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28/60

28 国からの最強認定

 俺とホックさんは、いったん部屋の中に入った。

 中は、こっちもスイートルームみたいなのかと思っていたが、短い廊下の先には、机と椅子だけの、会議室みたいな部屋があった。

 机は広い正方形で、椅子は……、三十くらいある。


 王様は上座に座って、俺たちは反対側に座った。

「あれはどういうことか」

 座ってすぐ、王様は言った。


「余の技は、消すことはできない。あれはそういうものだ」

 言いながら、王様はまたぼんやりと壁を出して、すぐ消した。

 深く考えてなかったが、根本的に、王様の特級武具を壊してしまったとしたら、相当やばいことをしてしまっていたな? すごくほっとした。


「……自分でもはっきりとはわかりませんが、俺の力はたぶん、相手の力を返す、みたいなものかな、と」

「たぶん? みたいな?」

「『あなたの力は、加えられた力を自由にコントロールすることよ……』とか誰かに教えてもらったわけでもないので……」

「わからずに、余の壁を壊し、大口をたたいたというのか」

「壁をさわって、うまくいかなかったら、なにもしていなかったことにすれば、なにもないので」

 俺が言うと、王様はすこし目を大きく開いてから、すこし笑った。


「慎重なのか、大胆なのか」

「王様の、さっきのやつは、エクサミさんの剣で切れず、センシャさんの突進でも壊せないようなものなんでしょう? 俺の能力は、魔法みたいなものもコントロールできるということがわかりました。これって、つまり、俺は誰にも負けないっていうことなんじゃないですか?」


 俺はみんなを見た。

「あんまりおどろいてないみたいですね」

 レスラーさんだけでなく、エクサミさんも、センシャさんも、特に変わった様子はない。


「モグリウオを力づくで倒したという話を聞いてから、みんなおかしいと思っていた」

 イケメンが言う。

 モグリウオ。

 

「あれは正面から倒す相手じゃないんだ。それから、影縫いを平然と解除したあたりで、これはなにか、君は、ぼくらの知っているものと、ちがっているなと思ったんだよ」

 とイケメンが言ったとき、俺の側頭部に、びしっ、とひもが当たったような、一直線の感触があった。


 まさかと思って、ゆっくり振り返る。

「どうだ」

 剣を抜いたエクサミさんが立っていた。


「切りました?」

「切れていないがね」

「頭おかしいんですか」

 いま話をしていたでしょうよ!

 そんな相手の、しかも仲間の頭を切るってどうかしてるのか!


「どうですか、王よ」

 エクサミさは何事もなかったように言った。


 王様は、俺と、エクサミさんの剣を見比べている。

「本当に切ったのか」

「はい」

「それで無傷……。本当に、アイ国に勝てるというのか。圧倒的に」

「はい。この男ひとりで、当日に戦う五人、すべてを倒すことができるでしょう」

「どのような特級武具を使われてもか」

「王の技を破った以上、どのような壁も突破できるでしょう。そして、どのような攻撃も受け止めると、お考えください」


「だが……。それで勝てたとして、平和といえるのか?」

 王様は言った。


「それは、王しだいでしょう」

 エクサミさんは言う。


「幸い、彼はいま、王の平和に関する考え方に共感しているようです。ならばここからは、王の仕事です」

「そうか。そうだな……」


 王様は立ち上がった。


「すまなかった」

 と頭を下げた。


「王」

 ガタガタと立ち上がっていくので、俺も急いで立った。


「民を見ず、他国を見ていたようだ。許してほしい」

「我々こそ、がんばってさえいれば王はすべてを見ていてくれている、との思い込みがありました。逐一、素早く報告をすべきでした」

「よい」

「では、さっそく明日の準備に入ります。よろしいですね」

「よい」


「では、明日までに、アイ国の相手の予習をする」

 エクサミさんが言うと、みんながこっちを見た。


 いまさらながら、俺の負担はとてつもなく重いですね。

 わかっていましたけれども。


「敗北は許されないぞ」

 プレッシャーを追い打ちしていくスタイル。

 やめたほうがいいですよ。

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