表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/45

第8話 ‘‘合同‘‘体育祭は何かが起こる…?前編

いつも読んでいただきありがとうございます!

長くなりそうなので前後編に分けました。

 季節は6月中旬。まだ6月だというのにこの暑さは一体何なんだろう?

そんなことはさておき、「俺」は今この学校でおそらく誰もが楽しみすぎて夜しか眠れなかったであろう(「俺」は夜も眠れなかった)イベントに参加している。

その名も合同体育祭である。

我が御河丘学園御河丘高等学校と、紅樺女子学院をはじめとする近所の学校が合同で開催する体育祭である。(ちなみに中学生は中学生で別日にやるので、今日は高校生だけの体育祭である)


 なぜ合同になったかというと、近所の学校の一つが日本最大のグラウンドと競技場を完備したスポーツ学校であり、周辺の学校の校長や体育担当教師などがこぞって使いたいと申し出たため、「なら、合同にしてみんなで使いましょう」ということになったらしい。(日本人ってこういうところあるよなぁ~)


まぁ、何はともあれそんな訳で「俺」たちは近所の学校にお邪魔している。



 「俺」たちは整列して、開会式を行っていた。


「何だ?緊張しているのか?」


いつものように、中倉が茶化してくるが特に気にならない。「俺」は辺りを見回し、ある人を探していた。


「紅樺女子学院なら、あそこだゼ」


中倉、お前ってやつは!後で飯でも奢ってやろう。って違う!


「お、おう。ありがとな…じゃねーよ何で知ってんだよ!」

「え?真純(ますみ)ちゃん(畑山さん)に教えてもらった。昨日ライム(連絡アプリ)で」


どうやら、同窓会(合コン)の時に仲良くなった、畑山さんと今でも連絡をとってるらしい。


「で?そっちは誰目当てだ?」

「誰でもいいだろ!」


流石にそれは言えないので小声で応戦した。教えられた方を見ると、雅さんも気づいたらしく、(女子って視線に敏感すぎだろ⁉)こちらを向いた。

表情が急にはにかみ、微笑みながら小さく手を振ってくれた。そこそこ距離があるが顔がほんのり紅潮しているのが分かる。

「俺」も負けじと(悶絶して動けなくなる前に)雅さんに向かって小さく手を振った。彼女がさらにうれしそうな顔をした。知り合いに会えて、あそこまで喜ぶものなのか少し疑問に思ったがそれは置いておこう。

余計な詮索はあの太陽ような眩しい笑顔に失礼だ。


・・・


 「位置について、よーい、パン!」ピストルの音が響く。

6人が同時に、土をける。女子400m走が始まった。その中には、雅さんの姿もあった。


「ファイトー!」


俺は精一杯応援した。恥ずかしいのであまり叫ぶようにではないが、気持ちを込めて。

結果は雅さんが1着だった。よっぽどうれしいのか、少し遠くから俺にブイサインを送ってきた。


「雅さん、足速いんだなぁ~」

「陸上部次期エース様が言っても嫌味になるだけだぞ」


俺の独り言に応じたのは、やはり中倉だった。


「な⁉中倉⁉」

「そうか。雅さんか」

「お前…!」

「大丈夫だよ。親友を売ったりしないって」


ふぅ、と「俺」は安堵した。こいつは約束だけは守る奴だったからだ。


「で、次お前の番」


中倉はスタッフの一人なので、次の男子1500m走に出場する俺を呼びに来たらしい。


「ああ、そうか。わかったすぐ行くよ」


さぁて、好きな子にいいとこ見せますか。


・・・


 俺はもともと短距離を専門としていたのだが、スタミナがあるからと、顧問の先生にいつも「合同体育祭では1500に出ろ」と言われさらに「もう申請したから、拒否権はない」と追い打ちをかけられている。まぁ、顧問の見立てが正しいのか、毎年好成績を収めることができている。

しかし、それでも一位は取ったことがない。グラウンドの持ち主のスポーツ学校の生徒たちがチート級に速いからである。ただ、それでも、今回の「俺」は一味違う。高校に入学してから今まで、ずっと、1500を練習してきた。1500で大会にも出たし、プロの選手の1500m走を研究したりもした。すべては今日この時のために。

入場し、呼吸を整える。


「位置について」


スタートラインに立つ。


「よーい」


一瞬の静寂が「俺」にはとても長く感じられた。耳に全神経を集中させる。



パン!



ピストルが鳴った。レース開始だ。

コースは土のグラウンドに書かれた一周400mのトラック3周と少しだった。


 スタート直後、現在の順位は12人中の12位。最下位だがこれでいい。まだレースは2周残っている。まずはのろのろ走りと体力を温存する。前で11位と10位が抜く抜かせないでバトっているが気にしない。



 一周目が終わって二週目に入った。第三コーナーを抜けていく。現在も変わらず12位。


「そろそろ仕掛けるか」


極度の集中に一瞬よりすべてが遅く見えた。11位と10位の奴はまだ競り合っている。その時一瞬イン側が開いた。人一人通れるかどうかの幅である。


「ここだ!」


「俺」はそこに自分の体をねじ込んだ。


「は?」

「な!」


10位と11位の奴が驚愕の声を上げる。だがもう遅い。少しギアを上げて一気に二人追い抜いた。負けじとくらいついてくるが、全体のペースが上がったらしく徐々に差が開いていった。




さぁ反撃開始だ…!


続く

次回

‘‘合同‘‘体育祭は何かが起こる…?後編

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「俺」←運良すぎだろ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ