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第37話 白い日ですが色とりどりの甘いやつを!

いつも読んでいただきありがとうございます!

 2月14日から1カ月、プレゼントの方は先に渡してしまったが、お菓子の方は一カ月みっちり考え、やっとこさ買ったのが昨日のことだ。

ということで、今日は3月14日ホワイトデー。ついにお返しを渡す日である。正直緊張でどうにかなりそうだ。今日も学校がある。せっかくの土曜日だというのに優華とデートにも行けない……全く、土曜授業なんて考えた奴はどこのどいつだ!


「おーい」


優華と合流した。彼女の姿を視認して心臓が跳ね上がった。

緊張と恐怖でどうにかなりそうだ。


「なんか、そわそわしてない?」

「え?」


全く、勘のいい彼女は……まぁ大好きですけどね?


「えっと、お返し……どうぞ」

「あ!」


俺はぎこちなくお返しを渡す。駅の中なので恥ずかしさがこみ上げたりもする。


「ありがと!食べて良い?」

「もちろん」


そこで、優華は少し考えたようにうつむき、


「やっぱりさ、あーんしてよ」

「ふぁ?」


俺はすっとんきょうな声を上げた。

あーん?あーん!?あーんだと⁉


「ダメ?」


なんか久しぶりに聞いたような言葉で俺は簡単に落とされた。


「は、はい。あー……ん」

「あーん♪」


優華は「んー♪」とおいしそうな声を上げた。気に入ってくれてなによりだ。


「ほら、ゆうも一口、はい」

「え?あ、ああ……?」


俺がもらう理由ある?まぁいっか。

差し出されたチョコを少しためらいながらほおばる。うん。確かにおいしい。まぁ試食したしな。


「おいしい?」

「俺が買ったんだが?」

「お・い・し・い?」

「……はい」


「よろしい♪」優華は微笑んだ。全く、何がしたいんだか……


―――ん?


その時俺は見た。いや、見間違いかもしれない。


「優華、薬指になにか……」

「え、わわっ!触っちゃダメ!」


俺はその時今度こそ見た。優華の薬指には俺があげた指輪がはまっていた。もちろん左手に。


「こ、これはその……何ていうか、、」


慌てる優華にいったん落ち着くように促し、事情を聴いた。


「なんでって……それは、ちょっと嬉しくなって浮かれてました……ごめん」

「何で謝るんだ?」

「はえ?」


そう。何も謝ることなんてない。むしろ、うれしくもある。


「何も謝ることないだろ?俺が優華のこと好きなの知ってるだろ?あと、優華の母親の前で明言したし」

「あれって建前じゃなかったの⁉」

「建前なわけあるか!」

「うそ……」


優華が絶句した。

ぽかんと口を開けて、目を見開いている。と、思ったら途端に後ろを向いて、バタバタしだした。

う~~~む……かわいい!

ふと彼女を見る。耳まで真っ赤だ。大丈夫かな?

俺は思い出す。こういう時大体あとでめちゃくちゃキスされるんだよなぁ~

俺は今後の展開に思いをはせてみる。


「おっと、危ない。これ渡し忘れるところだった」

「?」


こちらを振り返り、真っ赤な顔が小首をかしげた。俺はポケットから小さな箱を取り出した。


「これは?」

「何かネットで、本当に好きな人には、チョコじゃなくてマカロン送るといいって聞いたから。あと、優華、イチゴ好きだろ?」

「―――次から次に……有能すぎる彼氏を持つのも問題かも……」

「何か言ったか?」

「なにも!」


優華はさらに真っ赤になって、俺から箱を受け取ると、あけて威勢よく一口食べた。

4個入りのマカロンだ。4つとも味が違い、色とりどりとはこのことである。


「おいしぃ~!」


ほっぺたお抑えて、優華は満面の笑みを浮かべる。


「ありがと!」

「よかった。気に入ってくれて」


優華はあっという間に二個三個と食べ進め、箱の中を空っぽにした。


「ふとったらゆうのせいね!」

「ひどい!」


「じゃあね。改めてありがと」といって、優華は駅を後にした。

数十秒後

スマホが震えた。


『放課後時間ある?あと、大好き』


全く、直接言えばいいのに……。


付き合い始めてもう数カ月経つのに少しも女心が分からない雄日だった。


・・・


 そのころ、優華は、


「うーん……」


(おいひかったなぁ。ちゃんと口で言えばよかったかな?でもでも!恥ずかしいって!あ~あ……優秀な彼氏持つと怖いわ……っていうか、雄日ってなんだかんだ私のこと好きなんだよなぁ。それなのに、一カ月記念とかも忘れてるんだよなぁ……。唯一誕生日だけは一緒にいてくれたけど。あの時はスイーツビュッフェご馳走してもらって……えへへ…雄のほっぺたにクリームついててそれを取ってあげた後に不意打ちでほっぺにキスした時の雄の顔ときたらもう!ふふ……あ、そういえば!…………)


優華は盛大に雄日のことで頭がいっぱいだった。

だからだろう。学校前の電柱に頭をぶつけそうなったのは。

この場に雄日がいたならばドジっ子優華もかわいいと言っていそうだと感じたのは私だけではないはずだ……。


・・・


 「は?」


その日、優華は聞く。絶望の一言を。その場所に彼はいない。彼に会えなくなるという絶望を前に彼女はただ泣いた。


・・・


 その日、3月15日を境に優華はぱったりと元気を失い、俺に話しかけてこなくなった。

何を聞いても答えてはくれず、ただ、「大丈夫って言ってるじゃん!」と怒るだけだった。

俺はどうすればいいんだろう……。


続く


次回

第38話 溶けない雪


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