短いそこで、約1週間に1ゲートランダムで開き、のなかっちのスーツが入ったコンテナを色んな世界に送り込んでいる。もちろんステルス機能付きじゃ」
「姫……」
『のなかっち私にできることは少ない。そんな私を許してくれ』
「そんな姫、俺の方こそ足手纏いで」
『最後にのなかっち……かならず生きて帰ってくるのじゃぞ!』
「はい!俺は負けません!姫から頂いたサポートを100%生かしてみせます!」
◇
時を同じくして製造の国ではさりす姫が大忙しであった。
「これで50のゲートにスーツを送れたな。ほれ、早く次のゲートの準備をするのじゃ」
「は、はい!しかし姫こんなランダムにゲートを開いてスーツを送るなんてほんとにのなかさんの助けになっているんでしょうか?」
姫の近くにいた兵士が質問する。
「当たり前じゃ。のなかっちしか使えないスーツなのじゃ。ここにあってもなんの役に立たないじゃろ。異世界に送ってわずかな可能性にかけることが大事なのじゃ。ほらそこ止まらないで準備を進めるのじゃ!」
「姫……もしかしてのなかさんのスーツ置き場所を整理したいだけなんじゃ……」
「なんじゃ?何か言ったかの?」
「い、いえ!姫、そんなことよりも食堂に集まっている魔法使い達に挨拶をお願いします」
「うむ、今すぐ向かおう!」
さりす姫は隣の食堂に入る。
「魔法使いのもの達よ。今回もいい働きじゃった!」
さりす姫は食堂に座り集まっている魔法使い達に声をかける。
「おお!さりす姫だ!!」
「さりす姫万歳!!」
「さりす姫私と結婚してください!」
魔法使い達は歓声を上げる。
「待て待てみんなのもの落ち着くのじゃ」
ガヤガヤと歓声は落ち着き始める。
「今回で50のゲートを開くことができたこれもみんなのおかげじゃ。しかし魔法使いの国へのゲートはいまだに開くことはできない。まだまだ先は長いが引き続き協力頼むぞ」
「「はい!さりす姫!!」」
全員が一斉に声を出した。
「では栄養たっぷりな料理を召し上がるのじゃ、おのこしは許さんぞ」
「「ありがとうございます!さりす姫!」」
さりす姫の後ろからメイド服の女性たちがたくさんの料理を運ぶ。
「さりす姫、ほんとにいいのですか?向こうは私達を襲ってきたもの達ですよ」
「うむ!彼らは敵ではあるが私達と同じ人間だ。上のものの指示に従っていただけじゃろう。それよりも今後のことを考えると私は彼らとの信頼を高めたいと思うのじゃ」
さりす姫はにっこりと微笑む。
「……のなかっち、ひびきっち無事に帰ってくるのじゃぞ」
窓から見える青空を見上げながらさりす姫は呟いた。
◇
重い空気は地上に向かって落ち続ける。その重い空気に逆らってのなかは上空に向かってまっすぐに飛ぶ。
「見えたぞバジルやろう!今すぐ向かってやるからな!」
バジル・バトスはモササウルスの尻尾に噛みつき頭を振るっている。
「うわわわ!!目が回るよ!!」
モサ子は振り回られて目が回っている。
「ううぅ変身するよ!」
モサ子の体は髪の毛の毛の塊になってバジル・バトスから解放された。
しかし勢いが強い為光の柱の外に飛ばされる。
「モサ子!!」
Dライダーズだけが柱の中に残った。
「くっ!残ったのは俺たちだけか」
健二は麻耶のドラゴンに乗りつぶやく。
「ここから先は私達で戦うしかないみたいね。旦那ちょっぴり無理させちゃうかもだけどよろしくね」
ガウ!!
麻耶のドラゴンは麻耶の呼びかけに叫んで返した。
バジル・バトスは体に電気を溜めている。
「みんな!攻撃がくるぞ!」
バジル・バトスは巨大な雷撃攻撃を行う寸前、
ドスン!
バジル・バトスの顎にのなかのスーツが突撃する。
のなかの攻撃に体制が崩れ、バジル・バトスは雷撃を別方向に放つ。
バチバチッツ!!!
「あのスーツはのなかか?」
健二はその姿に驚く。
「帰ってきたぜお前達!」
「わーい!のなかも飛んでる!」
のなかは傍にモサ子を抱えてみんなの前に戻ってきた。
「さあ、第二ラウンドと行こうぜ!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
のなかの空中でのスーツの装着回でした。
のなかのスキルが活かせないというのがこの物語を作る上で問題でして、製造の国から補給が送られてくる仕組みにしました。案の定、天空の王国に来てからのなかは全く活躍がありませんでした。
次回バジル・バトスとの戦いクライマックスです。




