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ぼく
ぼくのなかにあった ごちゃごちゃした何かが
すーっと失われていったんだなって
そうおもった
家族といた時間
彼女といた時間
誰ともいなかった時間
そういう時間には いっぱいあったぼくの中身が
きたなくて かたまりみたいなぼくの何かが
きれいさっぱり なくなったって
そんな気がするんだ
それは とっても幸せだってことで
だけど ちょっとさみしくもあって
だって あの塊を紐解くのがすきだったから
生きていれば きっといつかまた
自分のなかに塊を生むことができるのかな
きっとまた
紐解かなきゃいけない ぐちゃぐちゃした何かが
私に授けられるのかな
幸せだってこと
だけど ぼくはもう
空っぽなのかもしれないなって
そうおもってしまうんだ




