2通目2 ↑の魔女っ娘。(予定)
さらーっと説明…というかイタイ言い訳…
えぇと、一枚目から続きまして…どこまで書いたっけかなー…
そういえば、先日の出来事です。
「ぽんぽこりんおなか、かわいい…とうとい…せいぎ…」
就寝前、お風呂上りでお着替えしまして、ベッドの上でこっそり幼女体型をセルフ愛でしてましたら、いつの間にか家族と屋敷の者に、その様子をにこにこ顔で見られてました。
公 開 処 刑 !!(恥)
しかしご安心を!ちゃんと肌着は着てましてよ!
おへそだけ出てましたが。動くと出ちゃうのよね。ふふふ。
◇◇◇
そうそうお姉様、聞いてください!魔法です、魔法!!
これぞ王道! ファンタジー! 摩訶不思議冒険譚!
絵本とか児童書とか漫画とかゲームとかアニメとか映画とかとか、CG部隊もびっくりな超世界ってことですよね!
もうもう!初めて私にも魔法が使えると聞いたときは、嬉しくてたまりませんでした!どれだけ嬉しくて期待したかといいますと、庭師の道具部屋からほうきを借りて跨り。
「いざ、空の旅へ!フライハイ!」
バルコニーから庭へと勢いよくジャンプ。
直後、落下。生垣に突撃隊。
ボロボロとあちこち生傷作って、這うように生垣から出たら、お母様の足元が目の前に。
視線を上げると、扇を広げてにこにこと微笑を浮かべて、そして目がお叱りモードの女神が。
「せめてフェニックスのように美しく飛びなさい。ね?」
…ほうきの魔女にはなれないらしい。
この前は武器が合わなかったのだと自分に言い訳をし、今度は玄関用の備品室から武器を手に(以下略)
…傘で空中散歩もむりらしい。
…『私にも魔法が使える』というのは、たくさん勉強して、たくさん訓練すれば、いつか使えるって意味でした…
千里の道も一歩から。誰だよ転生モノ漫画やラノベやゲームだと、たいていスタートから魔法ガンガン使えて、大魔法使いとか英雄とかそういうのになれるなんて印象付けたやつ…!スタートはスタートだよ!ミスリードされた!(言いがかり)
尚、私の傍にいるメイドさんが「あんぽんたんなお嬢様もかわいい!」と悶えるまでが様式美です。
◇
しかし、そんな魔法への飽くなき希望と野望を抱える私を見た家族は、結果、各種『地味にネチっとした過激でスパルタな幼児教育』に加え、魔法学・魔法道具学の先生もつけてくださり、基礎講義と実技を受けることとなりました。加算!
我が家では生後すぐに魔法属性を調べるようで、私はなななんと全・属・性!
素晴らしいではありませんか!選ばれし強者というにおいがプンプンするではありませんか!…オーラですか?では、想像してみましょう。
物語の最後、立ち込める霧の中から現れたのは、主人公を苦しませてきた難敵。
その強すぎるステータスに愕然とする主人公どもの苦痛に歪む顔。
薄暗い檀上、カッと雷の光を浴び高笑いする悪役令嬢は、扇を広げて主人公をねめつける。
「フン!ちょこざいな!」
…小物臭する台詞が出てきた…
えと、全属性とかハイスペック! まさに悪役令嬢に相応しい!
4歳になった頃から、次第に基礎体力がついてきたということで、魔法の勉強も始まりました。まだ一般常識に当たる基礎の座学がメインですが、立派な魔女っ娘を目指して頑張ります。でも、座学って眠くなるんですよねぇ…
私一人だと居眠り癖サボり癖が出そうなので、いつも控えているメイドさんも一緒に講義を受けることとなりました。
で、蓋を開けたら、みるみる吸収して、メイドからハイスペック侍女にジョブチェンジしてました。
◇
アシュリー家は下剋上上等な実力主義がモットー。(←はい。ここに息子も娘も含みまーす)
洗濯女中でも馬丁でも、知識・体力・時の運、全ての実力さえあれば、侍女にも従者にもなれます。
家政婦と執事は替わってませんので、ここは最難関なのでしょう。
ポジションに空きがあればいいですが、無い場合は簒奪ばりの乱闘に。一度役職についても、隙を見せれば、すぐに場所を奪われてしまいます。
勝者には褒美を。
敗者には退場を。
未熟者にはおしおきです。
たまに調子に乗った者が何故かお父様に挑むようですが、そんな『勇猛果敢』と書いて『無茶と無謀』にしか読めない者を、お父様は涼しーぃ顔で安定の返り討ちにしつつ、悔しがる敗者の顔をニヤニヤニヤニヤと愛でるという変態っぷり。悔しがってない人は、捻じり込むかのように、よく顔面を踏みつけてます。
敷地内にて、「ハヒィーーーッッ!!」と切り裂く悲鳴や、「アーーーーーッッッ!!!」な野太い雄叫びが響き渡ることが、たまに…いえ、たびたびあります。
…どんな様式美……
◇
そんな訳で、私付のメイド改め、侍女さんになった彼女の名は、シエラさん。
「お嬢様、魔法の勉強頑張りましょうね。今日から実技ですよぉ~」
「うん! できるっかな~」
茶髪に茶目のおちゃめさんな自称13歳?で、数十名のメイド候補生の中から勝ち抜いた猛者、らしい。いつものほほんほよよんとしていて、「躓いて転ぶお嬢様もかわいい!」と悶えてるので、そんな猛者感は全くないです…が。
一緒に習ってた魔法学の授業にて、それまで座学を教わっただけなのに、実技練習一発目で見事な火魔法を出現させました。
「まずは発現。そのまま炎の大きさを変えて。小さく。次第に大きく。もう一度小さく。」
「今度は形を変えて。はい、縦に。横に。斜めに。輪を作って。円。四角。三角。星形。鋭く圧縮。」
「そこで消す。もう一度出す。炎上! 次いで瞬間消去! はい。よくできました。」
先生の掛け声に合わせてリズミカルにコントロールかましてました。
え。ハードル高くね?アシュリー家の侍女て初期搭載から高性能なの?
ちなみに私はろうそくの火をなんとか灯せました。だってまだ実技一回目だもん。ぐすん。
◇
魔法万歳!目指せ魔女っ娘!を夢見る4歳な日々。
今日も今日とて、一緒に魔法を教わる私とシエラさん。休憩時間ももちろん一緒です。
ふっふっふーと隠し持っていた木の枝(先日庭の森で見つけた)を取り出す私に、不思議そうな顔をする先生。そして「今度は何をするのかしら?」とわくわくしてるシエラさん。
「お嬢様、その手にあるのは木の棒ですか? 何かを作られるのでしょうか?」
「ふふふ、これはまほうのステッキになるのです。 ピロリンとなって、やっつけるのです。」
「まほうの…ステッキ……」
えっへん。
で。どうなったかというと。
「残念ながら、発動前に音が鳴ると敵にバレてしまいます。隙を作ってはなりません。」
「自作の魔法の杖は、自身の魔法と魔道具との連携を強化するので大変良いことです。」
「魔道具と魔法威力の因果関係は…」
「基本構造として…」
「主な資材として…」
「属性付与は…」
そのまま魔道具講義に移りました。休憩どこ行った。
講義をマジメに受けないといけない空気と、食べられないおやつを目の前にして涙目な私を見て、「墓穴を掘るお嬢様もかわいい!」と悶えてるシエラさんは、今日も通常運転です。
乱筆乱文にて、長くなりましたが、日々、鼓舞し奮闘する様子が伝わったかと思います。
「かけごえはやはり、てく・もにょ…まにゃッ…もにょ…」
「聞きなれない呪文や動作は、相手への牽制や意識を逸らせることに使えます。しかし、長い呪文は唱える間に防がれてしまうリスクが高いです。そして噛んでるので、使う以前の問題です。」
先生が冷静に論理的にツッコんできますが、ついついロマンを追い求めてしまう私は今日も元気です。
末筆ですが、私に期待できない分まで、お姉様の益々のご活躍をご祈念申し上げます。
かしこ。