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666話 おお、懐かしや、エルフの郷

 重力魔法【アンチグラビティー】で浮かばせて運んでいた警備隊四人娘があまりにもうるさかったので、途中、亀甲縛きっこうしばりに変更してやった。


 偶に立ち止まっては、じっくり眺めてやっている。


 結局、ヴァーチャルでエロ動画見られなかったからな。ここはじっくりと楽しもう。


 ……うん、ちょっと静かになりすぎた。


 そんなことよりもだ。やはりアーキアは旅立ったみたいだな。


 外界にいるときにずっと監視されていると感じていた気配が、もうすっかり消え去っている。どこにも……。


 なんとか上手くいったのかな? 実際どうなったかは知らんけど、居なくなってくれさえすれば、それだけで十分だ。


 はあ、うまだまくらかせたな。


 へへへ、俺って、さすがにマルチタスクはできなかったんだけど、ずっとダダ漏れ状態だったせいもあって、実のところ、あるときからダブルタスクまではいけるようになったんだよね。


 ふぅ、「せばる、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」か。さすがは鷹山ようざん先生、含蓄ある教えだったぜ。俺でもやれた。あはは。


 なにせ、こんなボディーを提供されちゃってたわけだもんよ。自己防衛だっての、許してちょ。ふふふ。


 本心を隠すために、くだらねえことをしこたまイメージして、内面が露呈ろていしないようにするしかなかったんだってばよ。


 まあ、これでもスケベや阿呆を演じていたというわけさ……ふふふ、うそです。スケベは地でやってたわけだけど、それでも上手くカモフラージュになってくれたかな。


 まあ、そうでもしないと、魔法線から情報が筒抜けになってる妖精の相手、いや、その裏にひそんでいやがる奴の相手なんてできやしないからさ。


 それにしても、最後の最後でやつに連絡が取れなかったら、どうなっていたことやら。まさか六芒星を二人で廻すことであんな世界に繋がるとは……。


 でも、目には目をだったとはいえ、やっぱ神頼みなんかするもんじゃねぇな。ありゃ、アーキアみたいなまがいもんなんかとわけが違うぞ。


 目の前の危機にひんして、余計厄介なの呼び込んじまったな……。


 ちっ、『そのダダ漏れ状態で他者と交流し続けることで、いずれは悟りを開けるぞ』だとよ……知るかっ! そっちの世界の住人にはならねえっての!!


 はぁーっ、六芒星の秘密に辿り着いた辺りから、なんかヤバげな予感がしてたけど、まさか、あんなのに行き着くとは……。


 とはいえ、選択肢なんて限られてたものな。もうやっちまったもんはしょうがねえや。そもそも、命くらいくれてやるつもりだったわけだし、もうどうでもいいや。それよりだ……。


「おお、なつかしの世界樹や」


 いや、確かに、さっきまであの中に居るには居たんだけどね。


 なんて言うの? 外からこうして拝見するのは久しぶりだなぁ、って……でも、はあ、さすがにでかいわ。


 おぉ、こうして【水反鏡】で覗くと、巨大な樹木層が500mくらいで途絶えている。ほぉう、本当に1,500mくらいまでは高層ビル状になってたわけやね。


 そこから更に上空へ延びているのが、あの軌道エレベーター部か。


 そういえば、VRで見てた資料映像だと、確か……地上から36,000km上空の静止衛星軌道上には、虚空に張り出す形で、霊魂浄化プラント層【世界樹の葉】が広く展開されているんだったよな。


 まあ、俺が長らく滞在していたのって、更に上の上らしいんだけど。まさか地上から96,000kmものかなた上空にあるカウンターポート施設だったとはねぇ。なんでも軌道エレベーターを遠心力で引っ張り上げてるとか。


 まったく! 散々、暇してたからこんな数値までしっかり覚えちまったよ……いや、違うか。この特殊素体の記録機能のせいでもあったんだろうな。完全記憶でないところが、微妙なところだけど。全部覚えているとなると、人の心に負担を掛けすぎるせいなのかも……。でも、そのお陰で、地球の頃の記憶がだいぶ鮮明になって助かってたことは否めないのだけど。


 それに、世界樹の根にしても、実際のところは、植物の根ではなくて、配信・配送用ケーブルの類らしいしな。


 ユグドラシル的な世界樹とは、だいぶ違った……残念だ。


 ただ、この世界でも一般に知られている世界樹の主な役割の方は、話に聞いているとおりだった。


 この世界の生物に宿っていた霊魂の循環・浄化・輪廻りんねを担ってくれている。


 アストラル世界の霊魂ってのは、死後、世界中に広がる【世界樹の根】と呼ばれるケーブルに設置された霊魂受容体に引き寄せられて、世界樹のケーブル内を流されていくみたい。


 その霊魂は、先ほど話した虚空にまで伸ばした枝葉の表側にある浄化プラント層に貯められる。


 そこで長い期間、太陽風のエネルギーをも活用した化学処理によって、霊魂がゆっくりと徐々に細かく分解浄化され、月の光の波長を利用したうんちゃらかんちゃらによって、次第に癒やされていく仕組みになっているんだと。


 その月自体も、なにやらわけもわからん風に改造されているそうだがね。


 世界樹の樹液──まあ、ケーブル内溶液には、太陽風エネルギーや月光によって、化学的に清められた浄化成分が蓄えられていて、世界樹の中を流れている間は純化された状態が維持されるとか。


 そして、細分化され鎮められた霊魂ってのは、世界中に張り巡らした根の根瘤こんりゅう部にある再生機関に戻されて、ナノマシンよりも更に小さいピコマシンよりも更に小さなフェムトマシンによって、霊魂の再構成が行われるそうだ。


 ファンタジー的なようで、科学的なような、なんか不思議な感覚だ。


 いや、まあ、科学なんだ。俺が知識不足でふわっとしか理解できなかったため、ファンタジックな説明しかできないだけだ。無料コンテンツだと、説明も大まかだったしね。つうか、本当はこの技術開発以前、魂がどうやって輪廻してたのか、その状況の方が知りたかったんだけど……。


 そんなこんなで世界樹に思いを寄せながら歩いていると、里を見下ろす高台までやってきた。


「おお、懐かしや、エルフの郷」


 あはは、あの門番さん、まだ門番なのね。


 そりゃあ、そうか。あれから一年かそこらじゃあ、ウッドエルフにとっては、なんら変わらんのだろうからな。


 あぁ、戻ってきたんだな……やっと、ここに。


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