第2話
気を取り直してウォータースライムを狩ること5匹。
「もう5匹狩りたかったけどもうこんな時間か……」
どうせならもう一回逃げずに留まるウォータースライムを倒したかった。しかしそこは学生と言う身分、流石に活動時間に限界はある。
「高校卒業が専業条件だもんなぁ……」
親との約束……ではなく、探索者基準法にそう定められているのだから違反は出来ない。なので目下の目標は、長期休みを補習で埋めないようにすること、それ意外にはない。
「センター寄って帰るか」
センターとは正式には『探索者業務監督所』と言われ、探索者に関わるあらゆる事務手続きからドロップ品の鑑定買取までを行う施設、専業探索者でお世話にならない人はいない場所なのだ。
何時もに比べてセンターに向かう足が軽いのは、何時ものように水と魔石だけではない、謎の薬品が手に入ったからだからか、物が何かは解らないが何時もより色が付くのは間違いないだろう。
ダンジョンを出るまでにウォータースライム数匹に出会ったが、やはり10%を引くことはなかった、おのれ……!
「後先になりまーす、59番の方ー」
センターに着いてからは早い、買取カウンターに売りたいものや鑑定して欲しい物を持っていき、探索者カードを提示、整理券を貰って待機所にて休憩。
売り物が水二種と魔石の計三種類、そして謎の薬品一個の鑑定は、然程時間はかからなかった様だ、何人かの待ちを飛ばす程度には早かった。
カウンターで番号札を提示、席に着くと買取金と鑑定証が置かれる。
「こちら買取金額三万四千と、鑑定結果となっています」
内訳としてはミネラルウォーターが五本五百円、純水が五本千五百円、魔石が二個二千円で水が入っているボトルが三万円なり……と、で謎の薬品鑑定証だけど……
「あの、これまじっすか?」
「ええ、坂咲さんがウォータースライムを専門に狩っているのは知っていますから、こちらも信じられませんが……」
それは、本気で信じられない物だった、何故ならその謎の薬品はエリクシア……所謂エリクサーと呼ばれる奇跡の薬品だったのだから。
「こちら、鑑定証に買取金額を記載しております、如何なさいますか?」
売るか、持っておくかである、普通なら持つことも視野に入れて可笑しくはないが、俺は今もこれからも暫くはまだまだウォータースライムのお世話になるのだ、こんな物を持っていても宝の持ち腐れである、なので。
「じゃあ買取お願いします」
「即答ですか」
「そりゃもう」
ウォータースライムに攻撃されたって精々玩具の水鉄砲喰らった程度である、ぶっちゃけスッ転ぶ方がダメージがデカい。
「畏まりました、ではこちらは後日口座振込みとなります、振込み後通知が届きますのでご確認下さい」
「はい」
エリクシアの買取金額、一本五千万なり、やべぇ……変な震えが。
探索者の稼ぎは勿論税金が掛かる、その辺は面倒くさいので割愛、物語の裏の話である。
「ではお気をつけて」
買取金、鑑定証を仕舞い立ち上がる、取り敢えずはよ帰って両親に報告しなければ……しかし、今日を境にウォータースライム狩り出来にくくならなきゃ良いけどなぁ……と言うか出来なくなったら俺の命に関わるんだけど……
そして案の定、ウォータースライムがエリクシアを落とすと言う話が広まったのか、数日後にはセンターがウォータースライムの出現区域に駐留して、適正レベルを超える探索者の居座りを規制するようになった。
俺?適正レベルだってよ、あはははは、泣くわ。