49 みんなも消失
「えっ」
言われてみれば。
俺も、攻撃が効かないというところは王様とかなり状況が似てる。
死ぬ……?
マリアナ海溝で……?
水圧に潰されないけど窒息死……?
すごく苦しそうだ。
具体的にはわからないが、苦しそうだ。
そんなことを漠然と考えていた。
やられるということがよくわからない。
どうすればいいんだ。
対処法がまったくわからない。
おしまいだ。
おしまいだー!
短い異世界人生だった……。
……。
「……?」
でも。
特になにも。
そのとき、がやってこない。
と思ったとき。
「ん?」
ぐっ、と力が湧いた。
まわりには誰もいない。
「どうしたナガレ」
とレスラーさん。
「いま、誰かに攻撃をされたような……」
「なに?」
「なにか見えました?」
「いや」
「なにも」
レスラーさんとエクサミさんが言う。
リープさんは、なにか知っているみたいな顔をした。
「わかるんですか」
「知らん」
「そうですか。……殺すんじゃないんですか?」
俺は王子に言った。
「いつでもできる」
「先行して対処するのがあなたのスタイルなんじゃないんですか」
「ふふ」
王子は意味深に笑う。
おかしい。
王様のしゃべってる間に攻撃をするような人だ、やりたくてもできなかったと考えるのが自然だろう。
俺を海に運べないのは、予定外なんじゃないだろうか。
どういうことだろうか。
先に先にと言っておいて、俺を残しておくというのは話がおかしい。
自分で言うのもなんだけど、一番面倒くさそうだろう。
ということは、俺には瞬間移動が通じない?
なぜ?
瞬間移動が通じないというのは、連れていく場合も、やはり力の作用によるものなのか。
もしくは……。
瞬間移動ではない?
瞬間移動ができるというのなら、さっき、王の棺で客席を降りてきたときに、中に入って瞬間移動してしまえばいい。
それを待っていた理由は?
中に入って、人を運べない?
いやさんざんアイ国陣営が移動に使っている。
俺たちがやってくるのを待っていた?
なぜ?
というよりも、瞬間移動ではない、という方が自然ではないだろうか。
「一戦目と二戦目の間、王様を殺そうとしましたよね」
俺は言った。
「なんで、あのときは、瞬間移動を使わなかったんですか?」
「さあ」
王子が肩をすくめる。
「使えなかった? というより、誰か、別人を犯人にしたかった?」
それなら、意味がある。
顔を変えようとしていたというリープさんからの報告もある。
あくまで、アイ国の暗殺、という結論を避ける形で暗殺をするか、あるいは協力関係に持っていきたかった。
ならわかる。
なんとなく。
「でも、さっき王様と交渉したりして、暗殺しない方向も探っていたけども、失敗した。さらに、王の棺で客席を降りてくるなんていう使われ方をして……。なんていうか、能動的な使い方をされたとき、面倒なことになると思ったんじゃないですかね。いままで、王様は、単に守るだけに使ってたのに、これから積極性を出されるんじゃないかと。逆に、あなたたちだけを隔離するとか」
俺は王子を見る。
「そんなやり方をされるくらいなら、犯人バレバレの現状でも決行するかもしれない。まだ、殺せるうちに。それと、そもそも、瞬間移動ではないということがバレる前に。っていうのはどうですかね」
俺が言うと。
みんなが消えた。
えっ?




