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第36話 あなたのいる未来がほしい

いつも読んでいただきありがとうございます!

 俺―――早乙女 雄日はいまデパートのアクセサリーショップの前で商品とにらめっこしていた。


「う~ん……」

「おーい」

「う~ん……」

「ちょっと!」

「…………」

「ねぇってば!」

「うわっ!」


俺は驚いて飛びのいた。どうやら商品に夢中で聞こえていなかったらしい。

しかし、声の主は……お?


「全く、何してんのさ?」

「喜多?」


意外な人物に俺はぽかんとした。


「そうだよ。君の可愛すぎる幼馴染兼恋愛アドバイザー!喜多ちゃんだよ♪」


陽気に言うその顔はいつもの喜多のものだったが、どこか落ち着いた感じがしていた。


「ごめん。俺、優華と付き合ってるからお前とデートは……」

「分かってるってそんなの。私もあんま時間ないし」

「仕事か?」

「うん。で?何をお探しかな?時期だけで言うなら……ホワイトデーとか?」

「正解」


そう。俺は優華に何かプレゼントをあげたいなと思ったのだ。市販のチョコをそのままって言うのも味気ないし。


「んで、アクセと」

「うん」

「手伝ってあげようか?」

「マジで⁉」

「うん。恋愛アドバイザーだしね♪」


ということで、仕事前の喜多と一緒にプレゼントを選ぶことになった。


「まず絶対にペアルックよね」

「ぺあ?なんだそれ?」

「はぁぁぁ……まさかそこから?」

「面目ない」

「仕方ないなぁ。ペアルックって言うのは簡単に言えばお揃いってこと」

「あ~ね」

「で?ご所望の品は?」

「うーんブレスレットとか?」

「ゆっくんにしては良いセンスじゃん。ただしこっちの方がいいんじゃない?」


俺は小さくガッツポーズ。何だろう横から子供を見る母親の目が……気にしないでおこう!

そんなこんなあって、結局ペアリングになった。

いやいやいやいやいやいいやいやいや!どうしてこうなった!

結婚指輪じゃあるまいし……。

しかし、もう遅い買ってしまっては渡すしかない。


「今日はありがとう……」

「言ってることと表情があっていないけど?」

「すまん」

「何買ってからへばってんの?」

「がんばるよ」


「じゃあね。頑張りなよ?」そう言い残して、喜多はどこかへい行ってしまった。


しかし、あながち間違いでもないかもしてない。

確かに?2年後には渡す予定だ。俺の気持ちを形にしたものを。


「ゆう?」


その時、後ろから声がした。聞きなれた声が耳を打つ。


「え?」


俺が振り返るとそこには優華が立っていた。


「き、奇遇だね?」


優華は何か気まずそうだ。俺は手に持っている小さな紙袋をさっと後ろに隠した。


「そ、そうだな。優華は何でここに?」

「いやぁ~、ね?ゆうが見えたからさ?追いかけてみたら……」


優華はそこで口ごもる。おそらくすべてを見てしまったのだろう。早急に誤解を解かねば!


「優華」

「はい」

「説明、させて?」

「やましい事でもあるの?」

「俺の身の潔白を証明しておきたい。その、、優華に誤解されたくないから」


優華は何も言わずにコクっと首を縦に振る。


俺は一部始終すべて話した。俺がプレゼント選びに手こずっていたところに偶然喜多が来たこと。選ぶのを手伝ってもらったこと。俺は優華一筋だということ。


「わかった。ごめんね?勝手に心配して……」

「いやいや、俺の問題だから優華が謝ることないよ」

「そっか。ところでなにくれるの?」

「待ってもらうのは?」

「無理!」


満面の笑みで(にっこにこで)こちらに両手を差し出してくる、もちろん手のひらを上にして。


「分かった。けど場所だけ変えていいか?」

「うん。わかった……?」


・・・


 ということで、なんだかんだあって、俺は優華と、デパートの中にあるカフェにやってきた。


「早く早く♪」


すっかり機嫌を戻した優華はにっこにこでせがんでくる。向かい合って座った居てよかった。もし隣に座ろうものなら……うう、考えただけでぞっとする。公衆の面前でやっていいイチャイチャの範囲を確実に超えるだろう。


「じゃあ、手、出して」


優華は小首をかしげつつも両手を出して来た。俺はその手を取り、ゆっくりと手に持ったリングをはめる。とりあえず左手中指に。


「うそ……」

「この前は手作りチョコありがとうおいしかったよ」

「こっちこそありがとう。でも、こういうのって、その……ゆうのもあるの?」

「あるよもう1個」

「私はよくても、ゆうの学校はダメでしょ?アクセとか」

「だからこうする」


俺は同時に買った一本の紐を取り出して、即興でネックレス(?)を作り首にかけた。


「こうしたらバレないだろ?」

「ゆうって意外と頭いい?」

「失礼な……まぁいいか」


俺たちは笑いあった。ああ、なんてことだ……もともとそうだけど、

君のいる未来が欲しくなったじゃないか……。


・・・


「え?なに~?彼氏から?」

「うん!そう」

「いいんじゃない?普通に似合ってるよ」

「ありがとう!」

「にしてもさ?」

「ん?」

「わざわざそこに付かね?」

「いいでしょ!だって…………」


あなたとずっと一緒に居たいもん……。

あなたの居るとびきり幸せな未来がほしいんだもん……。


あれ?ちょっと欲張りかな?


「まぁいっか」


左手薬指に光るものを眺めて私はそうつぶやいた。


続く

次回

第37話 白い日ですが色とりどりの甘いやつを!


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