フレア・ファミリア③
ルイと精霊達が領主と会っていた頃。
フレアと住人達は教会の前にたどり着いていた。
しばらくすると教会関係者が出てくると、祈りを捧げたまま挨拶を始めた。
「お待ちしておりました大精霊フレア様。この街の教会責任者のマンダと申します。」
20代ぐらいの青年は深く頭を下げる。この時マンダはフレア様の契約者様がいない事に気が付き、部下にすぐ探すよう目配りをした。
『貴方がマンダね。貴方の精霊は私が幼い頃に精霊界で屋敷のメイド長をしていたからよく話を聞いているわ。ね、サラ』
ふぁっと …… マンダの身体からフレアより若い見た目をしたメイド姿の精霊が現れた。メイド姿の精霊は懐かしそうにフレアを見つめる。
『お久し振りでございますフレア様。また、契約おめでとうございます。このサラ、私事のよう嬉しく思います』
サラは笑顔でフレアに挨拶をすると、フレアもまた笑顔で返した。その光景はなんとも言えない和やかな光景だった。
久しぶりに再開した二人の様子をみたマンダは、フレアの後ろに佇む住人達を睨みながら低い声で語りかけた。
「ところで皆さん。フレア様の契約者様はどちらですか?まさか、契約者様を無視して来たわけではありませんよね?」
普段温厚なマンダから信じられない声を聞いた住人達は、血相を変え始めた。フレアに気を取られて、一緒にいた少年の事をすっかり忘れていたのだ。
「契約者様って?」
「もしかしてフレア様といた男?」
「いやいや。流石にそれはないだろwなんせまだ成人してないガキだろw」
「そうですね。僕はまだ 15歳ですし、成人もしていません……ですがそれはフレアがみる目がないと言っている事と変わりませんよ?」
住人達の背後から不意に少年の声が響き渡る。その少年はフレアと一緒に来ていたルイだった。
そこに1人のガタイのいい男が立ち塞がる。腰にさげた剣を抜き、ルイに向けた。
「こんなガキがフレア様の契約者なわけあるか!この俺が証明してやる!!」
男が剣を振りかぶる前に少年は剣を握り、まるで剣に話しかけているように言葉を発した。
「精霊剣……彼を殺さず、僕がフレアの契約者だと証明してくれ!」
剣を抜いた少年から強大な精霊の力が放出され、この場にいた全ての人間が驚愕し、動けなくなっていた。剣を向けた男は失禁しながら気絶していた。無理もない……1人の人間が千を越える精霊と大精霊を契約している少年に勝てるはずはないのだ。
そんなことを気にせず教会から飛び出してきた大精霊フレアは、笑顔でルイに飛び付いてきた。
『遅かったわねマスター♪街の精霊達と契約したのね♪そうそう紹介するわ!私の古い友人のサラですわ♪』
いつになくはしゃぐフレアの様子は、その場にいた者達の度肝をぬいた。一緒にいたサラも驚くほどだ。
『お初に御目にかかります。以前フレア様のもとでメイド長をしておりましたサラと申します。フレア様がこんなに楽しいお姿は珍しいです♪流石は契約者です!!このサラ!今とても感激しております(涙)』
挨拶が終わると様子を伺っていたマンダは、ルイとフレアを教会に招き入れた。
住人達は何時までもその場に立ち尽くしていたのだった。