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第6話 俺が、私が、払います。

いつも読んでいただきありがとうございます!

前回の予告と題名が変わっていてすみません!

 中間試験最終日、「俺」は帰りの駅のホームで一人解放感に浸っていたところ、そこに雅さんも現れ流れで一緒に帰ることになった。

しかし、電車が止まり運行再開は一時間後。参ったな…と困っていると、雅さんから、


「‘‘お茶‘‘しませんか?って言ってるんですが…?駄目ですか?」


と謎の提案があり…


「ここのコーヒーおいしいんですよ!」


今に至る。

目の前で‘‘好きな子‘‘が幸せそうに笑っているというのはこんなにもいいものなのかと改めて思い知った。ここは、駅近くのカフェだ。かなりコーヒーが上手いと雅さんが絶賛するので来てみたのである。


「あの、もしかしてお口に合いませんでしたか?」


俺があまりにも雅さんに見惚れていたため、コーヒーが全く進んでいなかった。それを少し誤解したらしい。


「いえいえ!美味しいですよ!」


そう言って、俺は急いでコーヒーを口に流し込んでしまった。


「無理しないでくださいね…私が勝手に連れてきてしまっただけですから…」


あからさまにしょんぼりする雅さんを、「俺」は見ていられなかった。

「俺」は大いに焦り、


「無理なんてそんな…!ただ、コーヒーはおいしいんですけど、なんというか、その…」

「その?」


雅さんが首をかしげてしまった。


「電車!早く再開しないかな~って思っただけで!」

「そうですか。ごめんなさい。私の早とちりでしたね」


雅さんはどこか安心したように笑うと、「お代わりしますか?」と聞いてきたので、(あとコーヒーまじでうまいので)「うん」と答えて、お代わりを頼んだ。


・・・


 そんなこんなで時は過ぎ、


「そろそろ行きましょうか」


雅さんは満足したらしい。電車も動き出したのでそろそろ退店するとのこと。こうなってくると、一つの問題が浮上する。


‘‘どちらが払うか‘‘だ。


もちろん折半という選択肢もなくはない。しかし!男として好きな子には、奢ってあげたいと思う。また、奢ってあげなければ気が済まないと「俺」のプライドが叫んでいるのである。

ということで、席を立つ前に先手を取ろうとしたその時、


「私が払いますからお構いなく」


と、雅さんに先手を打たれた。続けて、


「私の暇つぶしに付き合ってもらったんですから、あたりまえですよ?」


と追い打ちをかけられた。しかし、「俺」とて先手を打たれたからと言って簡単に引き下がるわけにはいかない。


「いや、いいよ。俺が…」


そう言いかけた時にはもう雅さんはレジの人と会計を始めようとしていた。


「お会計1230円になります」


まずい!ここでこの子に奢らせれば俺は来週から(今日金曜日で明日は試験予備日で休み)どうやって雅さんと話せばいいんだ!

そう俺が焦りつつレジへ向かった時、奇跡が起きた。なんと、雅さんがカバンに手を突っ込んでテンパっている。どうやら財布が奥に行ってしまったらしい。まだ「現金で」と言っていない。


今だ!


「俺」はさっと雅さんの前に出て、


「電子マネーで」

「タッチお願いします」


ピッ!


「レシートです。ありがとうございました」


奢ることに成功!

電子マネーの残高が十分にあったのと、支払方法を言わずに財布を探していた雅さんの偶発的な行動が重なったのは、まさに奇跡だろう。


「行きましょうか」


俺が声をかけると、雅さんはなぜか頬をほんのり赤く染めて、


「……うん…」


と、言った。若干声が甘かった気がしたがおそらく気のせいだろう。

 

・・・


 そこから俺たちは駅まで戻り電車に乗ったが、雅さんは何も言ってこない上にずっと頬を赤らめていた。


「じゃあ、また来週…」


いつの間に「俺」が下りる駅で、雅さんはどこかさみしそうに言った。


「あ、はい。また来週」


小さく手を振る雅さんに手を振り返してから、俺はとある用事のためトイレの個室に駆け込んだ。誰もいないことを確認して、


「可愛すぎんだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」


俺は頬を赤らめて小さく手を振る雅さんを思い出し悶絶するのだった。


・・・


 しかし彼は知らない。そのころ、雅 優華が、


「かっこよかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


と同じく悶絶していることに…。


続く

次回

お茶しちゃった…!

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