第一鈴 始まりの鈴
よろしくお願いします。
その日、神は悲しみの死を遂げた。
暗闇の中、ひとり孤独に。
死の直前に浮かべた涙の雫は長い時を得て「鈴」になり、あらゆる世界に散りばめられた。
そしてこの世界にも降り注ぐ。
◇
とあるゲームセンターのリズムゲームにて1人の少女のプレイに観客が沸く
「もちろんフルコンよね!」
赤いポニーテールリングがキラキラと舞う。その流れる髪も音に乗って踊っているようだ。
彼女の名前は能塚響。あらゆるリズムゲームをこよなく愛する高校2年。
歓声が響く
「さすが響ちゃんだ!生き急ぎすぎPさんのメドレー曲をアルティメットクラスでノーミスでクリアするなんて!」
「へへへありがとうございます。私この譜面すっごく大好きで夢でも流れてくるんです」
「一体どんな洞察力してるんだよ。人間のできる技じゃないでしょ」
ーーチリン
響の髪飾りに鈴の音色が響き渡った。
「あれ私、こんな鈴つけてなかったはず」
ドゴーン
突然地響きが起こった。
「なんなんだこれ!?地震か?」
「いや地震にしてはおかしい、何か爆発したんじゃないか。とりあえず外に逃げるんだ」
「何、何が起きてるの。私の記録消えてないといいな」
外に出ると散らばった瓦礫と共に建物が崩壊していた。
「なんだあれはブラックホールか何かか!?」
男性の指差す先には光が差していて、
近くにはこの世界には似合わぬバトルスーツを着た男性が倒れていた。
「くそ、まさか別の世界に送りおまれるなんて」
バトルスーツを着た男性はゆっくりと立ち上がり光の方を見た。
光から黒い服を着た長い髪の女性が出てきた。
「ふふ、これであなたの世界に異能力者はいなくなった。私の弟子たちがあなたの世界を攻撃しているわ。あなたもここで終わりよ」
女性はバトルスーツをきた男性に手を向けた。手には赤い光が集まり炎ができた。
「まだだ、俺はまだ終わっていない!!」
バトルスーツの両腕から砲弾がセットされ黒い女性に向けて何発もの銃弾が放たれる。
黒い服の女性は揺れるように空中を舞いその攻撃を軽々と避ける。
「ほんと攻撃が単調なのよね」
黒い服の女性から炎が放たれる。
二人の戦闘の流れ弾が周りの建物にあたり崩壊が進む。
「早く避難するんだ!!」
逃げまう人々を追いかけるように響も逃げる。
ーーチリン
突然曲が聞こえ始めた。
「え、何これ。音楽が聞こえる」
響の瞳が水色に光りそして地面は彼女を中心に譜面が浮かび上がった。
重い重低音が周りに響きわたる。重くそして鋭く気持ちわるい曲であった。
「あれって、ノーツ?」
響に向かって少しずつ水色の四角い箱状の大きな塊が近づいてくる。
それは紛れもなく響が遊んでいたノーツそっくりだった。
響は突然の出来後に戸惑い、そのノーツに触れようとしたが気持ち悪い曲によってしまい
その手を伸ばすのを諦め、体をかかんで地面に座り込んだ。
曲が止まった
大きなノーツは彼女の頭すれすれを通りすぎ、大きな鈍い物音が聞こえた。
響のは顔をあげそのノーツの向かった先を見ると大きな瓦礫に潰された人々がいた。
「あの瓦礫の大きさまさしくさっきのノーツだ」
大勢の人々の死を前に響は足が固まってしまった。
「何やっているんだ!ここは危険だ!」
バトルスーツの男は響を連れて逃げるよう腕を掴んだ。
そのスーツは焦げ臭くボロボロであった。
とたん足場にバランスを崩し響をかばうように倒れ込む。
「私との戦いの最中に人助け?さっさとくたばれ異能力者」
黒い服の女性は建物に攻撃をして瓦礫とともにバトルスーツの男を下敷きにしようとした。
ーーチリン
再び曲が流れ出した。
バトルスーツの男は動けず、覚悟を決め響をかばいも守ろうとしている。
響の瞳は水色に光り再び譜面が浮かび上がる。
周りの空気、人々の悲鳴、心臓の鼓動それら全てが消え、響とノーツだけの世界ができる。
「さっき聞こえた重低音、この音、タイミング、私ノーツを打てるかも」
響の指がノーツに触れたとたん気持ち悪い曲を打ち消すような爽快感が響き渡る。
黒い女性が落としてきた瓦礫は粉々に砕け散っていた。
周りの曇りきった地面が弾き砕かれた瓦礫を中心に開け始める。
「まさかお前がこの世界の異能力者なのか」
バトルスーツの男性は小さく呟いた。
この物語はどこにでもいるリズムゲームが大好きな少女が異世界の最強を無双していく物語である。
初投稿です。
登場人物の投稿を一番最初に行う為再度投稿しました。