第2話 自己紹介
「私達はあなた様に仕える手下でございます」
そう言ってネインはまた、跪いた。
その態勢きつくない?そう思うのは野暮かな。
いつも同じ姿勢だから慣れているのかもしれない。
「あとの君達は…」
ネインの他の2人…
「じゃあ1人ずつあらためて、自己紹介をしましょう」
ネインがそう言って立ち上がった。
「先ほども言いましたが、私はNo.001、ネインと申します」
金髪で超絶美女でナイスボディ。見たところこの人が下部の中のリーダー的ポジションだろう。
「私はあなた様を1番に愛しているNo.008、ラヴァでございます」
ピンク色の髪で、大きな胸。
なぜか彼女からの視線は棘の様に痛い。
「僕は………レーン、No.は003」
銀髪の背の小さい小柄な女の子?
子供だろうか?
とても愛想がない目つきだ。
……………僕はある疑問を抱く。
「ちょっと待って3人しかいないの?少なくない?」
思わずつっこんでしまった。
だってそうじゃないか、魔王手下っていったらもっといるはずじゃない?
ほら、ズラーって下部が並んでさ…。
アニメの見過ぎか?
イメージがすぎるのか?
最初からなんか少ないなとは思っていたけど…
「いえ、この場にいるのは3人だけですが、あなた様に仕える者達は計13人います」
なんだ、いるじゃないかホッとした。
3人だけなはずないよね…
「そっか…いるならいいんだ。それで?他の人達は?」
「みんな、それぞれ任務をしています」
任務中か。
任務中ならば仕方ない。
「とは言っても任務中ってカッコつけて言ってるけど皆んな遊んでるだけだけどね」
レーンが笑みを浮かべてそう言った。
「はぁ?遊んでるだと?何故だ?」
僕は聞く。
魔王の部下達が、遊んでいるだと?
「ここにいてもやることないから皆んなどっかに行ってんだと思うよ」
レーンが淡々と返す。
「何もするこがない?そんかはずないだろう?ほら、敵とか魔物とかと戦ったり…いろいろあるだろ?」
「戦うも何も、デーモン様は極力戦わないでしょ?」
「え?」
戦わない?どういうことだ?
「俺は戦いが好きじゃないとか、魔王になったからそれ以上は望まないとか、皆んなを守るだけだとか、変にカッコつけて一向に戦おうとしないだもん。だから、皆んな暇で、暇でしょうがなくなって、挙げ句の果てに遊びに行ってるってことだよ」
え?…
なんか、いろいろと言い訳しているけど要約すると戦いたくないって言ってるだけだろ!
そうかデーモンとかいう魔王は悪くいうと、ビビりなのか…
カッコつけてそう言ってるだけの弱腰魔王じゃないかあの声の主。
とんだ期待ハズレだ。
よし、わかった…
僕はしっかりとした頼りになる魔王を目指そう。
部下たちに愛想つかれないようなちゃんとした魔王にならないと。
そうと決まったら、どっかに遊び歩いている部下達を集めないとな。
「至急、部下達を集めろ!特別集会を開く!」
僕は手を前に伸ばしてカッコ良く言う。
魔王っていったこんな感じかな?
僕は僕なりの魔王を、演じないとね。
とはいっても、本場の魔王なんて見たことも聞いたこともない。僕の想像と、小説の中のイメージの魔王しか知らないからなぁ。
「わ……、わかりました!」
ネインが慌ててどこかに走って行った。
「特別集会って…一体なにをするつもりなの?」
レーンが僕に言った。
そして僕は笑いながら答える。
「皆んなが集まってからのお楽しみ」
「ふーん…まあ別に大したことじゃないんだろうな…どうせ、この城の大掃除とかでしょ?」
レーンがそう呆れたように言った。
僕はあえて何も答えない。
「ああ、今日もデーモン様は輝いていますね…かっこいい!」
ラヴァが、目を光らせて僕を見ている。
なぜだが、えらく褒められたな…
そう考えてるとネインが戻って来た。
「今、通知をそれぞれに送りました。早くても集まるのは明日以降です」
「ご苦労」
どうやって通知を送ったのか…?
まあ、いいや。
とりあえずこの世界のことをもっと教えてもらおう。
今の僕は圧倒的知識不足。
この世界について右も左も知らない。
この世界のことを知らなければ。
「この世界についてもっと教えてくれないか?」
「はい。わかりました」
ネインがこの世界についていろいろ教えてくれた。
魔法や魔物の存在。
そして何より驚いたのが、人間と魔人の関係について。
簡単にいうと今、僕ら魔人と呼ばれる種族と、人間と呼ばれる種族が戦争をしているらしい。
人間と魔人が戦争をしている?
これからもっと戦争が激しくなるらしい。
冗談じゃない。
戦争なんて死んでもごめんだ。
だが、今の僕は魔王だ。
魔王として戦わなければならないかもしれない。
「世界を救ってくれ」
たしかそう言われたことを思い出した。
僕にそんな役割を与えてくるなんて。
アイツはただ逃げただけなのでは?
だとしたら、次会うとしたらぶん殴ってやろう。いや、殴って、蹴って、プロレス技でもかましてやろう。うん…それぐらいして当然だよな…
でも、こうやって転生しちゃったなら仕方ないか。
うだうだ、ぐちぐち言ってても始まらない。
僕がこの世界を変えてみせよう。
なぜなら、僕は魔王だからだ。
できるだけ後悔のないように生き抜く。
僕はそう心に決めた。
ふふふ…なんだかワクワクが止まらないぜ!
「そういえば…本日はチャレンジャーとの決戦日ですが…」
ネインが余韻に浸る僕に言った。
「はい?チャレンジャー?」
なんだチャレンジャーって?
「はい。魔王は時々チャレンジャーと呼ばれる魔王になりたい、魔人に決闘を挑まれた場合戦いに応じなければなりません」
「は??決闘?今から、そのチャレンジャーと戦わないといけないってこと?」
「はい。本日がチャレンジャーとの決戦日となっているので、チャレンジャーが来た場合そうなります」
なんてことだ。
聞いてないぞ?
アイツ…先に言っとけよ。
いきなり魔人と戦うことになりそうだ。
え?僕、戦ったことなんてほぼ無いよ?
魔法なんて全く知らないし…。
いや、待てよ。
逆にこれはチャンスなんじゃないのか?
魔王の力を試す良い機会じゃないのか?
そう自分に言い聞かすしかない…
やってやろうじゃないか。
「いいだろう…そのチャレンジャーとやつを葬ってやろう」
僕は低い声でいかにも魔王らしく言った。
「で?相手は?」
聞いてもわからないと思うが一応聞いてみる。
「チャレンジャーの名はナタネ、魔人の中でも魔法の上級者と言われています。つまりは魔女です」
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