そして結婚(完)
「ローズ、あのさ、お願いがあるんだけど」
体調はすっかり良くなったものの、クリスが過剰に心配するので、彼が納得するまで公爵邸でお世話になっている。
今は学園は春休みで、今日はクリスとピクニックに来ている。侍女と護衛は空気を読んで少し離れたところから様子を見守ってくれている。
「ん、なあに?」
クリスは膝枕をしてくれている。普通逆だと思うけど、どうにも私への過保護がまだ続いているらしい。クリスと私は手袋を外して指を絡めている
「ローズさ、あのとき、結婚を早めてもいいって言ってくれたよね?」
あの時、と言われて頑張って思い出す。いつだっけ。あ、あれだ、私が襲われた日のことだ。
「言ったね。クリスはどうしたいの?」
そう言ってクリスの頬を撫でてあげるとうっとりする、
「えっとね、驚かないで欲しいんだけど…」
「うん」
「三ヶ月後」
「三…えっ??」
「だ、大丈夫!準備とかは!任せていいって前に言ってくえれたから、こっそり勧めてあるから!」
それでどうにかなるの???
「もう身分差とか、相応しくないとか、そんなつまらない理由でローズの時間奪いたくないよ、結婚しちゃえばローズも公爵夫人でしょ?誰も逆らえない。逆らえなくしたから言えるとしたら王族くらいだけど、それも俺には何も言えないから…」
だから、ね??? と精一杯甘えた声と表情でお願いしてくる。
昔からクリスのお願いには弱い。
断れたことがないし、クリスもそれをわかっているのだ。
「じゃあ、私からもお願いがあるんだけど、」
と言うとクリスがびくりとする。クリスにとって不利なお願いをされるのを察しているようだ。
「な、なに」
「結婚まで、せめて一ヶ月くらいは実家に戻りたいな」
「…、ぐ」
予想できてたのか、なんか変な音がクリスから出る
「結婚したら家族と離れ離れになっちゃうでしょ?だから最後に一緒に過ごす時間がほしいなって、だめ?」
「そんなのダメって言えないよ」
「でも本音は?」
「今すぐ結婚したいしずっと一緒に離れず一緒に暮らしてほしい」
無理な本音に笑ってしまう
「在学中に結婚ってなんだかドキドキするね」
「令嬢の場合は稀に若いうちから娶られて結婚するけど、令息で結婚は珍しいかもね」
「新婚旅行とかはどうするの?」
「卒業したら行こっか」
「初夜は?」
「それは初夜にするよ」
「あはは、クリスのえっち」
クリスは開き直って「そうだけど?」なあんて言ってのけた。
***
結婚式まで日付は全然なかったけど、クリスは宣言通り結婚式の準備をほとんどやってのけた。本当は私の了承を撮る前から準備してたんでしょ?って聞いたら気まずそうに目を逸らすものだから笑ってしまった。
私は私で、実家で一ヶ月間ゆっくり過ごした。
パーティでの事件があってから、お見舞いには来てくれてたけど家には帰れていなかったから。両親や兄妹は心配してくれていた。
ちなみにクリスは毎日転移して私に会いに来た。
クリスに余裕がある日は一緒に領地の景色を見て回ったり、屋台のご飯を食べにいったり、遠乗りに出掛けてみたりした。のどかなところがこの男爵領の一番いいところだと思っている。
学園に入る前の頃に戻ったみたいで少しだけ懐かしくなった。
でも一ヶ月なんてあっという間で。
「二人は共に愛し合うことを誓いますか?「誓います」
クリスが食い気味に返事をする。
「誓います」
それから私も返事をしてあげる。
誓いのキスをする時クリスの顔を見れば、少し泣いてた。そんなに私と結婚するのが嬉しいのかと思うと可愛くて仕方ない。
「幸せにしてよね」
「もちろん!任せて。その代わり一生一緒にいてね。死ぬ時も一緒だよ。絶対同時に死のうね」
この先長いのに一緒に死のうね宣言が物騒すぎる。
だけどクリスらしい。
「いいよ」
そう言ってあげると世界一幸せそうにクリスは笑った。
愛が重い婚約者もとい夫とこれからも幸せに行きます!




