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【新堂怪談】  作者: 新堂本舗☆
6/11

呪いの人形

いじめられっ子の私がした「復習」は許されることでしょうか?

 

 小学生の時に転校したんです。

だけど、漫画に出てくる様に頭が良くて運動神経が抜群だった訳じゃ無かったので少しイジメられたりしました。


仲間はずれだったり、無視をされたり、少しぶつかってしまうと「バイ菌が当たって来たー!」と私が触れた部分をさも汚いとばかりに騒いでなすりつけ合ったりです。


そんな閉鎖的な状況で、急に環境が変わった子供は無力です。


元から読書したり絵を描いて遊ぶのが好きな内向的な子供だったから余計に、友達を作る方法が分からず、ますます孤立していました。


イジメは暴力的だったり、金銭の要求や私物を隠す様な悪質な行為へとエスカレートしなかった事だけは今もラッキーだったんだと思います。


ある、美術の時間に紙粘土で工作する事になった時の事です。


日頃から私にチョッカイ掛けてくる男の子達のリーダー格だったAくんが私に自分達の紙粘土を丸めては投げてきたのでした。

その時に私の中の「何か」がプツリと切れたのです。


彼の髪の毛を掴んで引きちぎり、自分の紙粘土の中に埋め込むと「人形」を作り上げました。


私は絵を描くのも好きでしたが指先が器用で、手芸も趣味としていたのです。


そんな私の作った紙粘土の「Aくん」は人間の彼の特徴を良く掴んで我ながら上手く出来たと思ったのを覚えいます。


「藁人形じゃなくても、人を呪う事は出来るって知ってた?アンタの髪の毛さえあれば呪えるんだよ?…死ぬかもね」


私は自分でも驚くほど冷たい声でそう良い放ちました…多分、顔は無表情だったでしょう。


私の言葉にクラス全員がザワつき、男子達の顔は青くなってます。


Aくんは血の気を無くした顔で私に謝りましたが、聞き入れませんでした。「Aくん」の胸に穴を開けて床に叩き付けました。


すると紙粘土で造られた「Aくん」は醜くひしゃげてペタンコになります。


周りで同級生の女の子の泣き声も聞こえたり、Aくんが血の気の無い顔で泣きながら「Aくん」だった残骸を拾っていました。


私は担任の先生に職員室に連れて行かれましたが、イジメらしき事があったと認識していた先生は何か当たり障りの無い説教をして私を家へと送ってくれました。


翌日、学校に登校した私には「バイ菌」と言うあだ名から「魔女」に変わっていましたが扱いはそれ程変わりませんでした。


見下されても、恐れられても避けられるのは変わらないんです。


その「Aくん」の事件から人間のAくんに心臓に異常がある事が健康診断で判明したそうです。


学校を長期間休学して、病院で過ごす事になりましたが、私にはよく分かりません。


誰も「魔女」には近寄って教えてくれる友達がいなかったからです。


それから、私はまた引っ越しをしましたが同じ学区内だったので「魔女」のまま孤独な小学生生活を過ごしました。


中学生になった頃から、少しずつですが友達も出来ましたし、私を「魔女」と呼ぶ子はいなくなりました。


そうして高校へと進学した私は学校帰りに見たのです。


Aくんを数年ぶりに…!


同級生の中でも身体が大きく堂々としていたAくんは萎びた野菜みたいな身体付きになっていました。


骨と皮のヒョロヒョロした身体で、目だけが大きく剥き出して忙しなくギョロギョロとアチコチを眺め回してました。


何となくの直感で、彼は私を探している気がしてスグに身を隠しながら家に帰りました。


人を呪うと穴2つ…私も何れは地獄に落ちるのでしょうが後悔はしていません。

今、いじめはエスカレートして社会的に問題になっています。


学校だけじゃありません。

社会に出ても会社や家庭内にも存在します。

逃げるのも一つの手ですし、調べさえすれば助けの手は幾らでもある筈です。


自分を守れるのは自分だけなんです。

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