ピロートークで(薔薇。菓子職人×塾講師)
「だいすきですよ」
「トーリーさんって、いつも真っ直ぐに言うよね……」
「ええ、つたわらないとかなしいですから」
「あと、毎日言うし」
「……いつ言えなくなるか、わからないでしょう?」
トーリーさんが、僕の手を握って微笑む。
少しだけ、遠い目をして。
「人間、いつ死ぬかわかりません」
「ま、僕は仕事的にいつ過労死するかって感じだもんね」
「颯太さん」
「……ごめん。不謹慎だった」
手を伸ばして、トーリーさんの頭を抱きかかえた。
「置いていかないよ。置いていかないように、その、気を付けるから」
「おねがいしますね」
トーリーさんの長い腕が、僕を閉じ込める。
「さみしくて、私が死んでしまいます」
「後追いされたら、後味悪いなあ……がんばるよ」
トーリーさんが安心したように笑うから、僕はちょっと切なくなって、彼の額にキスをひとつ落とした。
END.