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664話 ポチッとな

 なんか周りが随分と騒がしいな。電脳空間でも騒がしさが伝わるなんてことがあるんだな。


 いや、それだけリアルに近いということか!? 凄っ!


 でも、なにがあったのかな?


 あれから結構な長い時間放置されてるんだけど……。


 まあ、仮想空間をいろいろと操作して遊べるみたいだから、暇はいくらでも潰せそうではあるけど……う~む、気になる。


 混乱しているせいか、この部屋にも部外者が見てはいけなさそうなたぐいのアラートメッセージまで頻繁ひんぱんに飛び込んできてるみたいだし……これって、本当にこのままここに居ても平気なやつなんだろうか? 火事とかの災害ではなさそうなんだけど……。


 ただ、メッセージ文は日本語ではないものの、幸いにして、理解したいとイメージしさえすれば、脳内に直接意味が浮かんでくる。とりあえず身の危険が無さそうなことくらいはわかるんだ。だからこそ、こうしてのんびりと構えていられるわけだけど……。


 ふ~ん、どうやらアーキア様の所在が不明みたいだな。それであんなにも大慌てしているわけね……。


 淡々とした感じではあったけど、学ぶことの大切さをひしひしと感じさせる教育熱心な感じだったし……それと自身の歴史探求一直線な雰囲気からしても、悪霊問題が解決した途端、ライフワークである神の捜索に出掛けてしまったんでねえの?


 俺だって、やっと解放された感じの今は、どこか外へ飛び出して行きたい気持ちでいっぱいだもの。


 きっとアーキア様だって、そうなんじゃないの? 少しぐらい自由にさせてやったらいいのに。


 あ……そうか! こっちの世界の神々って、どこかへ去っていってしまったという話だものな。


 最後の神とされるアーキア様も永遠に旅立たれてしまったと心配してるわけね。そりゃあ、不安にもなるか。


 実在していた信仰対象が居なくなるってのは、さぞや宗教的には大変なことだろうからね。知らんけど。


 まあ、そんなことよりも、俺のことは他の者に手配させたとかアーキア様は言ってたけど、その辺のところはどうなってるんだろうね?


 う~ん、これは……しばらく混乱が収まって、落ち着いてくるまでは無理そうかな。


 担当の人ができるだけ早く俺の事を思い出してくれることをせつに願うよ。


 ははは、だけど、自分でコントロールできないことで、いちいち苛々いらいらしていてもせんなきことか。精神衛生上、自分の損になるだけだもんな。


 あはは、遊んで気長に待とう。


 さてと、どれどれ、なにがあるのかな? おっ、やっりぃっ! アダルトサイト発見。


 こ、こんな超体感型の完全なVRでのアダルトサイトって、い、いったいどんなだべ?


 やっべぇ、もう現実のそっち系のお店と変わらんのでは?! いや、絶対にそれ以上だ。そうに違いない。そうであってくれ!


 い、いいの? 入っちゃって。は、入っちゃいますよぉ。でへへ。


 ……ん!? 年齢? 年齢認証で引っかかった!


 なんで!? もう一回ポチッと、な……うそん!? ま、まじかよ。まじですか?


 えぇぇぇーっ、なんで!? 俺って、この世界ではまだ1歳児扱いなのかよぉぉーぅ。そ、そんな、殺生せっしょうなぁぁぁ。


 さ、再認証を……ぐっ、年齢のパラメータは変更きかんのか?!


 あ、なんかヤバげなアラート出た! うっ、ポチポチやりすぎたか!? あ……。


『い、いえ、年齢詐称さしょうでは……再審査を、再審査をお願いします。アーキア様に確認していただければ、年齢が間違っていることはすぐわかることなので……あ、はい、わかりました。お待ちします……』


 くっ、アーキアの野郎、どこ行きやがった!? ごらぁっ。


 いや、早く、早く、お帰りになっておくんなまし。


 し、しかし、超恥ずかしかったんですけど……こんな状況で、きれいなオペレーターさんに対面対応させるなっつうの! あ、ただのグラフィックか!? いや、生身にしか思えんかったわ。


 ──はあ、しかし、いっこうに戻ってきた様子も、戻ってくる気配もねえな。


 でも、待ってる間に凄く良い知らせもあった。


 ふふふ、これなら、我が軍はあと十年は戦える。


 まあ、こうなったら、いつまでだって待ちますよ。待てます。なんて言ったって、もう全てが終わったようなもんだからね。ああ、気が楽。気持ちが超~楽ぅ。もう楽々ちんの、楽ちんちん。


 ───────────────────うん……そう、そう言ってたね、確かに、あのときは……。いつまでも待つって、言ったには言ったけどよう。これはちょっといくらなんでも待たせ過ぎでねえの?


 もうこのスコアカウンターからすると、一年近く経っとるがな。これが時刻で、これが日付だろ? たぶん。


 だ、出してくれ! こんな退屈な世界はもう嫌じゃ。


 女の子との触れ合いを希望する! せめて、せめて、いや、攻めてくれとか、攻めさせろとか、そんなでなく……せめて会話だけで構わないので……なんとかして。


 あ! おいおい、勘弁しておくれよぉぅ。ゲストエントリー期間がもうすぐ切れちゃうじゃねえかよ。


 それでなくとも、有料コンテンツは見れないっていうのに。


 無料枠のなんて、こんな何度も何度も同じやつばっかしかやらねえで。舐めてんのか! こらっ。


 もう、飽きたっつうの……教育系のコンテンツばっかり……それに全部覚えちまったっての。


 他になんかないの? あれっ!? なんだ、これ? 外郭がいかくボディー着信って!? え、いつの間に……。


 おいおい、いつ届いてたんだよ? 知らんぞ、俺は。


 えっと……あ……アーキア様と別れてすぐだ。


 くっそーっ! あのアラートメッセージがばんばん着信してた時期だわ。


 おいおい、それになんだよ? 着信って、電子メールじゃあるまいし、まぎらわしい。


 普通、着荷だろうが……あ、この世界で生活している人にとっては、電子データ以外扱ったことがねえのか!


 たぶん、外で活動している人と中で情報伝達してる人が違うんだわ……。


 くっ! なんか一年近く損した気分だ。


 はあ、でも、これでやっと外に出れるんだな。


 では、ポチッとな。


 しかし、ポチッとかいうイメージなんて、随分と古臭いな。


 ああ、そうなのね。使用者が使いやすいように、その人の脳内イメージに合わせてくれてるのね。ははは、俺の頭が昭和チックなだけか。


 あれ!? そういえば、ここに居る間、結局ずっと腹が減らなかったな……。


 まあ、腹が減らないのは便利かもしれないけど、感覚としてはなんかわびしい。そして、どうにも味気ない。


 疑似的に旨い料理とかを体験することもできるんだけど、空腹感からの底上げが無い分……なんかな。そう、感動がいまいちなんだ。よだれじゅるじゅるの飢餓感きがかんが足らんのよ。


 あぁ、なんか三傑さんの料理が無性に食べたくなってきちゃった! あのお尻も眺めたい。いや、むしろ、でる。めるまでしたい。


 ──自分のアストラル・エーテルデータをアップロードし、外郭ボディーに転送してもらっている間、そんな想像をしていたせいなのか……ふと気が付くと、森の中に居た。


 あれっ!? ここって。そうだ! そうだよ、あそこだ。

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