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 窓から小鳥の鳴き声と日の光が入り込み四郎は目を覚ました。昨日食べたディーニュの料理が旨かったからか体調も良い。ベッドの上で大きく延びをして眠気を払う。


『おはよー、お兄ちゃん』

『おはよう。もう起きていたのか?』

「ああ、おはよう。今日はなんか調子良さそうなんだ。やっぱ、ディーニュの料理が旨かったからかな」


 隣の部屋からきた二人に挨拶してディーニュの料理を誉めると頬に手を当ててクネクネして喜ぶディーニュになった。


『ほんっとーに体に異常はないんだな?』


 四郎の体を上から下までじろじろと見てカーリンが聞いてきた。ペッドから立ち上がり腕や足を回して見せて調子が良いことをアピールする。それを見てホッとするカーリン。どうしてかといえば、“ゲテモノ料理の神”ディーニュの料理が人に与える影響を知っているからだ。


『大丈夫。大丈夫。カーリンが心配する事は起こらないから』


 そう言ったディーニュを不安そうに見るが、せっかく見つけた信者(四郎)に酷いことはしないだろうと思いこれ以上追及する事は止めた。


「そういや、この村の神殿に行ってなかったな。行っておこう」


 四郎の言葉に二人も一緒に着いていく。村の入り口の近くにそれはあった。木で作られたこじんまりした神殿。中に入ると奥に祭壇が設えてある。朝早くから来て祈った人がいるのだろう。取れた野菜とか祭壇にお供えしてある。


「おいらの旅に善いことがありますように」(良いおっぱいと出会えますように)


 祭壇に光が降り注ぎ、そこに女神が顕現し、


『ふん!』


 腰の入った右フックを放った。


『アマテーラス様!?』


 腰の入った右フックを四郎に放ち、スッキリした顔でカーリンとディーニュを見るアマテーラス。


『お久しぶりですね。カーリンさんとディーニュさん』

『お久しぶりです。アマテーラス様』

『アマテーラス様、元気~』


 アマテーラスに手を振るディーニュ。


『元気なら、喰わせて』


 表情を変えずに手に刀の様な包丁を持ち、アマテーラスに切りかかる。


『相変わらずね。ディーニュ』


 アマテーラスは腕を振ると防壁を張り包丁を受け止める。ディーニュは元の位置に飛びはねて戻ると包丁をしまった。


『アマテーラス様はまた強くなっていますね』


 ディーニュの包丁を受け止めた防壁の厚みを見ていたカーリンが呟く。それもそのはず、年々増える信者から流れてくる信心は途方もなく多い為に、今では並の神でもその手に触れることさえ難しい。


『そんなアマテーラス様が何で忌み神と呼ばれる私の祭壇に四郎を近づけた?』


 胡散臭い者を見るような目でディーニュが聞いた。とある事情により信者が離れてしまい、忌諱されるようになった神を忌み神とも言う。普通の神ならば付けられないこの名は、ディーニュやカーリンにも着いている。


『忌み神と言っても神は神。この世界には欠かせないものですもの。それにこの男は変な神に当たればいいって思ったし』

『思いっきり私情だ! いいのか? 最高神!』

『それにこの世界も停滞してきているようですし……』

『それは最高神が言ってもいい言葉とは思えませんが……』


 困惑した顔でカーリンが言うと、皮肉な笑みを浮かべてカーリンを見る。


『こいつはこんな奴だよ。昔っから変わらない“朧気なる陽光”の神は』

『そんな昔の名前出さなくてもいいのに。神の名なんて世界のニーズに合わせて変わっていくものだから』


 “朧気なる陽光”の神。光の屈折により幻を見た人々の恐怖からきた名前だが、現在はその名前は忘れられている。


『えーと“導かれて肥溜めに落ちる”神だっけ?』

『ふん!』


 軽くディスるディーニュにうち下ろしのパンチを放つがまな板に受け止められる。


『今は“導きの光”の神よ。……グニギギギ……』

『不釣り合いだっつーの! ……うぬぬぬぬ……』


 まな板を間に挟んで力比べをするアマテーラスとディーニュ。幼女と張り合うアマテーラス様を見て誰も“導きの光”とは思わないだろうな。と思うカーリンだった。


『今日はこのぐらいで勘弁しといてやろう。それとこれ』


 荒い息を吐きながらディーニュから離れたアマテーラスは1つのメダルを投げ渡した。


『それで他の変な神でも見つけなさい』

『どうして、そんな事を?』

『言いましたよね? 神は世界に欠かせないって。今は世界から呼ばれなくなった神でもいれば何かとあるんですよ』

『そこに座ってんのが退屈になっただけだろ』


 その言葉に再び睨み合う二人を止めるカーリン。


『メダルは預かります。四郎に渡せばいいですよね?』

『それでいいですよ。それではそろそろいきますね』


 そういいながら、アマテーラスの目線はカーリンのおっぱいに向いている。


『……もげればいいのに』


 その呟きは誰にも聞こえることのないままアマテーラスの姿ごと虚空に消えた。


『そうだね。もげてしまえばいいのに』

『何か言った?』

『ううん。それよりお兄ちゃん起こさないと』

『そうだった。四郎、四郎』


 誰にも聞こえなかった呟きをアマテーラスの唇の動きから読み取ったディーニュはおっぱいを見て呟いた。同じ無いもの同士、通じるものがあったのだろう。今度あったら優しくしてやろう。そう思うのであった。


 

アマテーラス様、再登場(笑)


そしてチッパイ同盟結成間近?

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