28 国からの最強認定
俺とホックさんは、いったん部屋の中に入った。
中は、こっちもスイートルームみたいなのかと思っていたが、短い廊下の先には、机と椅子だけの、会議室みたいな部屋があった。
机は広い正方形で、椅子は……、三十くらいある。
王様は上座に座って、俺たちは反対側に座った。
「あれはどういうことか」
座ってすぐ、王様は言った。
「余の技は、消すことはできない。あれはそういうものだ」
言いながら、王様はまたぼんやりと壁を出して、すぐ消した。
深く考えてなかったが、根本的に、王様の特級武具を壊してしまったとしたら、相当やばいことをしてしまっていたな? すごくほっとした。
「……自分でもはっきりとはわかりませんが、俺の力はたぶん、相手の力を返す、みたいなものかな、と」
「たぶん? みたいな?」
「『あなたの力は、加えられた力を自由にコントロールすることよ……』とか誰かに教えてもらったわけでもないので……」
「わからずに、余の壁を壊し、大口をたたいたというのか」
「壁をさわって、うまくいかなかったら、なにもしていなかったことにすれば、なにもないので」
俺が言うと、王様はすこし目を大きく開いてから、すこし笑った。
「慎重なのか、大胆なのか」
「王様の、さっきのやつは、エクサミさんの剣で切れず、センシャさんの突進でも壊せないようなものなんでしょう? 俺の能力は、魔法みたいなものもコントロールできるということがわかりました。これって、つまり、俺は誰にも負けないっていうことなんじゃないですか?」
俺はみんなを見た。
「あんまりおどろいてないみたいですね」
レスラーさんだけでなく、エクサミさんも、センシャさんも、特に変わった様子はない。
「モグリウオを力づくで倒したという話を聞いてから、みんなおかしいと思っていた」
イケメンが言う。
モグリウオ。
「あれは正面から倒す相手じゃないんだ。それから、影縫いを平然と解除したあたりで、これはなにか、君は、ぼくらの知っているものと、ちがっているなと思ったんだよ」
とイケメンが言ったとき、俺の側頭部に、びしっ、とひもが当たったような、一直線の感触があった。
まさかと思って、ゆっくり振り返る。
「どうだ」
剣を抜いたエクサミさんが立っていた。
「切りました?」
「切れていないがね」
「頭おかしいんですか」
いま話をしていたでしょうよ!
そんな相手の、しかも仲間の頭を切るってどうかしてるのか!
「どうですか、王よ」
エクサミさは何事もなかったように言った。
王様は、俺と、エクサミさんの剣を見比べている。
「本当に切ったのか」
「はい」
「それで無傷……。本当に、アイ国に勝てるというのか。圧倒的に」
「はい。この男ひとりで、当日に戦う五人、すべてを倒すことができるでしょう」
「どのような特級武具を使われてもか」
「王の技を破った以上、どのような壁も突破できるでしょう。そして、どのような攻撃も受け止めると、お考えください」
「だが……。それで勝てたとして、平和といえるのか?」
王様は言った。
「それは、王しだいでしょう」
エクサミさんは言う。
「幸い、彼はいま、王の平和に関する考え方に共感しているようです。ならばここからは、王の仕事です」
「そうか。そうだな……」
王様は立ち上がった。
「すまなかった」
と頭を下げた。
「王」
ガタガタと立ち上がっていくので、俺も急いで立った。
「民を見ず、他国を見ていたようだ。許してほしい」
「我々こそ、がんばってさえいれば王はすべてを見ていてくれている、との思い込みがありました。逐一、素早く報告をすべきでした」
「よい」
「では、さっそく明日の準備に入ります。よろしいですね」
「よい」
「では、明日までに、アイ国の相手の予習をする」
エクサミさんが言うと、みんながこっちを見た。
いまさらながら、俺の負担はとてつもなく重いですね。
わかっていましたけれども。
「敗北は許されないぞ」
プレッシャーを追い打ちしていくスタイル。
やめたほうがいいですよ。




