第十七鈴 終焉の島
恐竜の島最終回です。
朝日がのぼり島に太陽の光が差す。
波も穏やかで夜中に見た不気味な樹々は青々と生き生きしていた。
響とのなかモサ子は海岸に戻り話し合っていた。
「つまり、お前があのティラダってやつを食べたってことだな」
「うん!これで私達ずっと一緒にいられるの!」
のなかの質問に笑顔で帰すモサ子
「この世界で唯一空間スキルを持っていた奴がいなくなってどうするんだよ!」
のなかはモサ子に叫ぶ
「もともとティラダさんに協力してもらう話だったじゃないか!」
「まあ、落ち着いてのなか」
モサ子ははっと思い出したかのような素ぶりを見せる。
「そうだった!忘れてた!」
「俺たちはもうここで行き止まりだ。姫の助けでも待つしかないな」
今後魔法の国へ渡れる手段を失ったのなかは落胆していた。
「しかしここの恐竜たちはやけに大人しくなったな。全く襲ってこないぞ」
「もしかしたら私がみんなのこと倒しちゃったからかな」
響は申し訳ないように話す。
森の中からティラノサウルスがゆっくりと歩いてくる。
「うわ!ティラノサウルスだ!」
ドスンッドスンッ
ゆっくりと響たちに近づいてくる。
グオオオ「兄さんを喰らったモササウルス、お前をこの島の王と認める」
ティラノサウルスはつぶやいた。
「この島の王?私はならないよ」
グオオオ「それならなぜ、兄さんを喰らった?」
「私はティラダさんが大好きだからだよ」
モサ子はティラノサウルスの問いに答えた。
響とのなかはポカーンとしていた。
「モサちゃん、言葉わかるの?」
「わかるよ!同じ恐竜だからかな?」
ティラダさんはさらに問いかける。
グオオオオオオ「ではこの島はどうすればいい?兄さんを失って兄さんを喰らったお前は王の座につかないとなるならば、この島は無法地帯になる。新たなリーダーがいなければ我々はどう生きていけばいいのだ!」
「あなたがリーダーになればいいんじゃない?」
モサ子は即答した。
「私ティラダさんほど見てはいないけど、あなたもずっと努力してきていた。ティラダさんを支えながらずっと島のみんなを守ってきていた。きっとリーダーにも向いていると思うよ」
グオオオ「俺が新たな王になるのか」
森の中からたくさんの恐竜たちが歩いてくる。
ギャウギャウ「話は聞いたぞ!ティラノサウルス!お前が新しい王だ」
グオオ「ドロマエさん…」
ブオオオ!「ティラダさんを喰らったモササウルスが認めるなら当然の結果ですわ!」
グオオ「ブラキオサウルスさん」
そうだ、そうだと言うように周りの恐竜達はティラノサウルスに向かって吠え出した。
「なんだ、一体何が起きたんだ」
「私達食べられちゃうのかな」
恐怖に怯える響とのなか。
「違うよ。この島の新しい王が決まったの」
グオオオオオオ!!!
ティラノサウルスは咆哮をあげみんなの声に応えたのであった。
グオオ「モササウルスとその仲間達。私達はお前達に負けた。この島でお前達を襲うもの達はもういない。好きに過ごすといい」
「ありがとう!ティラダさんの弟さん!」
モサ子は笑顔で答える。
ティラノサウルスは周りの恐竜たちを引き連れて森の中に帰っていく。
そこにはこの島で見たティラダさんの面影が見えた。
「よくわからないけど、あの部下のティラノサウルスがこの島のリーダーになったんだな。」
「よくわからないけど、よかったね。私達を襲う様子もなかったみたいだし」
「うん!私達はこの島にいていいよって言われたよ!みんなで一緒に遊ぼうよ!」
モサ子はそう言い放ち海に向かって走っていく。
「遊ぼうって言われてもな。俺たちは空間スキルを身につけた6人の魔法使いを止めないといけないんだが」
「なんかいい方法ないかな?」
響とのなかは話している途中モサ子はモササウルスの姿になりアクロバティックに浅瀬でバシャバシャと飛び跳ねていた。
「やっぱり、海って気持ちい!!!そうだなんかもっと高く飛べる気がするよ!!」
ーーーチリン
モササウルスの飛び立つ先に空間が出現する。
その中にモササウルスは飛び込み空上空にもう一つの空間が出現しそこから飛び出してきた。
「うわ!何これ!楽しい!」
モサ子は落下する先に空間を出現させ、また上空に向かい高くジャンプする。
「見てみて響!ティラダさんみたいでしょ!」
この先のことを悩み下を向いていた響にのなかが声をかける。
「おい!!響あれ!見ろよ!空間スキルだ!」
「え?」
響の目の前に空間スキルを使いこなすモサこがいた。
「えーーー!!!どうして!?モサちゃんが!?」
「スキル保有者が他のスキルを吸収しても能力のレベルが上がるだけで能力の継承はできなかったはず…」
のなかはさりす姫のセリフを思い出していた。
「まさかあいつの丸呑みのスキルは喰らった相手の能力をコピーすることができるのか!?」
唖然とモサ子を眺めるのなか。
「ねぇモサちゃん!こっちにきて!」
響はモサ子を呼び確認をする。
「モサちゃん、もしかして他の世界にも行けたりするかな?」
「多分行けるよ!でもやったことないからわかんないけど。体がウズウズしてできる!って言ってるからできるよ!」
モサ子は元気に答える。
「とんでもねぇ能力だな。きっと喰らったスキル保有者の記憶や感覚も継承してるんだろ」
ビビりながらのなかは言う。
「やってみるね!」
モサ子は人間の姿に戻り手を海の方へかざす。
海の波が微風にゆっくりと揺れいる。そこに異様な風が吹き込み光が生まれた。
「あ…世界を渡った時の空間だ。」
「モサ子これはどこに繋がっているんだ?」
「わからないよ!」
「わからないんかい!」
のなかはモサ子にツッコむ
「のなかどうする?この世界にいても何も始まらない。私何か手がかりがあるかわからないけどこの空間を通って別の世界に行ってみたい」
「響、そうだな。ここにいても仕方ないからな」
のなかはモサ子に叫ぶ。
「よし、モサ子俺たちはこの空間を使って別の世界にいく。そのまま空間を開いたままにしてくれ!」
「それなら私が連れっててあげる!」
モサ子はモササウルスの姿になりそして二人を大きな口で包み込んだ!
ぱくっ!!
「モサちゃん!?」
「うおおお!真っ暗になった!?」
モササウルスはそのまま空間を使い高く飛び上がった。
落下する速度に合わせ、モササウルスは異世界への空間へ飛び込んだ。
しゅるるるるるるるるる!!
大きな音を立てて空間はモササウルスを包みこむ。
嵐のような風が一瞬に止み、再び穏やかな風が海と島になびき始める。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
主人公3人組結成と今後の異世界への冒険の始まりです。
新しい世界への冒険をお楽しみください。