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我ら非リア充昆虫隊!  作者: 玉本綜
第一章「人間達の思い」
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隊長

 なんだかんだで、今日も『非リア充昆虫隊』は集まった。もちろんこの、『非リア充昆虫隊』というのは、オレ達四匹のことな。

「あ~っ、今日は何するのぉ~っ?」

 モースが、実にかったるいといった口調で尋ねる。……なんでコイツは、こんなにやる気がないんだ。

「何するのって言われてもな。オレだって分かんねぇよ」

「え~? 班長しっかりしてよぉ~」

「なんでオレを班長にすんだよ!」

 そんな話、一度も聞いてねぇぞ! モースの野郎、いつも勝手に話を進めたり、決めごとを決めちまったりするんだから……。

 こういうタイプって、集団行動した時に嫌われるんだぞ?

「で、でも、ビィくんならきっといい班長になれるよ!」

「あ、アント……お前までそんなことを……」

「俺も賛成だ」

「フライル……お前もかよ……」

 決してオレには無理強いさせてこないアントと、普段から周りの奴らの意見をちゃんと聞くフライルさえも、オレに『班長』という責任を押し付けようとしてくる。

 はぁ……まったく、なんなんだよ……。

 オレががっくりと肩を落として意気消沈していると、

「あっ、オレっち達って非リア充昆虫『隊』だから、ビィは班長じゃなくって隊長か。あっはー、じゃあシクヨロ、たいちょお~」

 追い打ちをかけるように、モースがオレの肩をポンと叩いた。

 何が「シクヨロ」だ! 言葉づかいがちょっと古いってんだよ!

「あ、あの、そんなに固くならなくても、大丈夫だよ? 隊長っていっても、まあ……仮みたいなのでいいんじゃない?」

「じゃあお前がやってくれよ……」

 オレを慰めてくれようとしたのだろうが、今ではそれは逆効果だ。

 オレに冷たい視線を向けられたアントは、かなり戸惑いながら首を左右に振りまくり、

「えっ……ボク?」

 最後に自分を指差して、目を丸くした。オレは短く、「そうだよ」と答えてやる。

「そっ、そんなぁ……ムリだよ、ボクに隊長なんて……」

 戸惑うアントに、オレはニッと微笑みながら言ってやった。

「大丈夫だ。お前はいつも真面目だし、虫のことを考えることもできる。……お前だから、できることなんだ。オレは、お前のこと……信じてるからさ」

「び、ビィくんっ……」

 オレの台詞に感動したのか、アントは目に涙を浮かべながら――なぜか顔を赤らめて、恥ずかしそうに下を向いてしまった。

 ふっ……我ながら今の台詞、かっこ良かったと思うけどな。

「おーい、ビィくぅ~ん? もしかして、自惚れちゃったりしてますかぁ~?」

 今のオレには、こんなあからさまなモースの嫌味も、全く聞こえていなかった。すなわち―― 自惚れていたってことになる。


「と、いうわけで、隊長はアントに決定しました! みんな、拍手~っ!」

「いやいや、勝手に決められても、こっちは困るんですけどぉ~……」

 ノリノリで司会的なことをするオレに、モースが氷のような眼差しを向けながら突っ込んだ。

「さっきオレっちのこと、超メイワクそうに見てたけどさぁ……ぶっちゃけ、ビィもメイワクなことしてんじゃぁ~ん?」

「迷惑か? これ」

 オレの問いに答えたのは、意外にもフライルだった。

「ああ、迷惑だ」

 ええっ……? フライルまでもが、オレの行動や言動を、迷惑だと思っているだとぉ……?

 オレはちょいショックを受けながら、確認のためにアントに聞いてみる。

「お前、今……迷惑してるか?」

「迷惑っていうか……別に、迷惑ではないんだけど……」

 アントは視線をあちこちに移し、答えずらそうにしながら、でもなんとか一言だけ絞り出した。

「ちょ、ちょっと困ってる、かな……」

「そうか。ならやめよう」

「け、決心はぇぇ!」

 モースは今までの余裕たっぷりな表情を豪快に崩し、オレに指を差しながら、ずいぶんと失礼なことを口にし出した。

「おまっ……オレっちやフライル番長が『迷惑だよ』って言ってる時はそれを認めなかったくせに、ショタ男くんが『困っちゃうなぁ~』って言ったら……すぐに『ならやめよう』って……!」

「うるせぇな、何をそんなに驚いてんだよ。それとモース、フライルのことを番長って呼んだり、アントのことをショタ男って呼んだりするの、いい加減やめろよ」

「は、話をそらそうとするな話を!」

 モースはあわあわとオレの周りを旋回し、

「とっ、とにかく、罰としてビィに隊長やってもらうかんねっ! それでいい? 異議なし?」

 訳の分からんことを言いだした。罰ってなんの罰だよ。

 しかし、オレが反論する前に――、

「ボクは、異議なし」

「俺もそれでいいと思うぞ」

 他の二匹から、肯定の意見が出てしまった。

 お、お前らよくも裏切ったな……。後で覚えとけよ……!


 ……と、いうわけで、

「じゃあ、隊長はビィにけってぇ~い! ひゃっはー、決まりーヨ!」

 なぜかテンションがアゲアゲなモースの言う通り、オレが隊長に任命されてしまったのだった。

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