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第8話 力技

 「グッ、ツー……つ、強い!」


 ゾルデニックの雑兵とネインが斬り合う。

 圧倒的な差があった。


 「グッ…うあぁ!」


 ネインが雑兵を斬った。


 「その程度?」


 ネインは尻餅をつく男にそう言った。


 「オラオラオラァ!!!」

 

 理性を失ったように、走り回るアルネネ。次々と盗賊を薙ぎ倒していく。

 その姿はまるで理性を失って走り続ける猪のようだった。


 「こい!チビ!」

 「ムッ!誰がチビだ?」


 レーンは、少しむすっとした。

 そして目にも止まらぬ速さで、盗賊の首を斬り落とした。


 「弱いね…あと私は成長を貯めてるだけだから勘違いしなでよね。全く…失礼なやつ…」


 レーンはブツブツと文句を呟いた。

 レーンはチビなことを気にしているのである。


 「甘い!」

 「グハァー!」


  エネメシアは盗賊を切り倒した。

  ネイン同様、余裕だ。

 

 「隙だらけです」


 エネメシアは剣に付いた血を振り払った。


  「闇魔法…ブラックフラッシュ…」

  

  「光魔法…ライトフラッシュ…」

 

 ハクとコクは互いの手のひらを盗賊に向けて攻撃魔法を放った。コクは闇魔法、ハクは光魔法を放った。

 攻撃魔法により、盗賊は吹き飛ばされていく。

 

「魔法詠唱…"光を暗黒に示せ"ライトニング!」


 キララは強力な電気を帯びた魔力の塊を放った。


 盗賊達は一斉に感電した。


 「どこを見ている?」


 盗賊の男は、剣と剣で攻防しているラヴァに言った。

 戦いの最中ラヴァは魔王デーモンの方を見てばかりで、戦いに集中をしていない。


 「ぶざけるな!よそ見をしている暇があるなら死ね!」


 ラヴァに斬りかかる盗賊の男。


 「うるさいわね」


 一瞬で剣が盗賊の男の体を貫いた。そして、何度も何度も必要以上に男の体に剣を刺した。


 「口には気をつけなさい。私はデーモン様をずっと見ていたいの。邪魔をするなら死んで」


 血のついた剣を舐めながら言った。


 「ムフ、ムフフ……サンプル回収っと」

 

 死体を怪しく漁るのはフカシギだった。

 戦いを放棄して、何かを採取している。

 死体を漁るフカシギの顔はマッドサイエンティストのような、薄気味悪い笑みだった。


 「遠距離支援は任せるやんね!」


 コメコは遠方から、弓矢を盗賊に放っていた。

 正確に1人づつ、倒していった。


 「斬り捨て御免!」


 ヤマトは日本刀で盗賊達を斬り捨てた。




 ◇◆◇

 

 「ハァ、ハァ、ハァ……クソが……」


 ゾルデニック幹部のカマセは焦っていた。

 カマセにとって、予想外のことが起こったからである。


 それは、魔王デーモンの強さだった。

 デーモンは噂では、魔王の中でも最弱と評価されていた。

 だが、噂と現実は違った。


 先ほどからカマセの攻撃がデーモンには当たらなかった。

 全てかわされた。


 「テメー…なぜ攻撃してこねぇ?ふざけてんのか?」

 「……いいから、私を殺すつもりで本気で来い。それともそれが貴様の本気か?」

 

 「ハァ?ふざけるなよ!」


 魔力を最大にするカマセ。カマセから強い風が巻き上がる。


 デーモンに向けて斬りつけるが、突然の如くかわされた。


 カマセの攻撃をかわすことに、デーモン(優永)は飽き始めていた。


 (うーん。こんなもんか。アルネネより全然遅いし、攻撃も単純。見切るのも簡単だ。なんなら目を瞑っててもかわせる。せっかく、僕の修行相手してあげようと思ったけど、この程度じゃ、得られる経験値も知れてるな)


 「つまらん」

 「アァ?」

 

 デーモンはザイアンの剣を素手で受け止め、掴んだ。


 「ク、…クソ、放せ!」

 

 「もっと、本気を出してくれよ…」


 デーモンは剣を掴んだままザイアンに耳打ちした。


 「ふざけるなぁ!!!!」


 強引に剣を振り回す。それに合わせて、デーモンは後ろに下がった。


 カマセの怒りは頂点へと達した。


 「もう…どうなってもしらねぇ!やってやるよ!」


 「ほう……」


 カマセは、手を挙げた。


 「禁術魔法詠唱!奴隷の命を奪い、強奪せよ、そして力を示せ!デッド・バルティカル」


 カマセの、手には強力な魔力玉が生成されていた。


 すると、周りのカマセの手下が倒れていく。


 「この魔法はな、手下どもの命そのものを魔力に変え形成される魔術だ!」

 

 (命……を魔力に変える…?

  命を犠牲にしたのか?

  いくら手下でいえど、命を弄ぶなんて。

  戦って殺し、死ぬのはどちらも自業自得だから、なんとも思わないが…)


 「命を弄んだ罪を償え」

 「ほざけ、死ね!」


 デーモンに放った。が……デーモンも魔力玉を放ち相殺した。


 「な、なんだと……き、禁断魔術をいとも簡単に……」


 (今放ったのは、あの小娘魔法使いに、放ったものを少し強化したものだ。威力が高いのは重々承知だ)


 「貴様は命を弄んだ罪…その身で償え」

 「あ、あああ……」


 デーモンは手の甲をザイアンに向ける。


 「奥義にして、究極……力技詠唱、フン!」


 デーモンの手にはとてつもなく強力で、大きな魔力玉ができていた。


 「くらえ…パワーオブナンバーワン…」


 カマセにそれを放った。

 カマセは爆発とも共に弾け飛んだ。


 大きな爆風が起った。


 




 ほぼ、前の時のやつと同じやり方なんだけど、うまくいったな。手に思いっきり力を入れただけなんだよね。でも今回は魔力というものを学んだから、前回よりよも強力にできた。

 

 周りを見渡すともう、盗賊は人残らずいなくなっていた。

 カマセの魔術によって、生き残っていたものも、全員死んでしまったようだ。


 それにしても、禁術魔法とはなかなか興味深いものを見させてもらった。

 命を魔力に変える…魔法か…


 いくら、手下とはいえ仲間の命を犠牲にするなんて僕にはできないな。


 アイツらはもう、僕の大切な仲間なのだか…


 「デーモン様〜!!」

 「ムギュ」


 僕にラヴァが抱きつく。

 とてつもない強力な力で僕を締めつけた。


 顔が胸に押し付けられて息ができない!


 「く、苦しい……し、死ぬぅ…」


 「敵を残らず壊滅させました!褒めてください!褒めてくださいよ〜」


 ラヴァの締め付ける力が増す。

 ガチで死ぬ!助けて!


 「ちょっと、ラヴァ!デーモン様を放しなさい!苦しそうよ!」

 

 ネインがラヴァに忠告する。


 「チッ!うるさいわね!」


 ラヴァはそう言って渋々僕を離してくれた。


 「ハァ…ハァ…」


 冗談抜きで今日1番死にかけた。


 「なんだか、手応えがなかったな」


 レーンが言った。


 「む、全員無事だな」


 どうやら僕の仲間達は僕が思ったよりも強かったらしい。


 とりあえず大魔王ギザランの命令通りに組織の一部を壊滅することができたのだった。

ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!

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