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雨の夜に


 雨の中走る君見付けて

 つい 声が出た


 驚いたように立ち止まった君の

 肩より少し長い黒髪から跳ねた水滴

 それがキラキラと街灯の光を受けて

 輝いて見えた


 「傘、入る?」それだけを

 やっとのことで 言う


 傘を持つ手に触れた君の手は

 怖いくらいに冷たくて

 頬に君の唇が触れたことに気付くまで

 少し時間が掛かった


 「ありがと」

 語尾を伸ばさない君の言い方

 寂しいくらいにあっさりと聞こえる

 キスだってただの挨拶みたいに

 ……挨拶なのかも知れないけど


 無性に寂しくなって 君を抱き寄せた

 冷たい君の身体

 ずいぶん長いこと雨に打たれていたのかも知れない

 「どうしたの」って

 どうもしてない

 ただ 我慢が限界を迎えただけさ

 君の瞳が 僕を捉えていてくれるなら

 僕は何だってする


 「風邪引くよ」って

 照れ隠しみたいになったけど

 呟いて身体を離した

 指を絡ませて歩く


 君に僕は何も言えない

 だけど 気持ちは確かにあるんだ


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