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第11話 暴君の訪問者

 「よう、デーモン」

 「アゼン……」


 急に入ってきたのはアゼンだった。

 魔王会で、怖い印象がある。


 そのまま、僕の前へと立ちはだかった。


 「な、何のようかな?」

 「簡潔に言うぞ、これから人間のエリアに攻撃を仕掛ける。だからデーモン、お前も協力しろ」

 「は?」


 人間のエリアに攻撃?人間を殺すってこと?

 

 だとしたら僕はできない。

 かつて人間だったものとして、人を殺せないし、殺させたくもない。

 

 「悪いけど、僕は君には協力をしないよ」

 「あ?いいから黙って俺に従え。殺すぞ?」


 アゼンが威圧してくる。


 「無理だ、そんなことできない」

 「テメェ!」

 

 アゼンは僕の胸ぐらを掴む。


 「勝手な真似はさせませんよ」

 「殺すのはこっちだ!」

 「デーモン様に触るな!」

 「見過ごせません」


 ネイン、アルネネ、エネメシア、ヤマトがアゼンに攻撃体制をとる。


 ネイン、エネメシアは剣先をヤマトは日本刀を、アルネネは鋭い爪先をアゼンに向けた。


 「来客様に対して態度が横柄じゃねーか?」


 さあ言うとアゼンはすさまじい魔力を放った。


 まずい。

 ここで、アゼンと戦う意味がない。


 「お前ら、手を出すなよ」

 「しかし…」

 「体勢を改めろ」

 「わかりました…」


 ネイン達は、大人しく矛を下げた。


 「勇者をぶっ殺す前にテメーらから殺すか?」

 「あ、アゼンは…勇者に復讐したいってこと?」

 「ああ、当たり前だろうが。ラコンを殺した勇者をぶっ殺すんだよ。そして人間もまとめてぶっ殺す」


 アゼンはラコンを殺した勇者に復讐をしたいのだ。大切な人を殺されて復讐したいのは、わからなくもない。だけど、それでも、僕には人は殺せない。


 「さあ?選べ!俺に協力するか?ここで死ぬか?」

 「あなた様!」

 「下がっていろ!」


 そうだ、ネイン達が挑んでも勝てないかもしれない。たがら余計なことはしない方がいいだろう。


 「僕は…人を殺すぐらいだったら、死を選ぶ!」

 「やっぱ死にてーんだな?」

 「僕は君に協力はしない!」

 「じゃあ死ね」


 僕にアゼンの拳が振りがさされた時。


 「暴れすぎです」


 そう言って、アゼンの首に注射を差し込むのはフカシギだった。


 「テ、テメー!」

 

 アゼンは力の抜けたように倒れた。


 「暴れん坊は少しお眠りが必要です」


 フカシギが注射器を構えて言った。


 どうやら助かったらしい。


 「ありがとうな、フカシギ」

 「いえいえ、ちょうど睡眠薬の魔人実験をしたかったところなので」


 とりあえず目が覚めると危険なので、フカシギに協力してもらって強力な鎖で椅子に拘束しておいた。


 「人間のエリアに、攻撃……」

 「あなた様…」

 「ん?何?」

 「あなた様は人間の味方をするということですか?」

 「人間の味方…いやそういうわけじゃ…」

 「しかし、人間を殺せないとおっしゃいましたですよね?」

 「そ、そうだけど…」


 「人間の味方なんてする必要があんのかよ?」


 アルネネが僕に問う。


 「なあ、皆んな………君達は人間が嫌いか?」


 僕は皆んなに聞いた。

 

 「人間は私達魔人を滅亡へと追いやろうとしたのです」


 口を開いたのはネインだった。


 「そ、そうなのか」

 「私達は元々魔人達の村に平和に暮らしてました、しかし、そこ人間が来て村は襲われました。私達も殺されかけました。」

 「襲われた…人間に…?」

 「はい、今でも恐怖しています。私達を獣みたいに見て、剣を振るってくる。私達は、追い詰められ死を覚悟しました」


 「しかし、そこに現れたのがあなた様なのです」

 「…………」


 デーモンがこの子達を人間から救ったのか。

 

 「人間が憎い?」

 「ええ、嫌いですね」 

 「そっか……」


 人間の味方をすることはネイン達にとって良くないことだろう。でも、どうすれば……


 「しかし、あなた様が、人間を殺さないのでしたら私はそれに従います」

 「え?」


 僕は驚いた。


 「でも人間に殺されかけかけたし、憎いんだよね?」

 「それはそうですが…今この命があるのはあなた様のおかげであり、この命はあなた様のためにあるのです。なので私はあなた様に従います」

 「それでいいのか?お前達」


 「まあ、決定権はデーモン様にあるからな!」

 

 アルネネは頭の後ろに手を組みながら言った。


 「僕もデーモンに従うよ」


 ポケットに手を突っ込みながらレーンが言った。


 「私もデーモン様に従います」


 エネメシアが真っ直ぐ僕を見つめながら言った。


 「わ、わ、…私も皆んなと同じようにする……」


 コロンが言葉を詰まらせながら言った。


 「どうするハク?」

 「どくするコク?」

 「私はどっちでもいい」

 「私もどっちでもいい」

 「従う?」

 「従う?」

 「うん、従おう」

 「うん、従おう」

 

 ハクとコクは互いに話し合って言った。


 「私も当然デーモン様に従うッスよ!」


 大きな声でキララが言った。


 「あなた様が望むならばこの私ラヴァが命をかけて仕えさせていただきます」


 ラヴァが胸に手を当てて言った。

 

 「デーモン様が実験に手伝ってくれるんでしたら、従いますよ」


 フカシギが注射器を見せながら言った。


 「いくら憎いからって殺すのは良くないやんね!」


 コメコが元気よく言った。


 「私も賛成です」


 ヤマトが言った。


 「皆んな……」

 「私達は、魔族の味方でも人間の味方でもありません。あなた様の味方でごさいます」


 ネインがニッコリしながら言ってくれた。


 僕は感動した。これが絆か。やっぱり持つべきは信用できる仲間だ。


 「僕達で、魔族と人間が争わない、平和な世界をつくろう。そのためには君達の力が必要だ」

 「争いのない平和な世界…素敵です」


 ネインが賛同するように言った。


 僕の新たなる目標ができた。


 それは人間も魔族も争わない、争いない平和な世界……。それを目指す。



 ◇◆◇◇◆◇


 「クソ!おい!テメー!これほどけよ!」


 アゼンが目覚めた。あれから1時間ほどおとなしく眠ってもらっていたが、ついに目覚めてしまったらしい。


 アゼンは寝起き最悪の子供みたいに叫ぶ。


 アゼンは鎖による拘束を解こうと暴れる。

 だが、鎖はビクともしなかった。

 意外にもアゼンを拘束している鎖は頑丈だった。


 「これは、対魔王用の頑丈な鎖ですからねぇ〜そう簡単に壊さないと思いますよ〜」


 って、ニヤニヤしながらフカシギが言っていたのを思いだした。


 対魔王ってなんだよ…


 僕はアゼンの目の前に立つ。


 彼の鋭い殺気が混じった瞳が僕を捉える。


 「ほどけ!」


 アゼンが僕に叫ぶ。

 相当お怒りのご様子だ。


 「それは無理」

 

 僕はキッパリ言った。


 「殺すぞ?」

 「だから無理なんだよ」


 鎖を解いたら、暴れる回るに決まっている。


 「………」


 一定の沈黙が流れる。


 「半殺しで勘弁してやる…」

 「それも無理」


 半殺しとか絶対に嫌。


 「………」


 また、一定の沈黙。


 「手……手はださん」


 アゼンは諦めたように言った。


 「本当に?」


 たが、油断は禁物…嘘をついている可能性がある。


 「本当だ」

 「嘘じゃない?」

 「嘘じゃない」

 「嘘だったらどうする?」

 「……嘘じゃない」

 「………本当に本当に?」

 「なら、」

 「……わかった。信じるよ」


 僕はアゼンの鎖を解いてあげた。


 鎖を解いた瞬間にこの城を潰すぐらいに暴れるのを覚悟していたが案の定アゼンは大人しかった。


 約束通り大人しくしたのだ。

 

 「俺に協力する気はないんだな?」


 ようやく話合いに応じてくれたようだ。


 「アゼンには協力はしないよ、僕は人間を殺しはしない」

 「甘いな」


 アゼンは腕を組みながら僕に言った。


 その目は先程の殺気とはことなる鋭く僕を見つめていた。


 「甘いとは?」

 「その甘さがいずれ命取りになるぜ」

 「………アゼンは本当に人間が憎いんだね」

 「当たり前だろ、人間は俺の大切な物を壊す」

 「……………」

 「俺の家族も人間に殺された。魔人だからって、危険だからって、問答無用に殺されたんだ。」

 「それは辛かったね」

 「テメーに何がわかる?ただ平和に暮らしてただけの家族が人間の勝手な都合で殺されたんだぞ?俺のダチのラコンだって……アイツ、弱いくせに危険なエリアを受け持ってさ。カッコつけなんっての。死んだら元の子もないだろ…」


 アゼンの瞳は微かながら濡れていた…のは気のせいだろうな。


 だが、仲間想いなのはわかった。


 本当は結構いい奴なのかもしれないな。


 「俺は人間を、許さない。特にラコンを殺した勇者は俺が絶対殺す」

 「勇者……でも強いんでしょ?」

 「関係あるかよ……もちろんこのまま特攻すれば奴らの思う壺かもしれねーけどな、俺は最後まで抗ってみせる。」


 僕は彼を勘違いしてしまっていたのかもしれない。


 彼を感情的な暴君だと思っていたが。仲間思いの覚悟を持った1人の魔人だったのだ。


 「俺は行くぜ。無理言って悪かったな。お前もお前なりの筋ってもんがあるんだな。」

 「どこに行くんだ?」

 「ラコンの領地だった所だ」

 「そこに勇者が,いると?」

 「さあな。だがどうせ準備万端で待っているだろうな。汚ねぇ人間どもが」


 彼は立ち上がった。そして窓の側に立った。


 「じゃあな」

 「ま、待って!」


 止めようとした時にはもう遅かった。彼は背中から黒い翼のようなものを出してどこかに飛んで行ってしまった。


 「アゼン……」


 アゼンはこのままおそらく人間が待ち構えているだろう所へと向かうのだ。アゼンに仕えるもの達と。


 だが、アゼンの軍だけでは分が悪いのだろう。


 たがらアゼンは僕に協力してくれと頼んだのだ。


 僕が協力すればよかったのか?


 アゼンと一緒に人間を殺せば……


 そんなことができるはずがない。 


 僕は元人間だ……


 だか、アゼンの気持ちもわかる。


 どちらが悪とか正義とか考える時間はなさそうだ。


 僕ができること…僕がすべきこと…


 「ネイン、アゼンが向かった先は?」

 「恐らくエリア25辺りでしょう」

 「皆んな、今からエリア25に我が軍も向かう」

 「アゼンに協力するのですか?」


 ネインが驚いた様子で僕に聞く。


 「協力はしない。だか助けることは可能だ」


 そう、僕にできることそれは彼を救うことだ。

 


 

 

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