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大所帯


「ローズ様!クリス様を装飾品のように連れ歩くなんて!クリス様があまりにも可哀想です!!」


週明け、私は再びメリア嬢に絡まれていた。

先日クリスと二人でカフェを訪れたのを聞きつけてのことらしい。

メリア嬢の横にはいつもの取り巻きたち。

今回は後ろにはマレリア侯爵令嬢の姿が見える。

マレリア嬢もまた、私がクリスの婚約者であることに難癖をつけてくる人だ。


いつも下っ端を使ってちょっかいをかけてきて、本人はせいぜい聞こえるように悪口を言う程度。なるほど、今回はメリア嬢と徒党を組むらしい。

目の前の四人を見て、なんだか大所帯になってきたなあ、なあんて呑気に思う。


アンとロベルタが私を守る様に前に立ってくれる。

彼らからしてみればそれもまた煽る行為にしか見えないだろうな。アンとロベルタはアスター公爵家の傍系だから。


「そうやってクリス様の権力を我が物の様に振舞って!同じ男爵令嬢として恥ずかしいです!」

「そりゃあどうも…」


ほらね。

正直いえば、私だってあなたが同じ男爵令嬢で頭が痛いわ、と思うけど言わない。顔には出てるかもしれないけど。


「その手袋だって!クリス様とこれみよがしにお揃いつけて!ローズ様は魔力量なんてそんなに多くないから必要ありませんよね!?」


そう言って私がつけている手袋を指差す。私とクリスは特例で制服とは別に常に手袋をつけている。

クリスの場合は魔力量がとにかく多いから。


直接クリスの手に触れると魔力が相手に流れ込み、魔力過多で相手が倒れてしまうし、魔道具も触れるだけで壊してしまう。だから常に魔力の流出を制限するための手袋をつけているのだ。


私もクリスと見た目がお揃いの手袋をつけている。事情はクリスとは少々異なるけれど。


二人とも学園に正式に申請をして着用も認めてもらっているものだ。

一応制服には規則というものがあって、規則外の装飾品をつけていて教師陣が何も言わないということは、特例として認められているということなのだけれど、どうにも彼らには私がクリスとお揃いを付けたいがためにただ付けて、権力で黙らせているように見えるようだ。


「私はクリスと触れ合うことが多いから、万が一でもないようにこのように同じ手袋を常につけているのです」


細かく私の体質を説明したところで聞かないだろうし、そもそも機密事項になっているから、最もらしい嘘を答える。ついでに陶酔したような表情も付け加えてあげる。

また息を荒くして何かを言っていたけれど予鈴が鳴ったので無視して教室へ戻ることにした。


メリア嬢、意外としぶとそうで面倒だなあ。長い戦いになりそう。

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