第7話 お茶しちゃった…!
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私、雅 優華は中間考査がようやく終わったことに安堵しながら疲れ切った自分の体を何とか動かし、駅のホームまでたどり着いた。
ふと、「あの人」いないかなぁ~と考えてしまった。
「何考えてんだろ…私…」
今の自分の気持ちははよくわからないが、ただ「彼の名前を知りたい」とは、思っていることは確かだ。いろいろあって聞けてないし…。
とその時、噂をすれば(一人だけど)というのはこういうのを指すのだろう。ふと見るとそこに何やら嬉しそうな「あの人」がいた。
「あ!」
思わず声が出た。
「雅さん⁉」
向こうも驚いているらしく、びっくりしている。
「は、はい。奇遇ですね」
言葉に詰まりながらもとりあえず挨拶した。どうやら彼も試験期間が終わって帰るところらしい。
ピンポンパンポ~ン
ふと、アナウンスが鳴った。そして、電車が止まったことと、続いて運行再開は一時間後であることが伝えられた。私は、父に車で迎えに来てもらうことができるが、「あの人」はそうはいかないらしく、顔面蒼白である。
私が、
「電車、止まっちゃいましたね」
と他人事のように言うと、「あの人」は「そうですね」と表向きは、どこか他人事のように言ったものの無理やり合わせてる感じだ。
「あの人」はバスで帰ろうと(かなりの時間がかかる)、バス停に歩き始めた。この時私はとっさに、「あの人」を呼び止めていた。そして、暇つぶしに付き合ってもらうという口実で、「あの人」とお茶することになった。なぜか、彼がいたたまれなくなったからだ。
・・・
行きつけのカフェに行き、私たちはコーヒーを飲んだり、軽食を食べたりした。
傍から見たらおそらくデートにしか見えないのだろうと思うと、急に緊張して、でもなぜか楽しくて、私はついつい自分で楽しんでしまった。
「あの、もしかしてお口に合いませんでしたか?」
ふと気づくと「あの人」は私の方を見ており、コーヒーは全く減っていなかった。あくまで私の口に合っただけなので、「あの人」の口には合わなかったと思った。
すると彼は慌てて、「いえいえ!美味しいですよ!」と言って、コーヒーを一気に口に流し込んでしまった。
「無理しないでくださいね…私が勝手に連れてきてしまっただけですから…」
私が落ち込んでいると、「あの人」は言った。
「無理なんてそんな…!ただ、コーヒーはおいしいんですけど、なんというか、その…」
「その?」
「あの人」の言葉の続きが気になって聞いてみた。
「電車!早く再開しないかな~って思っただけで!」
どうやら私の早とちり(?)だったようだ。私は少し安心した。
・・・
そうしてカフェで楽しい時間を過ごし、電車も再開したのでそろそろ店を出ようと思い伝票をとった。今回は私の暇つぶしに付き合ってくれたことになっているため私が奢るのが通りだ。
よって私は、「あの人」が何か言ってくる前に
「私が払いますからお構いなく」
と先手を打った。「あの人」が何か言おうとしたが、追い打ちをかけて少し静かにしてもらった。だが、また何かされても厄介なので私はそそくさとレジに向かった。
しかし、ここで事件は起こった。財布がカバンの奥に合って取り出しずらいのだ。
すると、「あの人」はさっと私の前に出ると、電子マネーを使って、一瞬で会計を終わらせた。そのあまりのスマートさに心が動かない女子はいないと思う。財布が出てこなくて焦っていた私を助けると同時に、カフェ代まで奢られた。
「行きましょうか」
「あの人」に声をかけられた。その声がやけにさわやかに聞こえる。顔が熱い。なんでだろう熱でもあるのだろうか?
とにかく、ついさっきの(レジでの)「あの人」がかっこよすぎてまともに顔もいられないほど緊張した。
「じゃあ、また来週…」と私が言うと、「あ、はい。また来週」と「あの人」も応じてくれた。「あの人」が電車を降りてからも私はどうしても、レジでの「あの人」のカッコよさが忘れられず、
「かっこよかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
と悶絶してしまったのだった。
続く
次回
‘‘合同‘‘体育祭は何かが起こる…?