第十鈴 恐竜の包囲網パート2
のなかと響の恐竜バトル初戦後編です。
トリケラトプス×剣道 お楽しみください!
のなかの前には二角のツノを持ったトリケラトプスが立ちはだかっていた。
「俺だって異能力者だ。いつまでも逃げてばっかりはいられねぇ!」
のなかは赤色のMPSの頭部のアイライトを光らせて戦闘体制になった。
「MPSマーク28剣神改敵を切り刻む!」
MPSの両腕にブレードが出てくる。
のなかは勢いよくトリケラトプスに斬撃をくらわせようととびかかる。
ぬお「自分不器用なんで」
トリケラトプスは頭部を中心に体を右回転し、のなかの攻撃を交わした。
「なんだと!?」
ぬお「自分不器用なんで」
トリケラトプスはのなかの側面に向かい頭部で頭突きをしてくる。
間一髪でツノのを避けられたが頭部の大きなフリルに当たりのなかは木々の中に飛ばされていく。
「なんなんだ。あいつ。俺の攻撃を避けたのか」
ぬお「自分不器用なんで」
のなかは立ち上がりブレードを構えた。
その体制を確認しトリケラトプスも深く呼吸をしてツノをのなかに向ける。
トリケラトプスの構えには隙がなかった。
「なんだ。この圧力。一切の隙がない。なんだったら頭部がデカくて相手の攻撃が読めない」
のなかは構えながら相手の構えに剣道の動きを感じていた。
剣道の竹刀を前に構えた基本姿勢は最強の守りである。
竹刀の剣先を目の高さにおき頭部を守り、手から剣先にかけての長さにより小手を守り、竹刀を中心に構える事によって胴が守られる。この守りを崩すには相手に守りの体制にさせる、または相手に攻撃をさせる事である。この読み合いに負けたものは最強の守りが崩され一本を取られてしまうのだ。
剣道には心技体という言葉がある。
相手の誘い、行動に惑わされない強い精神力を持ち、相手の隙をしっかりと狙える技を極め、一本を取ったという姿勢、そして次の攻撃に備える残心を行う体制。
のなかの前に立ちはだかっているトリケラトプスは心技体全てを持ち合わさっていた。
ぬおおおお!!
トリケラトプスは気合いを出した。
その声に驚きのなかの体制は崩れ守りの体制になる。
トリケラトプスは隙を見逃さなかった。のなかの崩れた姿勢の腕のブレードにツノを当てる。
ぬお!「こててててててぃぃぃ!!」
パンッ!
のなかの腕は小手を受けさらに姿勢を崩す。
開いた腕の間にMPSの頭部が見える。
ぬおお!「めえええええええぇぇん!!!」
バンッ!!
トリケラトプスのもう一つのツノがのなかの頭部に当たる。
重い一撃であった。
「がはっ!!」
MPSの装甲は丈夫であったが、のなかはその衝撃に一瞬気を失いかけた。
のなかはすぐにトリケラトプスの方に目をやり攻撃の機会を確認した。
トリケラトプスはのなかの隣を勢いよく通りすぎていく。残心だ。
頭部のフリルがのなかに当たりのなかはまた吹き飛ばされていく。
「いてっ。この恐竜。武術を極めているんじゃないか」
攻撃をくらい呟きながらのなかは立ち上がった。
恐竜界における地上の最強はティラノサウルである。その生態、その力、迫力、どの恐竜よりも劣っていなかった。しかし草食類であるトリケラトプスはそのツノ体格によりティラノサウルに唯一対抗できる存在であったとも言われている。
ぬお「自分不器用なんで」
トリケラトプスがジワリジワリと間合いを詰めてくる。
のなかも相手の攻撃をうかがうよう構える。
「お前がそのつもりなら俺も正々堂々刀で戦うか」
のなかは腕のブレードをしまい、腰につけた刀を構えた。
「これで俺もお前と同等に戦えるはずだ」
のなかはしっかりと刀を構えトリケラトプスに迫る。
「いいいいいいいやややややややや!!!!!」
ぬおおおおおおおおおおおお!!!
のなかとトリケラトプスはお互いに気合を出し合い相手を動揺させて隙を作る。
トリケラトプスは先に気合を出した為ツノの構えが崩れる。
のなかはその隙を見て刀を振りかぶる。その刀を振りかぶった姿勢は絶好のチャンスであった。
トリケラトプスはのなかの胴に向かって勢いよくツノを振り切った。
ぬおおおお!!「どどどどううううう!!!」
バゴンッ!!!!!
トリケラトプスの胴の一撃がのなかに決まった。
その一撃は風を切るほど早くそして綺麗な一撃であった。
「ぬうわわわわあああああああ!!!!!」
のなかは上空まで吹き飛ばされた。
ぬお「自分不器用なんで」
トリケラトプスは飛ばされていくのなかを見ながら呟いた。
◇
バンバンバババババババババンッ!!!!
響はパキケファロサウルス3頭の頭突き攻撃のノーツを弾いていた。
バンバンバババババババババンッ!!!!
いくら弾いてもいくら叩いてもパキケファロサウルスは何度も何度も何度も頭突きを繰り返していく。
「この恐竜たちの攻撃、だんだんとパターン化されているような」
響はノーツを弾きながらふと考え始めていた。
グオグオ!「頭突きこそ最強!」
グオグオ!「頭突きこそ正義!」
グオグオ!「頭突きこそ至高!」
パキケファロサウルスの攻撃は止まない。
響は小さい頃家で飼っていた犬の行動を思い出していた。
小さな響が座ろうとした座布団に犬が乗ってくる。それをどかそうと座布団をひっくり返し犬をどかすも犬はそれを遊びだと思い再び座布団に乗ってくる。響は何度も何度も座布団をひっくり返し犬は何度も何度も響のひっくり返した座布団に乗ってくる。切りの無い一時。
「あ、もしかしてこの恐竜たちは私と遊んでいるだけなのかな」
響は繰り返される攻撃に恐竜達への恐怖心が消えていった。
「でもこの繰り返されるリズムちょっと楽しいかも!」
響は聞こえる曲、弾くノーツ、刻むリズムを楽しみ始める。
「アレンジいっちゃう?」
響の目が赤く光始めた。
水色のノーツの間に赤いノーツが出現する。
刻まれるリズムに響の好きな作曲家『生き急ぎすぎP』の『ホッピングジャンピングラブ』の曲が流れてくる。
「私の好きな曲!大好きなノーツ!」
響はさらにノーツを小刻みに弾き始める。
バンバンバババババババババンッバンバンバババババババババンッ!!!!
ノーツの弾ける衝撃がさらに強くなった。
グオグオ!「頭突きこそさいきょ」
バギッ!
響の異常なノーツの弾きにパキケファロサウルスの一頭の頭蓋骨にヒビがはいる音がした。
グオグオ!「頭突きこそせい」
バギバギッ!
パキケファロサウルスのもう一頭の頭もヒビが入る。しかし攻撃は止まなかった。
「このリズム!私の大好きなノーツがたくさん!ほんと最高!」
響は自分の大好きな曲の譜面を弾けて喜んでいた。
ふと空を見ると水色のノーツが響に迫っているのが見えた。
キェアアアアア!「悪さは許さん!侵入者め!」
ケツァルコアトロスが上空から響に向かってものすごい勢いで向かってくる。
響はそのノーツも『ホッピングジャンピングラブ』の曲にそめようとした。
すると響を乗せた譜面の円盤はパキケファロサウルスのノーツの嵐からヒュンと上空に舞いケツァルコアトロスめがけて飛んでいく。
とたんに響がいなくなった為パキケファロサウルス達はお互いに頭突きをしてその場で倒れ始めた。
「頭突きこそしこう」
バタンッ
倒れるパキケファロサウルスの後ろでノーツの激しい弾きが見える。
キェアアアアア!「侵入者はここで排除する!」
ケツァルコアトロスの大きな口の攻撃に響はノーツを響かせて対抗する。
バババババババババババババババンッ!!!
一撃こそ連打で対抗するが、空中に浮遊する響の姿はまるで飛び跳ねているかのようだ。
キェアアアアア!「なんなんだお前!馬鹿にしているのか!」
ケツァルコアトロスは響に向かい噛みついてくる。
ガシンッ!
バババババババババッバン!!!
ケツァルコアトロスは噛みきれない響に恐怖を覚えた。
キェアアアアア!「本当に生物なのか!?お前は!?」
ケツァルコアトロスは大型の翼竜であるがその大きな体に体して大きな頭部があり空中での方向変換が苦手であった。それに体して響は譜面の円盤にのり縦横無尽に空中を飛ぼまわる。
「私この曲のイメージは空だったの。『ホッピングジャンピングラブ』一人の少女のドタバタ恋愛曲。空で譜面を弾けるの本当に最高!!」
響を乗せた譜面の円盤は加速する。
「サビパートは真っ向勝負!」
響はケツァルコアトロスに向かっていく。
その時、曲に合わない鈍い水色のノーツが響に向かって飛んでくる。
「うわわわわああああああ!!!」
「え、あ、え?何このノーツ」
響はそのノーツにぴっと指をあてはじかける。
バンッ!!!
ノーツが弾かれ飛んできた正体がわかった。
そこにいたのはトリケラトプスに飛ばされたのなかだった。
「え!?のなか!?」
響の目は赤色から水色に戻っていく。『ホッピングジャンピングラブ』の曲もフェードアウトして消えていく。
「響!!なんで俺を弾くんだよ!」
のなかは島の端の海岸まで飛ばされいく。
「のなかごめん!!」
譜面の円盤にのりふよふよと響ものなかの後を追うように地上に降り立っていく。
キェアアアアア「た、助かったのか」
ケツァルコアトロス響の異次元の強さに恐怖しその場を離れていく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
タイトルが思いつかなかった為パート2になりました。
物語の区切りも大事ですね。次回は主人公3人の3人目出す予定です。お楽しみください!