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 四郎は日も上らないうちに誰かに揺さぶられて起こされた。目を開けるとアルッテが上から覗き込んでいた。


『四郎、一緒にここから逃げよう』


 真剣な表情で見つめるアルッテに四郎はうろんな目を向ける。


「で、何したの?」

『何もしていないぞ。ただ、毎日勇者に命を狙われているだけだ』

「自業自得だ。バカタレ!」


 この間した勇者への仕打ちのせいで完全に目の敵にされてアルッテは夜撃ち朝駆けで襲われて返り討ちにしているが、それ自体に疲れたらしい。


『今日、南に行く商会の荷馬車の護衛があった。もう依頼を受けているので行くぞ』

「行くぞじゃねえ! カーリン達はどうした?」

『もう用意して待ってる』

「何でおいらだけ今なんだ?」

『お姉さまとの逃避行に四郎おぶつは要りません!、って言ったら怒られた』

「当たり前だ!」


 四郎以外のアルッテ達は神である。だが、この世に現れるには神のメダルを媒体として現れることしかできない。そしてその神のメダルを使い彼女達をこの世に繋ぎ止めているのは四郎の持つ魔力である。その彼を置いていくと言うことは神の世界に戻ると言うことと同意義だ。それをよしとしないことは他の神達も同じなので怒られたのだ。


「……は、……えか~!」


 ギィィィーー。


 ドアが開く音がしてそちらを見ると目を血走らせて病んだ様子の勇者が覗いていた。そしてキョロキョロと中を見渡すとドアを閉めて行ってしまった。


「……アルッテはいねえか~!って言ってたよな?」

『ナンマイダブ。ナンマイダブ……』

「…………」


 四郎の背後に隠れて念仏を唱えているアルッテを見てため息を付いた。こっちもかなり参っている。


「よし、逃げるぞ。早くしろ」


 その言葉を聞き救いの手でも伸ばされた様に涙を流すアルッテがいた。四郎は手紙を置いて勇者宅を後にした。


「お前達が依頼を受けた冒険者か……強そうに見えねえな」


 荷台に目一杯詰め込んだ荷馬車にじいさんが待っていた。


『大丈夫だ。最終的には四郎こいつを囮にして逃げる』

「お前がなれ!」

『心配しなくていいよじいさん。皆この辺の魔物は一通り倒しているから』


 納得していないがしょうがないと言う顔で皆を見て、荷馬車を出す。その後に四郎達も着いていく。


『こうして四郎達の旅は続くのであった……完!』

「終わらねえよ! おっぱいの神様に会うまでは!」

 


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