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易しい優しさに吐き気がする

作者: みもざ



 私の世界は、いつも、易しい優しさに包まれている。

おかげで、私の世界は一見平和で温厚で、深刻じゃない。

でも、どうしてだろう。

私は、不穏を望んでしまう。

もちろん、争いばかりで酷薄で、深刻な世界を望んでいるわけじゃない。

ただ、易しい優しさが溢れていて、息苦しい。

もっと、重たくて、難しくて、上手くいかないこともある優しさがほしい。


見かけだけでない、優しさが。


本当に自分が求めているモノは、きっと分っている。


でも、それを求めて行動してしまったら、私の居るこの世界は簡単に、あっけなく、壊れてしまうような気がしてしまう。

私には、それが、とてつもなく怖い。

だから、こんなにも易しい優しさに吐き気がするのに、この世界を拒めない。


だから、こんなにも、いきぐるしくて自由になることが出来なくて、上手く身動きが取れない。


優柔不断で、自分の意見をちゃんと言えない私は、どんどん薄っぺらくなっていく。


思っていないこと、いいたくないことを、言って、過ごしていく。


そうして、易しい優しさをもつ世界で生き抜いて、顔に張り付いたような笑顔を浮かべて、たまに引き攣っていくんだろうな。


つまらない。


わたしがほしい世界は、わたしが本当に欲しいものは、違うけれど。



家から通える範囲でないと、進学を許さない。


それが我が家のルール。


いつも主観的で、束縛したがりの両親を、私は理解できない。


私を、信頼できないの?と問いたいし、私の友達の中には、普通に家から出ることを考えている友達はごろごろいる。

なんで?


私の両親の学歴は、あまり良くない。


ふたりとも、電車に乗らない距離の高校に通っていたし、大学は2時間圏内の県内の大学。


最低レベルといえども、一応地元では有名な進学高校へ1時間くらいしかかからないけれど、電車でいく娘の気持ちを理解してくれなどしない。


易しい優しさの典型的な、

王道パターンだ。



私が目指す道は、そんなに甘くないし、お母さんや、お父さんの習慣によってそんなに簡単に選択されたり、変えられてしまうものなのだろうか?


私は、嫌だ。


たしかに、私は、同性愛者だし、到底結婚を望めない。


だから、私は、他の人が手にしたくても手にできないようなものがほしい。


パートナーを見つけやすくするために、家を出て、一人暮らしをしたいし、私の結婚を望み、お見合い話を持ち込む様な束縛された閉鎖的な環境で生きていくなんて到底無理だ。


私は、限界なのに。


両親が望む、祖父母が望むような未来は絶対に歩めない。


もう、弦泣きなのに。


もう、開放されたいのに。


もう、消えてしまいたいのに。


車にひかれそうになったあの日、私は、何を考えていたんだろう?


でも、あの時、全然怖くなんてなかった。


むしろ、ほっとした。


はやく、その時が来ないのかな?なんて、普通に思ってしまった。

もう、げんかいなの。


主観的で、一方的な束縛は。



私が、生きる世界も、私が、認められる世界も、




残念ながら、此処じゃないの。




ここは、私が生まれ育った場所でもあるけれど、私が此処で死んで行く場所でもあるの。



私は、自分が怖いの。


いつ、車の前に、電車の前に、飛び出すのか。


いつ、無意識の中で、死のうとするのか。


自分が怖い。


いつの間にか赤く染まっていた、はさみ。


私は、もう駄目な気がする。



生きていけない気がする。





だから、どうか、この易しい優しさの世界から、




助けて。

                                 

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― 新着の感想 ―
[一言] ひきこもりワードでたどり着きました。ひこもりのリアルな心理描写を探してて、参考にさせてもらました
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