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story2

「あぁ、やっぱいいわ」


「何なのさ」


「あのさ用事出来たから帰ってもいい?」


「はぁ!?」


「ごめん!今度行きたいって言ってた猫カフェ連れてくから!」


「....許す」


「さんきゅ!」


そう言いながら俺はその子の耳元で


『着いてきて』と呟き、家に帰った。




家に入ると家の中は真っ暗闇で


電気を付けるとリビングのテーブルの上に


置いてあるメモ用紙が目に留まった。


『帰ってきたら冷蔵庫の中のおにぎり食べてね』と書いてあった。


多分、これは俺宛てではなく、


母さんが夜遅くに帰ってくる父さん宛てだろう。


帰ってきてそうそう嫌なものを見たな...


ハートマークとか付けやがって..


そういえばさっき玄関に靴が無かったから母さんは今、買い物中か。


とりあえず、俺はタオルを持ってきて


その子を拭いた。


もしかしたら、濡れたまんまだと風邪をひいてしまうかもしれないと思ったからだ。


さっそく俺はその子に名前を聞いてみたが、答えてくれなかった。


もしかしたら警戒しているのかもしれない。今日はそっとしておこう。


とはいえ...俺の部屋、寝る場所なくね?


そんなことを考えながら俺は自分の部屋に


その子を入れた。


一緒に寝るのはちょっと...。


俺はクローゼットのドアを少し壊して


クローゼットを秘密基地のようにした。


「ごめんだけど今日はここで寝てくれるかな?」


と言うとその子は頷いてそこに寝っ転がった。


俺は自分のベッドに横になり


申し訳ない気持ちになりながらも


夢の中へ落ちた。




ここは、どこだろうか。


辺りは真っ白だけどほのかに青い気がする。


『ねぇ...もう1度、呼んでよ』


『たった1度でいいから』


『私の名前を呼んで───』


君は、一体...




そこで俺の夢は途切れた。


嫌に後味の悪い夢だ。


目を開けるとまだ外は暗かった。


こんな時間に目が覚めるのは


久しぶりだと思い、俺は外に散歩へ出かけた。


そういえば今は何年の何月だろうか。




この公園のブランコ、小さい頃によく遊んだな...。


あ、この花.....何処かで見たような───。


「優....?」


その時、後ろから聞いた事のない


誰かの声が聞こえた。


「誰...ですか?」


俺がそう聞くとその人は、 どこか淋しげな顔をした。


「そっか、君はそっちを選んだんだね」


「えっと...何の話ですか..?」


「ううん、こっちの話」


「じゃ」


そう言いながらその人は俺に背を向けて


どこかへ行ってしまった。


どうも不思議な人だ。


そういえばあの人、さっき俺のこと『優』って呼んでいたような...。


俺の名前は『樹』なのに。


変なの。

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