第十二鈴 空間スキルの恐竜
空間スキルの魔女を食べた恐竜のバトルをお楽しみください。
「よろしくね!ティラダさん!」
2頭のドロマエオサウルスを丸呑みしたモサ子はティラダさんに笑顔を向ける。
恐竜達はその場に凍りついたのであった。
「お、お、お前は!!!まさか!あの海の覇者!!モササウルスか!!」
ティラノサウルスに乗ったティラダさんは驚きの顔が隠せない。
グオオオ「まさかモササウルスが地上まで侵攻してくるなんて、どうしよう兄さん」
ティラダさんを乗せたティラノサウルスは弱音を吐いていた。
「最近海がやたら静かだと思い海を見に来ていたが、海洋の生物はどこにもいなかった。まさかお前が全員食べたのか!?」
ティラダさんはモサ子に質問する。
「えへへへ、私、みんな食べちゃった」
モサ子は照れながら話す。
「ちょ、待て、海の生物を食べ尽くしただと。この世界の生物の進化はここで終わったな」
のなかはつぶやいた。
「絶対的強者であるお前の侵攻をここで止めなければ、この陸も全てお前に食い尽くされるぞ。
お前達ここは俺に任せて島の陣形を固めるぞ!」
ティラダさんは恐竜達に言い放ち乗っていたティラノサウルスから飛び降りた。
グオオオ「兄さんまさか一人で戦うつもり?」
ティラノサウルスは心配そうに鳴く。
「弟よ。俺はこの縦長の生物の姿になってから力が満ちているんだ。実際この力を存分に試すいい機会でもあると思っている。ここは俺に任せて、お前はこの島の指揮をとれ。俺もすぐに向かう」
真剣な眼差しでティラダさんはティラノサウルスに言う。
グオオオ「わかったよ兄さん!気をつけてね!」
ティラノサウルスは森の中に姿を消した。
「ようようよう!海の覇者!モササウルのモサ子よ!お前の地上への侵攻はここで終わりだ。俺がお前を食い尽くしてやる!」
ーーーチリン
ティラダさんの首についた鈴が音を放つ。
その瞬間ティラダさんの周りに空間が出現した。
「さっき食らった生物の力!お前を倒す以外の使い道思いつかねぇんだよな!」
ティラダさんの両腕が腕が大きくなりティラノサウルスの頭の形に変形した。
ガシガシとティラノサウルスの頭を動かす。
「なんかカニみたいだね」
「いやかっこいい。今後のスーツの参考にしたい」
「え、」
響とのなかはモサ子の後ろでつぶやいていた。
「わーーーー!ティラダさんすっごいかっこいい!」
モサ子はその姿をみてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「終わりだ」
ティラダさんはティラノサウルスの頭を右の空間に入れた。
とたんモサ子を簡単に飲み込むほどの大きさのティラノサウルスの腕がモサ子の背後に出現した。
バグッ!!!!
ティラノサウルスはモサ子の立っていた地面と共にモサ子にかぶり付く。
「わ、わ、わ!」
モサ子は間一髪でティラノサウルスの噛みつきを避けた。
「モサちゃん!!」
その光景をみて響が叫ぶ。
「モサ子は上手く歩けてない。このままだとあいつほんとに喰われちまうぞ!」
のなかはMPSの装備を構え始めた。
「モサちゃんを助ける」
響はモサ子に走っていく。
「この空間スキルとやら、面白い能力だ。全く縁のない力だが、俺なら使いこなせる!どんどんいくぞモササウルス!!!」
ティラダさんは腕を周りの空間に連続で突っ込んで行く。
モサ子の周りにたくさんの空間ができる。
「モサちゃん!」
ーーーチリン
響はモサ子の前に立ち、譜面の円盤が地面に浮かび上がる。
「おわわわ!キラキラ光ってるよ!」
モサ子は光る地面の円盤にウキウキしていた。
とたん四方八方からティラノサウルスの頭が大きな口を開けて響とモサ子を囲む。
「あなたの攻撃フルコンで決めるよ」
タタタタタタタタタタタタタタタッタ!!!
響はティラダさんの空間を使った連続噛みつき攻撃を弾いていく。
タタタタタタタタタタタタタ!!!
ティラノサウルス一口は大きく重く何重のノーツが見える。
歯の一本一本にノーツがあった。
タタタタタタタタタッタタタッタ!!
しかし響の連打の方が早く正確で鋭かった。
響はリズミカルに歯の一本一本のノーツまで弾いていく。
弾かれるノーツの衝撃に空間がどんどんと押し負けていく。
「こざかしい能力め!丸ごと食ってやる!」
ティラダさんは響とモサ子の地面に空間を出す。
しかし譜面の円盤に乗った二人は空間に落ちない。
空間から二人を飲み込むくらい大きく口を開いたティラノサウルスの口が出現する。
響は譜面の円盤と共に口の中に入っていく。
「食べてみなよ。口の中から弾くけどね!」
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!
ティラノサウルスの口が閉ろうとしているところを響はノーツを弾き内側から攻撃する。
「すごい!!ティラダさんの口の中だ!」
モサ子は響に捕まり叫んでいる。
タタタタタタタタタタタタッタッタタタ!!!
ティラノサウルス口は噛みきれずそのまま空いたまま空間に戻っていく。
ティラダさんの周りの空間が一度全て消えた。
「噛みきれない。そんなわけないだろ!!」
ティラダさんは自分自身に怒っていた。
「うおおおお!!今がチャンスだ!!」
のなかはMPSマーク28剣神改の両腕のブレードを構えてティラダさんに突撃していく。
「侵入者め!」
ティラダさんはのなかの向かってくるまでの道の周りに空間を出した。
バグッ!バグッ!バグバグッ!
空間からティラダさんのティラノサウルスの腕が何度も何度も噛み付いてくる。
「のなか気をつけて!」
響は自身の周りにも空間ができティラノサウルスの顔が再び噛み付いてくる。
タタタタッタタタタタタタタタ!!!
「私もティラダさんのとこにいくね!」
モサ子は響の出した譜面の円盤から降りてティラダさんのとところに走っていった。
「モサちゃん!?」
「いただいたぞ!モササウルス!!」
ティラダさんの叫びと共にモサ子の真横にティラノサウルスの頭が出現する。
バグッ!!!!!
モサ子は走っていた地面と共にティラノサウルスの頭に食べられた。
「食ったぞ!!これで海の覇者はいなくなった!」
ティラダさんは歓喜をあげる。
ーーーチリン
ティラノサウルスの口のから鈴が鳴る。
その瞬間ティラノサウルスの頭が破裂し中から巨大なモササウルスが出てきた。
「モサちゃん!!すごい!」
「バケモンかよ!あいつ!」
響とのなかは中を舞うモササウルスをみて叫んだ。
「俺の腕があああああぁぁぁぁぁ!!!」
ティラダさんは空間を閉じて損傷した腕を押さえていた。
その腕はすぐに元の人間の腕に戻ったが痛みがあるようだった。
モサ子は地面につくと共に人間の姿に戻る。
「食べ合いっこなら負けないよ」
ニコッとティラダさんに笑いかける。
その笑顔にティラダさんは怒りを隠しきれなかった。
「おいお前達!!この島を侵略にきたのはわかっている!!そしてそこのモササウルス!!
明日の夕暮れ島の高台裏に来い!!決着をつけてやる!!」
「え、夕暮れの高台裏!はわわわ!」
モサ子は赤面しながら返答した。
「はい!行きます!えっと、よ、よろしく願いします!」
モサ子の返答を確認しティラダさんはその場を去った。
「一旦、退却してくてたみたいだな」
のなかは腕を組みながら二人に話す。
「モサちゃん、あのティラダさんの誘い乗って大丈夫なの?危険じゃない?」
響はもじもじとしたモサ子に語りかける。
モサ子は恥ずかしそうに二人に話す。
「えっと、えっとね。私ね。ティラダさんことが大好きなの」
その答えに響とのなかは固まった。
「えええええええええぇぇぇぇぇぇえ!!!!!」
二人の叫び声が夕暮れの海に響いたのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ティラノサウルスのティラダさんです。超身長の祭り男って感じのイメージです。
攻撃スタイルはモグラ叩きですね。
主人公響ちゃんの美プラを作成してました。モデルがいると行動考えやすくなりますね。
次回は戦闘シーンが無い回になります。恐竜の島編クライマックスまでもう少しです。